#19太るのかな…
「ただいま戻りました」
「ペルちゃんただいま!」
ココくんとミケの声が後ろから聞こえてくる。
「ココくん。ミケちゃん変な事しなかった?」
ココくんはおとなしい子だからミケが何かしてなければいいけど…
「してませんよ。晩御飯買ってきましたよ」
「晩御飯は何を買ってきたの?」
「お肉を食べたかったのでケバブを買ってきました」
ケバブってあのクルクル回ってるあのお肉の食べ物かな?
「ギョギョさんはどこに行ったんですか?」
「ギョギョさんは…」
私は海の方を見る。
「逃げ出したんですか?」
ココくんは少し怯えながら言う。すると海から
「ペル殿。海ぶどうが採れました!」
ギョギョさんが海から顔を出して言う。
「ありがとう!海ぶどう採りに行ってもらってた」
海ぶどうは口に入れるとパチパチという食感がするらしい。それを聞いて食べてみたいって言ったら採ってきてくれた。
「そうなんですか?とりあえず猫の世界に戻りましょう」
「うん」
ギョギョさんにそばによってもらって、私はユニークスキルを発動した。
「ユニークスキル:世界転移…発動!」
私たちの足元にいつも通り魔方陣が現れる。そして私たちは転移した。
私たちは猫の世界に戻って、まず火を起こした。ここでさっき海辺に落ちていた木材が役に立った。火炎魔術で木材に火をつけた。温かい…こっちの世界の夜はちょっと寒い…寝袋欲しい。
私たちはココくんが買ってきた晩御飯を食べ始めた。ケバブは前にお祭りで見たことがあるけど食べたことはない…食べてみると美味しい。お肉が1枚、1枚が大きい。ココくんが私に言う。
「美味しいですね」
「そうだね…」
美味しいけど太りそう。VRでも太るのかな…太るのならもうちょっとご飯減らさないと。村にいる時は、基本お米と野菜が主食だったから太りそう…これからの一人と一匹暮らしで気をつけないと。
私がそんな事を気にしているとギョギョさんは警戒していた。ギョギョさんは…
「ペル殿…これには毒は入っていないでありますか?」
「入ってないよ…大丈夫だよ!」
「そうでありますか…ではいただくであります」
ギョギョさんは目をつぶって食べる。そんなギョギョさんを殺す理由なんてないのに…
ギョギョさんは美味しそうに言う。
「お、美味しいでございます!」
「気に入った?」
「はいでありあます!」
結局、ギョギョさんは6個のケバブを食べた。私たちは3個ずつ食べた。今度はもっといっぱい買ってきてもらおう。
~そして現在~
今、私たちはお風呂沸かせ班と素材収集班に分かれて行動している。
私とココくんは素材収集班。主に森に木を伐りに行っている。
「ペルさん。この辺りを伐りますか?」
「うん。周囲の警戒は任せて」
私がついて来たのはスキル次元収納があるから。大きい木は運ぶのが大変だけど次元収納の中に入れて運ぶ方が簡単だから…
「じゃあ伐りますよ!」
「うん!」
カン…カン…カン。静かに夜の森に響く。森の中には特に何もいないと思っていた。
「ウオーン!」
遠くから狼の声が聞こえる。
「ペルさん。この声なんでしょう?」
「狼だと思う」
「そうですか。木が倒れますよ!」
「うん」
二本目の木を伐り倒している時に確信した。何かが近づいてきてる。
「ペルさん…何か来てますよね」
ココくんが私の側によって来る。
「うん。何か大きいのが近づいてきてる…周囲を警戒して!」
私は背中から剣を抜き、ココくんは斧を強く握る。
足元が揺れている。大きなモンスターが近くに来てる。
「ペルさんいました。あいつです!」
ココくんは指をさして言う。森の中を猛スピードで走ってくる狼がいた。狼は2メートルぐらいの狼でとても大きい。狼は木があっても無視して突進してきている。狼が通ったところには木がほとんど折れている。そんな速度で突進されたら私たち死んじゃうて。
「ココくん。後ろに下がって!」
「はい!」
ココくんは私の後ろに行く。私は剣を中断に構えて、
「剣技エアブレード!」
私は左から右に大きく剣を振る。エアブレードは剣の斬撃を飛ばす剣技。
私が発動したエアブレードは狼に向かって真っすぐ飛んでいく。エアブレードに当たった木はきれいに折れていく。最初からこれで木を伐採していけばよかった…
狼とエアブレードは交差する。狼は横に真っ二つになる。エアブレードはそのまま木を伐って進む。流石剣技すごい切れ味。
「ペルさんやりましたね!」
後ろからココくんの声が聞こえる。
「うん」
私たちは伐れた木と狼を回収して、ミケとギョギョさんのもとに帰った。
〜お風呂沸かせ班〜
「ドラム缶に穴がないかチェックし終わったであります!」
ギョギョさんが言う。
「ギョギョさんありがとう!」
僕とギョギョさんはお風呂沸かせ班。ドラム缶でお風呂を作る班。
「ギョギョさん。ここにドラム缶置いて」
「わかったであります!」
さて、ここからが僕の仕事。ギョギョさんは僕の前に指示通りドラム缶を置く。
「ギョギョさん。少し離れて」
「わかったであります」
僕は手を前に出してスキルを発動させた。
「氷魔術:アイスクリエイト」
アイスクリエイトは氷を生成する魔法。決してアイスクリーム作るわけじゃないよ。アイスクリエイトでドラム缶の中に氷を生成する。あとは氷に向けて
「火魔術:火炎放射」
火炎放射は手から火を出し続ける魔法。最初は火が怖かったけど徐々に慣れてきて、楽しくなってきた!
「ミケさんすごいであります!」
「そうかな…」
「そうであります。手から火を出すなんてあまりできない事であります!」
ギョギョさんは目をキラキラさせながら言う。
「ギョギョさんって魔法とか使えないの?」
「俺でありますか?俺は棒術とか格闘技しか使えないであります」
「そうなんだ。温め終わったら教えて!」
「いいでありますよ!」
話しているうちにあっという間に水がお湯になっていた。ペルちゃんはお湯になったら「蓋をして置いて」って言ってた。
僕は木材で出来た蓋をして
「ギョギョさん終わったから格闘技教えて!」
「いいでありますよ!」
僕とギョギョさんはしばらく格闘技をしていた。格闘技は武器がなくても攻撃できるから便利だ。
僕は今、氷魔術で作った氷をギョギョさんの真似をしている。けど…
「手が痛い」
ギョギョさんは痛くないのかな…
「ギョギョさん…手は痛くないんですか?」
「慣れれば痛くないであります。それに痛くない叩き方にはコツがいるんであります!」
「そうなんだ…どうやってやるの?」
ギョギョさんは僕の近くに来てレクチャーする。
「ここをこうしてこうするのであります!」
「こうかな?」
「そうであります!」
言われた通りにやると痛みは減った。けど相変わらず冷たいのはかわらない。
〜猛特訓中!〜
「ミケさん上手いであります!」
僕は急激に上達して…今では手加減しているギョギョさんぐらいになら対等に戦える。
「そうかな…」
「そうであります!魚人族の兵士とも対等に戦えますよ!」
ギョギョさんが僕の拳を受け止めながら言う。
「そうなの…」
「そうであります」
「僕、すごい!」
「凄いであります!ここまで上達が速い人はなかなかいないであります!」
やった。褒められた!これからも格闘技は練習しておこう。もっと上手くなってペルちゃんを今度驚かしちゃおう!
解説スキルについて。
読んでいる方は途中何度か疑問に思いませんでしたか?何故持っていないスキルを使用しているのか…
この世界のスキルは上位のスキルを持っていると下位のスキルが使えるのです。例えば上位剣術を持っている…けど剣術は持っていない人でも剣術が使えるという事です。そしてスキルにはそれぞれ派生などが存在します。派生は〜〜流刀剣術や??刀剣術などの派生です。派生のスキルを入手するには特定の条件を満たしている必要があります。派生のスキルにはその派生ごとに戦い方や技に大きく違いがあります。その違いは…今後をお楽しみください!
byココ