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第四話「学院の少女」

第四話「学院の少女」


 石畳を、

 規則正しい足音が響く。


 ざわついていた通行人たちが、

 自然と道を開けた。


 現れたのは、

 赤髪を後ろで束ねた少女。


 上質な黒制服。

 腰には細剣。


 一目でわかる。


 貴族だ。


「……うわ、学院生」


 セリナが小さく呟く。


 ミリナも少し緊張した顔になる。


 少女は真っ直ぐ、

 アレンたちの前まで歩いてきた。


 そして金髪少女を見る。


「やっと見つけた」


 金髪少女の肩がびくっと震えた。


「ひっ……」


 怯えている。


 アレンは自然と、

 少女を半歩後ろへ庇った。


 赤髪の少女――シェリルは、

 その動きを見て少し眉を動かした。


「別に取って食べたりしないわ」


「追われてる感じだったけど」


「追っていたのは事実よ」


 否定しない。


 周囲がざわつく。


 金髪少女は不安そうに俯いていた。


「その子、何かしたのか?」


「まだわからない」


「まだ?」


「確認したいことがあるだけ」


 シェリルは冷静に答える。


 だが視線は、

 時折アレンへ向いていた。


 さっきから続く異常反応。


 近づくほど、

 より鮮明に感じる。


 なのに本人は、

 まるで理解していない顔をしていた。


「……?」


 アレンは首を傾げる。


 シェリルは小さく息を吐いた。


「あなた、名前は?」


「アレン」


「姓は?」


「ない。孤児だから」


 少しだけ、

 シェリルの目が変わる。


 だがすぐに戻った。


「私はシェリル・フォン・アルディア。王立魔術学院の二年」


「お貴族様か」


「一応ね」


 するとセリナが口を挟む。


「で? その学院様がアレンに何の用だ?」


「……少し気になることがあるの」


「気になること?」


 シェリルは答えなかった。


 代わりに、

 金髪少女へ視線を向ける。


「あなたも名前を」


「……リ、リリアです」


「姓は?」


 少女は迷う。


 一瞬だけ。


「……ありません」


 シェリルはその間を見逃さなかった。


 だが今は追及しない。


「そう」


 短く返す。


 その時。


 ドクン。


「っ……!」


 またアレンが胸を押さえた。


 今度はかなり強い。


 足元の砂が、

 ふわりと浮いた。


「おいおい!?」


 セリナが目を見開く。


 ミリナも慌てて距離を取る。


 アレン本人が一番焦っていた。


「だから何なんだこれ!?」


 シェリルは鋭く目を細める。


 今の反応。


 リリアがアレンへ視線を向けた瞬間だった。


「……やっぱり」

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