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悪役貴族のお父様  作者: 太郎冠者
第二章 長女とお買い物デート編

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服飾令嬢と悪役次男のお茶会

「エドワード様、少し休憩をしましょうか。」



手に持ったメジャーを机に置いてシャルが

溜息をする。


今日は朝から公爵家族の冬服の採寸をしている。


大人のロベルトやエリザベートはあまり体型は変わらないが、日々成長する子どもはシーズン毎に何度も全身の採寸を測り直していた。


特に公爵家ブランドのモデルであるジュリアの採寸はほぼ毎週と言ってもいいくらい行われている。


ちなみにジュリアはカーミラ達エルフの村で

仮縫いの真っ最中だ。



「……別に不用だ。さっさと終わらせろ。」


ブスっとした顔でエドワードが命令する。



シャルとしてもさっさと本邸での採寸作業を

終わらせ、ジュリア達と合流したかったのだが、さっきからエドワードの思い悩んだ様子が気になっていた。



―――絶対なんかあったわよね……。


昨日はご同郷の後ろをあんなに楽しそうについて回っていたのに。


この顔はあれね……。

自分が何かをやらかして謝りたいけど、素直に謝れない時の顔だわ。



慎重にシャルは原作ゲーム知識を思い起こす。


エドワードは完璧主義だ。

人にも厳しいが自分にも厳しい。


そして寂しがり屋でもある。


なので、割としょうもない事で凹み、嫌われるのではないかと思い悩む。


多分、今回もそんな感じで悩んでいるのだろうとシャルは当たりをつけた。



面倒臭い奴と言えばそれまでだが、シャルとしてはそんなエドワードが好きだった。


ゲームの頃から彼のそんな面倒臭さがいじらしく見えていたのだ。


はっきりいえば推しだった。

ジュリアに次ぐ2番手。


何なら男性キャラで一番の推しだった。


もし自分に出来るのであれぼ、この打たれ弱い優秀な少年の力になりたかった。


しかし―――。



「……貴様は何を言っている。別に採寸をするだけだろ?さっさと終わらせろ。

それとも何か? それすら出来ん無能なのか?」



エドワードの言葉にカチンとシャルのスイッチが入る。


自分の仕事を貶されるなら話は別だ。



「はぁ? 何にも知らない素人が舐めた口叩いてんじゃないわよ! 無知な貴方に現状を教えてあげるからそこの壁に立ちなさい!」


「な、なんで僕がそんなこと……。」


「プロを前に上等ぶっこいたアンタに分かりやすく教えてやるって言ってんのよ!

手は真下にして真っ直ぐ立ってみなさい!

壁に踵を付けて、そう! そのまま止まって!」


シャルの剣幕に負けてエドワードは素直に壁を背に直立する。


「ほら! 頭と背中が壁から離れてるでしょ?

つまり、それだけ猫背になってんのよ!

何があったか知らないけどね、そんな雑な姿勢しか出来ない状態で採寸出来ると思うなっ!」


エドワードの後頭部に手を入れ、ほら見た事かと睨みつけるシャル。


シャルの右手がエドワードの後頭部に添えられ

見つめ合う壁ドンスタイルの完成である。



「あ、いや、う、うん。―――か、顔が近いんだよ。は、離れろ!」


いきなり怒り出したシャルに鼻白みながらも、口付けをする様な距離にシャルの端正な顔が

ある事をエドワードが訴える。


「ん? あら、ごめんなさい。壁ドンしちゃったわね。」


本人はどこ吹く風と気にした様子もなく距離を離す。



「私が何を言いたいかお分かりになりまして?エドワード様。 それとも、公爵家にあるまじきみっともない猫背の服がお好みですか?」


皮肉たっぷりに笑ってシャルはさっさと休憩をする為にティーセットを用意しだした。



「くそ……。なんて女だ……。」



口では悪態をつきながらも、不思議とシャルの物言いが嫌ではない事にエドワードは戸惑っていた。



―――――――――

――――――

―――



シャルが出した紅茶はロベルトやエドワードがよく飲むダージリンに似た茶葉だった。


お茶請けにはさっき作ったのであろう、

まだ少し暖かいマフィンとサンドイッチ。


エドワードは出されたマフィンを無言で口に

放り込み、紅茶を飲む。


甘さが控えめでエドワードの好みの味付けだ。



よく考えれば、昨日の一件が理由で朝食を食べる気になれず、朝から何も食べていなかった事を

思い出した。



「………………ふん。」


エドワードはシャルの自分への気遣いを理解しながらも、素直に礼を言う気にもなれなくて

鼻を鳴らす。


そんな素直になれない自分をニヤニヤと楽しそうな顔で見ているシャルに気付く。



「…………何を見ているんだ?」


「いえいえ。お口に合った様で何よりです。

それ、私の家で作った焼き菓子なんですよ。

ティータイムに合わせて配達してるんです。」


「……ふん。」


面白くなさそうな顔で再度エドワードは紅茶を口に運ぶ。



「…………シャーロットといったな。

話し方は畏まらなくて良い。好きにしろ。」


「!」



先程の自分への放言への謝罪か、お茶の礼かは分からないが、思ったより素直なエドワードの反応に驚くシャル。



―――原作ゲームだと砕けた話し方のOKが出るのは好感度が友愛か恋愛で60%以上じゃないと

駄目だったはずなんだけど……。


そう言えば、ご同郷がここは現実なんだから

原作を信用し過ぎるなって言ってたっけ。


まぁ人間その時の気分や状況で不合理な事もするわよね……。



「ふふ。ありがとね! エドきゅん!」


「きゅん!?」


「でさ、多分あれよね? エドきゅんが鬱ってるのって何か公爵様にやらかしちゃって自己嫌悪してる感じよね? 私的にはやっぱり素直に謝るのがいいと思うんだけど、この後一緒に公爵様のトコ行かない? ほら、私って鬱展開好きじゃないからさっさとイベントスキップしたいって言うかさ、RTAしちゃいたいのよね。」


「……いや、待て待て待て! 落ち着け!

エドきゅんって何だ!? いきなり愛称呼びとか距離感がおかしくないか!?」


「いやぁ平民ってそんなもんよ。」


「嘘だろ!?」



エドワードは驚きながらも、もしこの距離感が普通なのであれば、自分はどれだけ頑張っても平民と仲良く話すことなど出来ないのではないだろうか? と悩み出す。



「―――まぁホントは一般的ではないけど、

私はこんな感じが普通ね。」


「嘘かよ!?」



思ったよりノリの良いリアクションを発揮してくれるエドワードにケタケタとシャルが笑う。


そんなシャルを睨みつけ、大口を開けてガブリとサンドイッチを齧るエドワード。


少しでもシャルに遠慮をしていた自分が馬鹿らしくなったのだ。



「……取り敢えずきゅんはやめろ。」


そっぽを向いてサンドイッチを頬張りながら

文句をつけるエドワード。


「ジュリアもジュリアたんって呼ぶと怒るのよねぇ。可愛いのに……。」


「ジュリアにもやったのか……。」


少なくともこの少女が誰に対してもこれが平常運転なのは間違いないようだと理解する。



「んで? 何やらかしたのよ? 話してみなよ。

シャルお姉ちゃんが聞いてあげるからさ。」


からかう様な口調。


しかし、その声と眼には慈愛が溢れていた。



「いや、確かお前はジュリアと同い年だろ?

年齢なら僕の方が―――」


「ほら。ちゃんと真面目に聞くからさ。」


「ん。んん。……実は―――。」




―――――――――――――――――――――


いつも稚作にお付き合い頂き、誠にありがとうございます。


太郎冠者でございます。


この度、書籍化が決定いたしました。

もう、何と言うか、震えます。



詳しいスケジュールやレーベルなどはまだお伝えは出来ませんが、何をどう考えてもこの作品を読んで応援して頂いている皆様のお陰です。



色々と値上がりの激しい昨今。

お金を出して頂ける価値のある商品になるよう

原稿作業を頑張る所存です。



……すみません。見栄をはりました。

本当は一章が8万字しかないので2万字ほど書き下ろす必要があるだけです。


打ち合わせ時に10万字くらいありますよとか、何の確証もなく言った過去の自分を殴りたい気持ちでいっぱいです。



3章の方も引き続き更新をしていくつもりです。


今後ともよろしくお願いします

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