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悪役貴族のお父様  作者: 太郎冠者
第二章 長女とお買い物デート編

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お父様の一日 深夜の報告編

「全く……。さっきは巫山戯すぎだ。」


「すまない。しかし、若様は昔の御館様に似ている。つい調子に乗ってしまった。」


その結果が私の恥ずかしい思い出を語り出すのはおかしくないか?


「ふん。あの子は私よりずっと優秀だよ。」


「親馬鹿……。」



レオナルドとの話が終わり、食事を終えた夜。

私は執務室で再び貌なしと話ていた。


先程までのルーシーの姿ではなく、20年間変わらない見慣れた美女スタイルだ。



「事実だ。あの子がどれだけ優秀か語ってやろうか? いや、レオナルドだけではない。ウチの子達の優秀さを聞いて欲しいまである。」


「断る。その代わりに報告を聞いて。」


ピシャリと私の提案を断り、改めて貌なしが

報告書を手渡して来た。



「まず前提情報。今教会は分裂している。」


報告書に目を通しながら、ルーシーの話に耳を傾ける。



伝統的に教会内で大きな2つの派閥があり、

その派閥同士でしのぎを削っているらしい。


一つは『貴族至上主義派閥』。

そしてもう一つは『調和主義派閥』、簡単に言えば皆仲良く派閥だ。


これは原作ゲームでもチラッと出てくる話だ。


貴族至上主義派閥は嫌な奴の巣窟で、主人公達は調和主義派閥。


実によくある、手垢のついた対比である。


当然、聖女は調和主義派閥だ。

貴族主義のトップは確か教皇だったかな?


原作では教会の上層部は権威主義で拝金主義の腐った大人の巣窟みたいな感じだったと思う。



「つまり聖女を監視していたのは貴族至上主義派閥のメンバーだったと言う訳か……。」


「その可能性が高い。」


実にくだらん内部争いだな……。

つまり、ジュリア達の聖女疑惑は関係なかったと言うわけだ。


警戒して損をした気分だ。



しかし、報告書はそこで終わらない。

この手垢のついた対立にこの数年で変化が見られたと言うのだ。


「しかし、ここ数年でその争いに変化が見られるようになった。」


貌なしの話に合わせ報告書を読み進める。


なるほど。今度は他種族との関わり合いが焦点になって来ているのか……。



貴族至上主義は人間族至上主義へ変化する。


要するに貴族が1番、平民2番、そしてその下に他種族がいるんだよ主義という訳だ。



そして皆仲良く主義派閥はそのまま他種族とも仲良くしようね派閥、つまり他種族迎合主義派閥となっているらしい。



「……これはあれか。私が原因か?」


「正解。この2つの派閥の変化は戦後から徐々に、そしてここ数年加速している。」


おぉう。ここにも原作ブレイクの余波が……。



「私はあまり詳しくないのだが、そもそもユグドラシル教の教え的に他種族迎合とかはありなのか?」


「あり。そもそもユグドラシル教は、世界を

支える世界樹を信仰している宗教。人種は関係ない。でも最近人種の区別を付けるべきという考えが広まって来ている。」


なるほどな。


まぁウィンドブルム伯爵領の様な例もある。

確かに人種で区別が生まれるのは致し方ないのかもしれないな。



そんな事を考えながら報告書を読み進めていくと気になる単語が目に飛び込んで来た。



『|魔族の理想のための組織オディマ』。



……あっれぇ?


なんでここで毎度お馴染みのテロリストの名前が出てくるんだ?


何?私の事が好きなの?

でも残念、私はお前らの事が大嫌いだ。


目線で貌なしに尋ねる。



「同意。そしてオディマも御館様の事は大嫌いだと思われる。」


なるほど。両想いという訳だな。


いや、何で私のモノローグが伝わっているんだ!?



「冗談はさておき、オディマ達が教会に入り込んだ可能性がある。」


は? テロリストだぞ?

何やってんのユグドラシル教会。


前世の記憶的に宗教とテロリストの組み合わせとか嫌な予感しないんですけど?



「あくまで可能性。別に教会、特に他種族迎合主義派閥に魔族がいるのはおかしくない。

でも、その魔族達の一部にセーデルホルム領に関わっている魔族達がいる。」



セーデルホルム……。


ユーリア君の実家で戦前、戦中もずっと親魔族派の伯爵家だ。


こちらも調査中ではあるが、一定数のオディマ関係者が潜んでいる可能性が高い。


別にセーデルホルムにいる魔族が全てテロリストではないし、ユグドラシル教会の教えに感化された魔族だっているだろう。


しかし、今の状況でテロリストの関与を疑うなと言う方が無茶だ。



「そして追加情報。これに気付いたのは先日の建国祭で入り込んだテロリスト達の侵入経路を探っていてだった。」


「……つまり、王都で暴れ回ったテロリストを引き入れたのは教会関係者だったと?」


「その可能性が高い。王都守護騎士団(ガーディアンナイツ)は有能ではないが、そこまで無能でもない。誰かしらの手引きがあったと考えるのが自然。」


まぁ、それは有り得そうな話だな。

しかしそれだけで教会を疑うのもな……。


指揮者(コンダクター)も熱心な教会信者だったらしく、定期的に教会にお祈りに行っていたという調査結果もある。」


いや、もうそれほぼ確定じゃん!


くそ! あのモジャモジャ野郎! あの世であったらストパー当ててサラサラヘアにしてやる!



「……取り敢えず状況は理解した。

しかし、この情報はレオナルドやアラン君にも伝えるべきだったんじゃないか?」


他種族との関わり方で分裂した教会、腐った上層部、他種族迎合主義の聖女とそれを監視する人間族至上主義者たち。


何となく絵が見えて来ている状況だ。


この辺りの話は共有していても良かった様に思うのだが……。


「それは私も考えた。しかし、あの二人は何だかんだで素直。既に学園内にも教会関係者がいる状況で不用意に警戒されたくない。

―――それに……。」


何やら珍しく言い淀む貌なし。


まぁ余計な警戒をして逆にそれを察知されるというのは有り得るか……。



「加えて、不用意に情報を拡散すると高確率でウチの強硬派が動き出す可能性がある……。」


おぉぅ……。ウチのカミさんか……。


「今回の件については奥様よりも若様の婚約者が危険。ウチの次期当主の奥方は若様大好きのサイコパス女。確実にセーデルホルムと教会を丸焼きにする。」


強硬派と言うか、もうそれ過激派なんよ。

思考回路がテロリスト過ぎん?


なんでウチの女衆はこんななんだ……。



「女の趣味が似てるだけ。」


「やめろ。人の考えを読むな。

それに決して暴力性に惹かれた訳じゃない。

芯の通った女性が好みなだけだ。


まぁいい。取り敢えずこの話は極秘扱いとし、今後は私とお前のみで管理を―――。ん?」


部屋の外に違和感を感じて会話を止める。


部屋の外に誰かいる……?


貌なしにハンドサインを送り貌なしと私は魔力を全開にしてドアを開け放つ。



誰もいない……?

まさか間者の類い―――。



「御館様。これが落ちていた。」


貌なしが渡してきたのは1冊のメモ帳。


エドワードの物だった。

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