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第9章16話 事後処理


 朝は女王様を抜いた夫婦全員で精霊様巡りをしに行くと、珍しく山の精霊様が俺に声を掛けて来た。


「ミノルの体調は良くなったのか?」


「はい。お陰様で、だいぶ改善して以前程削れなくなりました」


「今回は戦う前に上手くやったようだが気をつけるようにな」


「今回のが上手く行ってますし、兄が結婚をしてしまえば当分の間は戦は無いと思います」


「そうか、ミノルも身体に気を付けてな。戦いが遠のいたのは精霊全員が感謝しているぞ」


 女王様と結婚してから俺には余り話し掛けてくれなかったのに珍しい事も有ったものだ。


 精霊様巡りを終わらせてから兄達に会いに館に行った。執務室に行くと兄達と箕輪さんが揃っていた。女王様は既に来て我々を待っていた。


「ミノル済まんな来て貰って」


 ノア兄さんが言って来た。


「構わないけど、式の事は全然分からないよ」


「いや、そっちはロドニー公と相談して何とかなっているから」


「ライリエ伯爵の件は聞いているでしょう? あれホフマン家の枠からだからね。どうせ余っているんでしょう?」


「分かっている。ロドニー公もボナブル公爵も喜んでいた。ライリエ伯爵は王家の重鎮だけど政治工作が始まると面倒なんだそうだ。ボナブル公爵の親戚にあたるし相当困っていたようだよ」


「第一王子も大人しくなるなら僕からの招待しても良いけど、王様の考えも有るだろうしね」


「結婚式でこれなら来年の辺境伯就任式は大変だよな」


 フェン兄さんが人事のように言っている。


「だが第一王子は扱いが大変だぞ。今回の茶番劇に関わっていたのはバレバレだしな」


 女王様が楽しそうだ。


「王様に任せましょう。政治は面倒で嫌いです」


「でもミノルはこの先どうすれば良いにと思う?」


 フェン兄さんが聞いて来た。


「そうですね……ステン王子はトト師匠と上手くやって貰って旧ボロミア公爵領で公爵、政治と統治のお勉強。

 あそこなら隣りですから手伝ってあげれますし。王様子飼いの領土の無い男爵さん子爵さんにはトメル公爵とソシル子爵の領地を分割しで与えて統治させる。これで貴族の数的には安定しますよ」


「なる程な良い手かもしれないな。第一王子はどうする?」


「王子のまま嫁でもとって、大量のポーションを与えて飼い殺し。王様が新たな妃を見つけて子作り……駄目かな?」


「良いかもしれないな……今度ロドニー公と相談しておくよ」


 ノア兄さんが乗り気だ


「ステン王子のボナブル公爵跡継ぎ宣言でも良いのだぞ。あそこも男子が居なかった筈だ。ステン王子のお爺ちゃんだし文句無しだろう」


「それも有りですね……安定しますよ。ボナブル公爵も喜ぶだろうし。ボロミア公爵領は小分けして男爵領だらけにしてしまえば良いからホフマン家は楽になります」


 女王様の意見に俺も賛成する。


「でもトト師匠が動いてくれるかな?」


 ノア兄さんが心配そうにしている。


「兄さんの結婚式参加決定以来、上手く行っているみたいだよ。先日マネさんと目撃したもの」


「うん、あれは衝撃的だったぞ」


「早く教えろよー」


 フェン兄さんが興味津々だ。




 先週、マネさんと久し振りに冒険者ギルドに顔を出したらダンクさんチームが何時もの場所で集まっていた。


「狩りに出ないの?」


「ジェルさんが来るの待ち」


 ジェルさんはトトちゃんが忙しくなっているので、フリンさんに頼んで王都の冒険者ギルドで食いつめているのを連れて来た魔法大学の後輩だ。大学出にしては全て平均的で何の特徴も無い魔術師だ。

 見た目がカワイイのと人が良く気が弱い。金髪に緑色の眼をしている。ダンクさんチームの新たなアイドルだ。


「トトちゃん来ないの?」


「最近ステン王子と貴族作法の勉強で忙しいみたい」


 魔人のリスラがニヤニヤ。


「部屋に帰って無い日、多い」


 イリアがバラす。


「あの二人は決まりと思いますよ」


 ダンクさんまで保証している。


「じゃ今も作法の勉強中か?」


 マネさんが急に興味を示しだす。


「妖精の樽に部屋をとっているよ」


 タタが詳しい。


「そう言えば最近ステン王子と宿で会わないよね……」


 マネさんがトレル警備隊情報隊長を呼び出した。


「ステン王子の近況を報告しろ」


 マネさんの要求にトレル警備隊情報隊長が答える


「先月から『妖精の樽』に籠もってます。一番奥の部屋ですね。ギシギシ音はしますが声は聞こえません。サイレントでも使っていると思われます」


「食事は?」


「部屋でとってます。廊下に置いてノックするそうです」


「出て来んのか?」


「余り……ポーションの受け取りにトトちゃんかステン王子が現れるくらいだそうで……」


「ポーション?」


「……例の角から作った奴ですね。最新型のです」


「あれを使っているの!」


「そうか……アレね……ミノル、決まりだな」


 マネさんの眼がフェン兄さんみたいに、柿の種みたいな形のタレ眼になっている。

 俺は娘を駄目男の嫁に出す父親の気持ちが分かるような気がして来た。




 状況説明が終わるとフェン兄さんが発言した。


「俺、そんな眼する?」


「今なっているよ」


 子供の頃から変わらないフェン兄さんだった。


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