第9章10話 魔国反乱軍1
魔国反乱軍の討伐当日の朝、ホフマブルグの騎士団練習に行くと既に全員揃っている。
「やはり漏れてたようで、反乱軍も結集して移動の準備をしているようです」
ラルドさんが言って来た。
「魔都へ直接攻め込む可能性は?」
「無いかと思われます。魔都襲撃なら最低でも10万人の軍勢が必要です。人数不足ですな。魔術師が圧倒的に不足しているような気がします。あっちは立てこもりか、平原の決戦を選ぶしか無いでしょう」
フライト将軍が地図を見ながら応えた。
魔国の反魔王軍討伐隊は魔国軍が1200名他に飛竜騎兵隊400騎、我々合同騎士団が800名の他、魔術師集団10名で実行される事になった。騎士のみの数だから凄い軍勢だ。魔術師は、我が家の7人とサキバさん、特別参加でラルドさんとステン王子
「自国ですからな、少しは働きませんと」
ラルドさんは楽しみにしているようだ。ステン王子は親衛隊隊長が出来たので、対人魔術戦に参加したいようだったので参加。
「少し頑張らないと。敵は雑兵込みで2万の軍勢らしいですぞ」
「また複製人間ですか?」
ステン王子が緊張気味にラルドさんに聞いている。
「だと思いますな。有力貴族は手を出しませんからな」
「これを片付ければ、もう反乱軍は作れないと思うぞ。なんせ旗印になる者がおらんのだ」
女王様とラルド魔王がニヤニヤしている。
「見物組の王様達の護衛は?」
「警備隊の魔法大卒3人組と、他にティアさんがロドニー公と来るので任せる」
マネさんが手配済みだった。
「こちらは2400の軍勢だから、相手を2000くらいまで削らないと駄目ですね」
「フライト将軍が4000以上を要求しているようだ。複製騎士は弱いので4000が安全で演習になるラインと儂も思う」
マネさんまで強気だ。
「魔術師は以前ミノル殿に壊滅されているので、不足しているようですな」
「こちらが優位と言っても戦争は戦争ですから、やるからには安全に勝たないと。それとせっかく演習をするなら、なかなか出来ない平野戦に持ち込みましょうよ。この平野に陣を置いて引きずり込んでしまえるのがベストかもしれません」
「奴らは魔都に攻め込むのも、引き籠もるのも不利ですから乗って来る確率は高いですぞ」
地図を見ながら、俺の提案にドロン騎士団隊長も同意して来た。
「敵が徒歩で移動を始めました」
敵の魔術師不足が明白になったと考えて良いようだ。
「敵の城近くの、この平野に陣を張るぞ。全員ワープで移動開始」
参謀長の女王様の指示に隊長達が同意して移動は開始された。
こちらの軍勢は全員騎士なので、半数以上がワープとバリアーが使えるので機動力が圧倒的だ。
山に挟まれた街道の平野への出口になっている山の中腹を削って指令テントと見物テントを張った。街道沿いに救急治療テントを設置したり忙しい。
「女王様と敵の状況を見て来ますので、マネさんここの指揮をお願いします」
「了解」
後の楽しみを確認する為か、テリッチさんも同行する事になった。
場所は親戚の城らしく女王様が知っているのでワープで連れて行って貰った。
魔国の城は山に囲まれた盆地みたいな場所に在る場合が多いが今回もそうだった。少し離れた山の頂上に透明化して着いた我々の前に、それ程大きくない城が山の麓に建っている。
城の前に在る平野に大軍が集まり、山と山に挟まれた街道に向かって軍が移動開始をしている。
「我々で終わらせて良いなら最高のチャンスなのだが……」
女王様が残念そうに呟いている。
「城には、まだ結構な軍勢が残ってますね」
テリッチさんが透視で見て言っている。
「これから出て来るのでしょう。出入り口に集中してますから」
「平野に本隊が着くのは4時間後くらいだな」
女王様がスケジュール計算をしているようだ。
「一時間毎に偵察に来よう。間引きは平野でやって、魔術師はサッサと城を片付けに来れば良いのではないか?」
軍師経験の長い女王様の意見が正しいのだと思う。
「城を潰す時は後ろの山もついでに潰します?」
「そうして貰えると嬉しいです!」
俺の提案にテリッチさんが喜んでいる。
「後ろも山だから城側の山を崩しても問題は無いと思うぞ。ここから5~6人で爆裂攻撃をすれば、簡単に平らになるだろう」
女王様も気楽に考えているようだ。
「魔国の城は良い鉱山を守るように建てる場合が良くあるのだ。規模からいって可能性は高いぞ」
女王様のアドバイスにテリッチさんがワクワクしている。
話しているうちに隊列は街道を行進し始めている。
「攻撃したくてウズウズするな」
「本当に絶好のチャンスですね」
「マレリアもミノルさんも駄目ですよ。合同騎士団の演習にしなくては」
テリッチさんに怒られて指令テントに戻る事にした。
「到着は12時~13時か。武装はどうだった?」
「大した物は無かったぞ。大軍相手の演習に切り替えても良いかもしれん」
「隊長さん達に透明化マントをプレゼントしますから、見に行ったら良いですよ」
俺が各騎士団の隊長さんに透明化マントを配ってあげると、全員嬉しそうだった。
「私も行きましょう。姉さん、手前の山ですか?」
ラルド魔王さんが女王様に聞いて、マネさんと隊長さん達を連れて女王様が飛んで行った。
「私達も見たいです!」
ステン王子や警備隊の魔法大卒グループまでワクワクしている。
「隊長さん達が帰って来たら私が連れて行ってあげる」
テリッチさんの優しい提案に皆が喜んでいる。本来なら魔術師の攻撃練習にしたいくらいの相手なので、魔術師達が興味津々なのは仕方無い。
「緊張感だけは維持しょうね。事故みたいな事だって起きるのだから」
一応注意しておくと全員納得して頷いてくれた。




