第9章09話 王宮第一騎士団
洞窟に帰って来てから、我が家の奥様達は暫く家紋入りプレートを見てニヤニヤしていた。
「初めて名字を持つ気分は良いものですね。紋章まで付いてますもん」
「正式に嫁に登録されてナンカ凄く嬉しいです」
ミズリさんとポニーさんが本当に嬉しそうだった。
箕輪さんが手を回して銀行プレートと冒険者ギルドのプレートまで、紋章入りで作り直してある。
女王様が凄く喜んでくれているのが驚きだった。
「坊やの嫁になったという実感が有るな。このプレートを持っているのが家族なのだな。何か繋がりが強まったみたいで嬉しいぞ」
ノア兄さんが今、出来る最大限の仕事だったような気がする。
3日後、王様に招待されて久し振りに王宮に行った。
「ミノル殿、マネ殿、忙しい中スミマセンですな」
最近の王様は本当にオシャレになった。今日は薄いフリルでボタンを隠しているシャツが着ている。トメラさんが提供しているようだ!
「再婚でもするんですか?」
「そうからかわないで下され」
「イヤ、王様は最近カッコ良いですぞ」
マネさんにも誉められてニコニコしている。
「実は第一騎士団がやっとマトモに信頼出来るようになりましてな。ドロン騎士団隊長に鍛えて貰えないかと相談なのです」
「第一騎士団は何名なのです?」
「やっと120名揃えました。隊長はライリエ伯爵の孫で若いです。ライリエ家は代々王家直属の家でしてな、信頼は出来ます。貴族としての力は無いですが……」
「信頼出来るのが一番です。多少弱くっても今は本当に王家に忠誠を誓えるかが一番大切です。二度と反乱を起こさせない必要が有りますから」
「さすがミノル殿、私もそう気が付き古い騎士や男爵の家から集めて来ました。一応全員魔法も使えます」
30歳くらいで金髪碧眼のキリッとしたフルプレートが現れた。
「ライリエ第一騎士団隊長です。ライリエ伯爵の孫でしてな。鍛えてやって貰えませぬか」
「ライリエ第一騎士団隊長、おぬし強いのか?」
マネさんが凄く直接的に聞いた。
「いえ、騎士学校では中程度の成績で、剣術では先日ミア様に負けました」
正直でよろしいのだが……でも知られて無いけどミアさんは相当強いのだ。警備隊でトップクラスだった筈だ。
マネさんが念話で話している。
「第一騎士団は今、何名動けるのだ?」
「第一騎士団は国王直轄ですので、全員動けます!」
マネさんの質問にキビキビ答えている。
ポニーさんとミアさんが現れた。ライリエ第一騎士団隊長が直立不動で迎えている。
「ライリエ隊長、少し強くなりましたか?」
ポニーさんがニヤニヤと聞いている。
「ハッ、少し強くなりました!」
「今日から合同練習に参加して頂きます。半数の騎士はホフマブルグの練習場に、ホフマブルグから60名が王都練習場に来ます」
「すぐに用意をさせます!」
「ライリエ第一騎士団隊長はホフマブルグです。よろしいですね」
ポニーさんに余程鍛えられたのか、凄く素直だ。ドロン騎士団隊長は王家騎士団嫌いなので見物だ。
ミアさんとポニーさんがライリエ第一騎士団隊長と消えた後、王様が小声で聞いて来た。
「先日話していた魔国での実戦演習は何時になりましたかな? 出来れば彼等も使って貰えんだろうか?」
「来週だと思いましたが……構わないと思いますよ……どう思います?」
「問題無いと思うぞ。ボナブル公爵の騎士団でも短時間で少しは使えるようになったからな」
マネさんも前向きなようだ。
「自尊心だらけで言うことを聞かないのは即座に外しますが宜しいですか?」
「是非ともそうして下され。駄目騎士リストを教えて貰えると嬉しいです」
王様と話し終えてホフマブルグの騎士団練習場に行ってみるとステン王子が来ている。
「お久しぶりです。今日は練習の打合せに来てます」
「この中で知っている騎士はいます?」
「第一騎士団ですか? あそこの大きい騎士、ミューラーですね」
黒髪、碧眼の大きいカッコ良い人だ。
「強いのですか?」
「強いです。真面目ですし……ただ家柄が良く無いので出世しないのですよ。彼も正義の人なので上に媚びませんしね」
「もったいない」
「第一騎士団に居ると言うことは定年が近いのでしょう」
ステン王子も諦め顔で話している。
ドロン騎士団隊長もミューラー騎士は知っているようだ。俺とステン王子の話しを聞いて頷いている。
「ミューラーさんは最高の騎士ですよ。ステン王子の言う通りで、この週末で引退です。もったいないと私も思います」
顔を暗くしてライリエ第一騎士団隊長が話してくれた。
「ステン王子親衛隊の隊長にどうです?」
「いただけるなら喜んで! 現在私が隊長代理をしてますがどう考えても力不足で」
「儂も推薦しますぞ。彼は伝統的な騎士ですからな」
ドロン騎士団隊長の推薦も出た。
「では本人が希望するなら、その方向で進めて下さい」
「私とライリエ第一騎士団隊長とで手配しておきます」
第一騎士団の人達も真面目に練習をしているようだ。王様の騎士団とは思えない。すぐに使い物になりそうだった。
「フライト将軍、来週するのですか?」
「はい。現在打合せ中ですが、来週の早いうちに実行予定です」
「こちらからはどの位の人員を出します?」
「最低でも700名は連れて行きたいですな」
ドロン騎士団隊長も楽しみのようだ。
「それで構わないですから、情報が漏れないうちにやりましょうよ」
「では少し前倒しして考えておきます」
「第一騎士団との連携が取れるようにしておいて下さい。王様も期待しているようですから」
「「了解しました」」
ドロン騎士団隊長とフライト将軍はやる気満々だった。
少しずつだが良い方向に進んでいるような気がして来た。




