第9章04話 騎士団大合同練習
5月も中程となり、ノア兄さんの結婚式も6月15日と決まり結婚式の準備も着々と進んでいる。
騎士団の合同練習も好評で毎日ホフマブルグ、ロルクリンゲンに200名ずつ魔国から練習に魔王軍の騎士が送られて来る。魔王軍の騎士団は2000人以上居るので順番に来ているようだ。
魔国の武術は少し違ったものなので、お互いの技術向上にとても評判が良い。
ホフマブルグやロルクリンゲンに魔王軍の騎士がフラフラ歩いてたり、夜に酒を飲んでいるのも珍しく無くなって来ている。
「ボナブル公爵が結婚式前にミノル殿に会いたいと言っているのですが」
ロドニー公の館に茶で招待されてお邪魔していると、ロドニー公が言って来た。女王様とマネさんが目を細めて聞いている。
「ノア兄さんじゃなく僕ですか?」
「はい、良ければ是非とのことでした」
別に断る理由が無いので了承すると、すぐに飛んで来た。
ボナブル公爵は60歳くらいの白髪紳士で、温厚な感じの人だ。
「はじめまして、ボナブル公爵と申します」
「はじめまして、ミノルです。僕の妻のマレリアとマネです」
「有名な女王様と副司令殿ですな。お会い出来て光栄です」
女王様とマネさんが会釈をしている。
「本日は本来ならステン王子を私が保護すべきなところ、力が無いばかりにホフマン家にご迷惑を掛けたお詫びをせねばと思いましてロドニー公にお願いして来ました」
「気になさらないで下さい。ましてや、これからは親戚になるのですから」
「そう言って頂けると助かります」
ボナブル公爵が言いにくそうにしながら口火を切った。
「実はお願いが有りましてな……私の騎士団も合同練習に参加させて貰えれば嬉しいのですが……王家の騎士団と違い、腹黒いのは居ません。働き者で信頼も出来ますのです」
「それは素晴らしい騎士団ですね。騎士団の鏡のような方々ですね」
「その件に関しては私も保証します。品行方正に関しては……」
品行方正に関してはロドニー公も保証している。
「問題点は……弱いのです。半端無く騎士として弱いのです。弱いステン王子の親衛隊の半分くらいの能力と言いますか……そんなのが200名程で騎士団を形成しておりましてな……クビにすれば路頭に迷いそうで……何とかドロン騎士団隊長の下で周囲の国に悟られる前に鍛えて貰えればと思いお願いに上がりました」
女王様とマネさんが顔を真っ赤にして笑いをこらえている。
「ステン王子親衛隊ですら強くなりましたので、本当にやる気が有るのなら何とかなると思いますよ」
マネさんがドロン騎士団隊長を呼んで事情説明をしている。
「お引き受けしましょう」
ドロン隊長が頭をポリポリやりながら引き受けてくれた。
早速ボナブル公爵領のボエナブルグに全員で飛んだ。ボナブル公爵の館はとても気品有る素晴らしい館で、騎士団のプレートも派手過ぎず実用的な物で強そうな感じはする。
「サンスタイン騎士団隊長です」
ボナブル公爵に紹介された隊長さんは30歳を越えているくらいの若手だった。
「実は前の隊長と一緒に素行の悪い騎士150人程をクビにしたので、若返っているのですが……」
「練習場で腕前を拝見させて頂けますかな?」
全員で練習場に移動してドロン隊長とボナブル公爵側の一番強い騎士の練習試合をする事になった。
五本勝負の結果は5分掛からないで出た。基礎は有るが実戦的な技術が無いように見える。
「ボナブル公爵殿そうガッカリなさらずに。ドロン隊長が鍛えて下さりますぞ。今はフランツ騎士団隊長とフライト将軍もいますからな」
女王様がボナブル公爵を慰めている。
「フライト将軍とフランツ騎士団隊長を呼んで来ます」
ドロンさんがワープで消えた。
「ステン王子も連れて来た方が良いかもしれないですね」
マネさんが早速連絡している。
暫くしてドロン隊長が三人を連れて来た。
「お爺様、お久しぶりです!」
「ステン王子も元気なようだな」
フライト将軍とフランツ騎士団隊長をステン王子がボナブル公爵に紹介している。
「皆で相談して練習計画を立ててくれ。頼んだぞ」
マネさんが全部任せたと言った感じで言い放った。
「フライト将軍も若手育成では有名だ。期待しておるぞ」
女王様もフライト将軍に釘を刺すのを忘れない。
後はステン王子と軍人さんに任せて、我々は館でお茶と言うことになった。
「何も無い田舎ですが、エールが特産品でしてな、飲みませんか?」
「女王様とマネさんは絶対に断りませんよ」
「それは素晴らしい! 是非試して下され」
ボナブル公爵がエールと大きめのソーセージを出してくれた。
「このソーセージも特産品でして、試して下され」
どちらも美味だった。
「これは美味いですね」
女王様とマネさんがニコニコとして飲み始めた。
「ここのソーセージとエールが特産品とは初めて聞きましたぞ」
マネさんが不思議そうな顔をしている。
「余り知られて無いので、領外にも売れませんのです」
「売る気は有るのですか?」
「有ります! 売れれば領民も豊かになれますからな」
パトリックさんの出番のようだ。
「パトリックを呼んで来る」
マネさんがワープし、あっという間にパトリックさんを連れて帰って来た。また拉致して来たようだ。何処にいるのか判らずキョロキョロしている。
「パトリックさん、こちらボナブル公爵です」
二人で挨拶している。ロドニー公が話しの要点を説明している。最近結婚式と農場新設で会う機会が多いらしく仲良しのようだ。
パトリックさんもエールとソーセージを出してもらい、試している。
「どちらも美味しいですね。エールは年間に何万樽出せますか?」
ボナブル公爵が驚いている。どうやら互いに考えている単位が違ったようだ。
「ボナブル公爵もパトリックさんに農場を作って貰うと良いですよ」
ロドニー公が話しを進めている。我々は飲み食いに専念出来そうだ。
「このソーセージは実に美味いな」
「血を混ぜて作っていると思うぞ」
ロドニー公とボナブル公爵がパトリックさんと話し合っているのに、女王様とマネさんは周りを無視の状態でどんどん飲み始めた。
「親戚の家で遠慮は要りませんぞ。どんどん飲んで下され」
エールとソーセージの他に鳥の串焼きも出て来た。
「ミノルも、もっと飲め」
マネさんがエールを注いでくれた。
「坊やも強くなったな」
女王様も出先で俺の坊や扱いを始めている。最強の二人が酔い始めてしまった。
この後はパトリックさんが頑張って農場新設の約束を取り付け、トンカツや海老フライを運び込んで店を出す事まで決めていた。
ナンカあわただしい一日だった。




