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第9章02話 結婚式の打ち合わせ


 5月になってしまったので、ノア兄さんの結婚式の打ち合わせに忙しくなって来た。

 ロドニー公に呼び出されたのでマネさんと一緒にロドニー公の館に行った。


「ホフマン家は親戚と寄子、少数の関係者しか呼びません。リストは、お渡ししてある通りです」


「いや、こちら側も同じです。隣りのボナブル公爵は呼びますが……ステン王子の母の家でしてな。政治に興味を持たないので貴族院にも出ない方です」


「前にも言ったように日本大使館関係者はお断りしますが、後は大公のお好きに。ところでステン王子はどのような立場にしましょう?」


「私はホフマン家の客人として出席が良いと思いますぞ。王家側で出るとあの馬鹿長男が変な動きをし出すと面倒と思いますぞ」


「王家の望みならホフマン家は構いません」


「私が国王と相談しておきますよ。日本大使館関係者の件も国王に釘を刺しておきませんとなりませんし」


 ロドニー公は話しが通じ易くてとても助かる。ボナブル公爵の件は初めて聞いたがステン王子の母親の実家では呼ばざるを得ないだろう。


「ステン王子の母君は病死ですか」


「原因不明の病死でした。あの子が8歳の時です」


「お妃様は病死が多いですね」


 ロドニー公は苦笑いでノーコメントだった。


「ステン王子だけは無事にと思ってましたが、この状態です。ミノル司令がいなかったら殺されていたと思ってます。ボナブル公爵も感謝しておりました」


「とんでもない。力不足で」


「ミノル殿とお付き合い戴いて勉強させられました。そこで、我が領地でも警備隊に亜人や魔人、獸人を採用しようと考えております。入植者も人族以外からも積極的に受け入れて領地の立て直しをしたいと思いましてな」


「良い考えだと思います。ジリ貧になってからでは遅いですから。人選が大変ですが、アイラス教団も亜人や獸人は居ないので少し楽ですよ」


「確かに言えてますな」


「パトリックさんが以前こちらで農場経営を考えてました。入植者を受け入れるなら可能になると思いますので、相談してみません?」


「是非お願いしますよ。親戚関係で仕事が出来るなら理想的ですから」


 パトリックさんを呼ぶとすっ飛んで来た。


「お、お呼びで?」


 結婚式の招待以来、緊張気味のパトリックさんだ。簡単に俺から説明して検討をお願いしてみる。


「お任せ頂けるなら入植者の人選も含め最善を尽くします!」


「有り難いですな。信頼出来る親戚にやって貰えるとは幸運です」


 パトリックさんの動きがロボットみたいになっている。


「こちらは平地が余り無いので、山を一つ潰しませんか?」


「構いませんが、大工事になってしまいますぞ」


「魔術師にお任せ下さい。一週間掛からないで平地にします」


 マネさんが簡単に応えている。


「ロルクリンゲンを発展させるのか、他の街を発展させるのか考えておいて下さい。始めると凄いスピードで動き始めますので」


 パトリックさんがやっと普段の調子になって来た。


「崩して良い山の問題も有るだろうが、ロルクリンゲンから余り離れると輸送の問題が出ますぞ」


 マネさんが脅している。近いうちにテリッチさんが喜ぶイベントが起きそうだ。


「ロルクリンゲンの近くで良いでしょう。過疎化が起きてますからロルクリンゲンのテコ入れから始めないと」


「そうですね。やり方ではスラムも無くせますから」


 俺が提案するとパトリックさんも同意している。


 ロドニー公も凄く興味を持ったようだ。今日1日でどうにかなる話しでも無いので、後はパトリックさんとロドニー公で詰めて貰う事にした。


「後1ヶ月ですからな。早く暇になって領地の再編成をしませんと」


「ロドニー公、御言葉ですが結婚式の後は気を付けないと貴族達の方が再編成で不穏になりますよ」


「そうなのですか?」


「王家、ロドニー公とホフマン家から呼ばれなかった貴族達は結集を始めるでしょう。まあ、こういう話しは女王様の方が得意でしょうが」


 ロドニー公に挨拶もしていなかったのでマネさんが女王様を呼び出した。研究室に居たのか黒いローブ一枚で現れた。


「ロドニー公か、久しいのう」


「女王様とは本当に久し振りですな」


「なに、これからは親戚関係じゃ、会う機会も多かろう」


 俺が今話していた貴族達の話しをすると、女王様は笑って話し始めた。


「それは政治活動が好きな貴族達は気が気でないだろう。ロドニー公とホフマン家は近しい者しか呼ばぬから、馬鹿どもは王家枠に入れるかどうかで大騒ぎになるだろうな」


「なるほど、思いがけない貴族が不満分子と結託する可能性が出て来ますな」


「魔国でも私の跡目で争っているのが組んで来ているので、パスコ王国の不満分子と魔国の不満分子が手を組むと見ている」


「面倒な話しですな」


「話しが前後するが、結婚式では祝い金や品物は一切受け取らない事にした方が良いですぞ。大金が飛び交って参加出来ない寄子などが出て来る」


「良い考えですね。どうせ少人数でやるのですから、祝い金や品物は要りませんですよね」


「賛成ですな。ボナブル公爵などはそれ程豊かでは無いし、ステン王子の手前困っていると思いますぞ」


 ロドニー公も賛成で即座に決定した。流石に女王様は色々な所に気が利く。


「ボナブル公爵と王家の関係はどうなっているのです」


 マネさんが厳しい表情でロドニー公に聞いた。


「余り良く無いですな。やはり娘を殺されたと考えているようでステン王子と時折会う程度です。かといってステン王子を領地に受け入れて住まわす程の力も無く、ステン王子はホフマン家に頼った形ですな」


「では結婚式にはステン王子はホフマン家の客人であり親戚関係として出席させると良い。それに誰も文句を言えまい」


 女王様がニヤニヤと楽しんで話している。確かに第一王子や王様の敵はステン王子への処遇に困る筈だ。王位継承レースの先頭にステン王子が居ると見る者も出て来る筈だ。


「ステン王子への身辺警護を強化しないとな」


 マネさんが渋い顔をしている。


「一度襲わさせるのも良いのだぞ。即座にソシル子爵かトメル公爵がボロミア公爵のような運命になれば大人しくなる」


 女王様は伊達に800歳を越えていないと感心してしまった。


「トト師匠にステン王子を守らせるのも面白いな」


「それは良い考えだ」


 マネさんと女王様が脱線を始めた。そろそろ切り上げないとロドニー公と一緒に、話しが桃色化しかねない。


「さて、そろそろラルドさんに会いに行く時間ですよ」


「もう昼か、ロドニー公も如何かな? パトリック殿も一緒に行こうではないか」


「良いですね。是非一緒に行きましょうよ」


 女王様と俺に誘われて二人共、旧魔王宮殿に行く事になった。


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