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第8章25話 材料集め


 一年掛けてアイラス教団の修道院まで潰す事が出来た。これでアイラス教団のダメージから言って相当動きが鈍るだろう。

 だけど情けない事にあんな作戦をやっただけで少しダメージを受けてしまったようだ。

 洞窟に帰るとミズリさんに捕まってしまった。


「はいミノルちゃん、こっちおいで。マレリアさーん」


 ミアさんが俺のローブをスポッと脱がすと、ポニーさんが池に放り込んでくれた。


「坊やは、やっと一層がまともになったばかりだからな」


 女王様がヨシヨシしてくれて、スリスリしていると幸せな気分になって来た。自分から吸い付いていって意識が無くなった。


 気が付くとミアさんにしがみ付いていた。


「お昼を食べる? もう少し寝ているのがお薦めだけど」


 綺麗な笑顔を見てスリスリしているうちに、また寝てしまった。

 人間は、何処かが悪くなると良く眠るようになる。次に気が付いたのは夜の8時頃だった。


「坊や、起きたのか?」


 女王様は本当に美人だ。一度胸にスリスリしてから起きる事にした。


「良い顔色になりましたね」


 テリッチさんが覗き込んでいる。


「ミノルが少しシャキッとしたら晩御飯に行くぞ」


 マネさんが皆に言っている。


 口を濯いで顔を洗うとサッパリした。頭をタオルでゴシゴシして身体を拭いていると、ポニーさんが櫛を入れてくれた。


「ミノルの準備が出来たようだ。行くぞ」


 ネリさんが少し急いでいた訳が分かった。宿に着くと我々用のテーブルがカニで山盛りになっていた。


「お待ちしてました。今日穫れたカニで茹でたてでーす」


 エールが配られる前に全員カニに手を伸ばし食べ始めている。


「これは美味いのう」


 女王様は海の幸が大好きなのだそうだ。今度ヘフナドルフに食べに行かなくては。


「今日は何をしていたのです?」


「テリッチさんとアイラス教団修道院跡で材料集めをしていたのだ。凄い成果だぞ」


「明日も行きますので、良かったらミノルさんも行きます?」


「行きます!」


 アイラス教団の修道院跡はテリッチさんの材料コレクションには多大なる貢献だった。やはり山を一つ崩すと色々な物が手に入る。


「明日ミノルさんが破産しても、すぐに元通りに出来ますよ」


 そう豪語する程の収穫だったようだ。今日女王様とテリッチさんが一日中かかって集めた材料は膨大な物だったようだ。


「時々は魔国の山を崩した方が良いかも知れんな」


 女王様が恐ろしい事を言っている。


「ロドニー公がミノルに会いたがってましたよ」


 ミアさんが報告して来た。


「女王様と行くしか無いかも」


「余り何でも良い返事をしては駄目だぞ」


 マネさんが厳しい。


「パトリックさんと相談して、養豚場と米や大豆なんかを作らせようかと思っているのですよ。ここから離れているから新拠点になるかなと考えているんですけど」


「あそこは平地が少ないぞ」


 マネさんが心配している。


「問題の無さそうな山を崩せばテリッチさんが喜ぶじゃないですか」


「作ってあげても、あそこ人手不足で駄目ですよ。ロドニー公が入植者を受け入れないと先に進まないと思いますよ」


 ミアさんも厳しい意見だった。


「そこまで口は出せないから、放っておくしか無いですね。ノア兄さんには泣いて貰うしか無いですか」


「確かあそこの辺りは時折、不作で飢餓になった事も有る地域だったと思います。その時に助けるしか無いですね」


 流石に長生きのテリッチさんが詳しい。


「いつ頃有ったのだ」


「確か200年くらい前だったと思いますよ」


 マネさんに応えている。また200年前だ。


「ホフマン領だって余っている訳では無いからな」


「ノア兄さんが責任を取って一生懸命に小麦粉の複製でもしますよ」


「そうだな、二人で部屋に隠っている時間を減らせば出来るだろう」


 皆、マネさんの意見に同意だった。




 次の朝、俺はマネさんとテリッチさんで精霊様詣でに行った。皆さん出て来て俺の体調の確認だったと、アイラス教団の修道院を無くした事を誉めてくれた。

 女王様の話は無かった。何か都合が悪いのかと疑りたくなる。

 サッサと済ませて洞窟に戻り、女王様とアイラス教団修道院跡に飛んだ。一部、草地にしてあり休息所が付いている。中には風呂とトイレも付いていた。


「マレリアさんが作ってくれたのですよ。修道院跡は全部聖域化してあるので外から見えないし安全ですよ」


 テリッチさんが嬉しそうに説明してくれた。


「ここは風が強くて少し寒いので一時的に聖域化したのだ。坊やはゆっくりしていてくれ」


「儂は食べ物とエールを取りに行ってくる」


 マネさんが消えた。地表がチラチラ光っている。近くで見ると色々な種類の鉱石のようだ。


「この銀色のがミスリルだ。金色は金鉱石。この緑色のがオルハリコンを作る時に必ず必要となる鉱石だ。とても貴重な物だ。ラルドが気が付く前に全て持って行く」


「気が付いて無いのですか?」


「埃が積もっていたので私が除けたら出て来たのだ。我々以外は気が付いていない」


 ラルドさんには悪いが、俺も手伝う事にした。考えてみると金が一番価値が無い。


「金は後回しだ。坊やはそれ以外の鉱石を集めておくれ」


 マジックバッグに片端から入れて行く。マネさんとポニーさんが来て手伝い始めた、スピードがグンと上がった。

 時々立ち上がって腰を伸ばして、皆に治療魔法を飛ばした。

 テリッチさんと女王様は、時折ピンセットで小さな鉱石を集めている。きっと貴重な物なのだろう。


「1時間経った、休み時間だ」


 マネさんに言われて休息所に全員で行った。


「ミスリルだけで凄い価値ですね」


 ポニーさんがマジックバッグを見て言った。


「オルハリコン鉱石の方が遥かに価値が有るのだ。現在は昔に採った物しか無いと言われている」


 女王様がポニーさんに教えている。


「昨日はマレリアさんと大きな鉱石を集めてしまったので、今日は皆で小さめのを集めているのです」


 テリッチさんが嬉しそうに話している。


「午後からミアとミズリが王都から帰って来るので今日中に終わるだろう」


「なんかラルドさんに悪いですね」


「坊や、気にする事は無い。金鉱石を全部残してやればアレは喜んでいると思うぞ」


 女王様は気にもとめて無いようだ。どうりで金鉱石がゴロゴロと邪魔な筈だ。


 お昼ご飯までに半分近く集めてしまった。ミアさんがお昼ご飯とエールを持ってミズリさんとやって来た。


「宿のご飯とカツサンドでーす。豚カツですよ」


「僕はカツサンド!」


「坊やと同じカツサンドを食べてみるぞ」


 女王様はカツサンドが相当気に入ったようだ。


「これは美味いな。癖になる」


「エールと相性が良いですよ」


 ミアさんに勧められてエールで流し込んでいる。


「パトリックが寿司を作るので、ミノルに来るように伝えて欲しいと言ってました」


「遂に魚が揃ったのかな。行きますよ、楽しみだな」


 ミアさんが寿司の説明を皆にしている。慣れないと食べれないかもしれないな。

 色々話をしているうちに作業の再開時間になった。


「坊やは洞窟で二時間の昼寝をしておいで。まだ無理は駄目だ」


「もう大丈夫ですよ」


「駄目! 二時間で起こしてあげるから」


 ミズリさんが当てにならない約束をしてくれた。結局ポニーさんに引きずられて洞窟に帰り、池に浮かされて寝かしつけられてしまった。




 ミズリさんに起こされた。4時過ぎだった。


「二時間で起こしてくれるって言ったじゃないですか」


「起こしました! また寝てしまったのは自分でしょう」


 言われてみれば、そんなような記憶が有る。


「……ごめんなさい」


 壁の辺りがマジックバッグの山になっている。


「凄い量ですね」


「まだ、向こうに沢山有りますよ。最後に手分けして持って来ます」


 ミズリさんと修道院跡に戻った。殆ど集め終わり、大量の金鉱石だけ残っている。


「良く寝れたようだな。顔色が良くなった」


 休息中のマネさんが俺を見て言った。


「もう終わりだ。金鉱石に砂をかぶせてラルドに知らせたら帰る」


 俺とミアさん、ポニーさんミズリさんはマジックバッグを洞窟に運んだ。


「これ、倉庫を作らないと駄目だね」


「マレリアさんが造るって言ってたよ」


 ミアさんが教えてくれた。

 マジックバッグを積んでいるとマネさんとテリッチさんが帰って来た。


「これ、ここで良いの?」


「作業場にとりあえず入れますよ」


 テリッチさんがマジックバッグを運ぼうとしている。


「置く所、有ります?」


「ミノルさんが寝ている間にマレリアさんが広げてくれたので、余裕が有ります」


 見に行くと奥に5メートルくらい伸びていた。


「広くなりましたね」


 機材でゴチャゴチャしていたのが、機材を置き直して有るので整然として見える。


「奥の広い所に置きますよ」


 皆でマジックバッグを運んでいると女王様が帰って来た。


「ラルドが金鉱石で喜んでおった」


 女王様がニヤニヤしている。


 皆でマジックバッグを運んで仕事が終わった。平和な1日だった。


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