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第8章24話 アイラス教団修道院


 精霊魔法に『防御』というのが有る。これが便利な魔法で魔法攻撃や呪い、混乱などから守ってくれるのだが発動してないと効き目が無い。

 テリッチさんと女王様がこの魔法が自動発動して守ってくれる魔法陣を作っている。


「簡単に透明化リングに組み込めますけど、何時発動するかのきっかけを魔法陣に伝えるかが難しいです」


 テリッチさんが錬金術大全を見ながら考えている。


「リングに防御魔法を溶かし込んでおくのだ。軽くで良いのだ。それが働いたらリングの持ち主の防御魔法が発動するようにしたら良いのではないか?」


「儂もマレリアの意見に賛成だ。防御が遅れて呪いなどが少し入った時の為に浄化も同時発動すれば良いのではないのか?」


 マネさんも大全を読みながら話している。


「正常な状態が続けば逃げれるし仲間の元に帰れる。私やラルドのように、気が付かないうちに呪われたり混乱状態になったりするのが避けれるのが大切だと思うぞ」


「そうですね。アデルさんやセリちゃんのように、自分から陥らない限りは安全な体制は作れますね。

 今のプランで試作してみます。新しい魔道具でリングには相当溶かし込めますから」


 女王様は余程懲りたらしい。ラルドさんですら呪いから起きる混乱を起こし、自分で気が付かないのだから。


「家族の皆が呪われているところなど見たくないのだ」


 女王様の言葉には皆が同感だった。


 ミアさんとポニーさん、ミズリさんが王宮から帰って来た。反乱以来毎日連絡と手伝いで誰かが顔を出している。


「ボロミア公爵が反乱の首謀者の一人で公爵剥奪になったのですけど、行方不明らしいですよ」


「上手くいったみたいだな」


 マネさんがニヤニヤしている。


「ミアノスドルフは魔獸に襲われて最後に不自然な大火災を起こしたらしいです。大量のセントニアが燃えたからという噂ですね」


「ポニーさん、その噂は王様から?」


「いえ、トレル警備隊情報隊長からです」


 クレールブルクも燃えてくれれば良いのだが、まだ魔獸が走り回っている最中だ。


「新宰相はほぼ決めているらしいですよ。ドロン騎士団隊長は王国騎士団の団長が決まり次第、こちらの兵力を引き揚げると言ってます。ステン王子とロドニー公も同意見らしく、ミノル司令の判断を仰いでます」


「王国騎士団の腐敗が酷いのでしょう。悪影響を貰いたく無いですね。引き揚げ時期はドロン騎士団隊長の判断に任せると言っておいて下さい」


「了解です」


 ミアさんが、とても良くやってくれている。王様も自分で決めていきたいようなので、俺やロドニー公が顔を出さない方が良さそうだ。


「ロドニー公とステン王子が、王国騎士団との関わりを避けてます。余程気に入らないのでしょうね」


「関わると国政に口出ししていると貴族達に思われる。坊やが行かないのもそれが理由だと思う。国王が頑張るしか無いだろう」


 女王様がミズリさんに説明してくれた。

 政治的な駆け引きに参加しないで、今はノア兄さんとテルリアさんの結婚を無事に済ませてしまうのが最優先だ。


「そう言えばロドニー公の新領地に放した魔獸は、無事に順応している?」


「森と草原が思ったより大きく、森にも魔素がそれなりに有るので良い状態です。冒険者と猟師が喜んでいるらしいですよ」


 ミアさんは何でも把握しているようだ。


「産業が無いから徐々に人口が減っているみたいで困っているみたいです」


「ホフマン辺境伯領だって一年前は同じだったからな。やっと良い方向に動き出したばかりだ。他領の世話を出来る状況ではないぞ」


「マネさんの言う通りだけど、頼って来たら何もしない訳にもいかないし困ってるんですよ。ノア兄さんの立場も有るだろうし」


 ラルドさんから連絡が入った。


「アイラス教団の修道院が魔国で発見されたようです。宮殿に行きます」


 旧宮殿に行くとラルドさんとサキバさんがいた。


「忙しいところ呼び出して申し訳無いです。ですが、私とサキバだけでは難しそうな施設なんですわ」


「どんな施設なんです?」


「昔の、山をくり抜いた城みたいな施設です。近くに寂れた漁村に見せかけた港があり、そこからパスコ王国にセントニアを送ったり、魔術師を派遣しているみたいです」


「場所は何処です?」


「対岸にヘンドリックス辺境伯領のミルレドルフが有ると言えば分かり易いですかな」


 どおりで北の国に固執している筈だ。


「とにかく行ってみましょうよ」


 全員透明化してワープした。少し離れた山に降りると城と言うより、本当に山をくり抜いた遺跡みたいな物だった。


「デカい遺跡みたいですね」


「貴重な遺跡ではないのか? 壊して良いのですか」


 マネさんまで遺跡壊しに躊躇している。


「気にしなくて良いのだ。この程度のはそこら中にゴロゴロしている。それより、坊やはどう攻める」


「これだけ大きいと中腹辺りを全員で爆裂の連射ですかねー」


「そうですな、上から崩していくか……難しい選択ですな」


「上から崩していきましょうか。大きいからいきなり中腹では効果が無いかもしれないです」


 協議の結果、上の4分の1をとりあえず壊すことになった。

 ラルドさん以外は全員ワンドを取り出した。


「ミアさんがくれたのだ」


 女王様が嬉しそうにワンドを持っている。


「魔王様のも有りますよ」


 ミアさんがラルドさんにワンドをあげた。


「これは済まんですな。高価な物を。有り難く使わせて貰いますぞ」


 ラルドさんも嬉しそうにワンドをいじっている。


「じゃ、上から4分の1くらいの高さを狙って連射して下さい。爆風に気をつけて」


「「「「「「「「「爆裂!」」」」」」」」」


 9人の同時爆裂の爆風は凄いものだった。全員爆風除けのバリアーを張っているので何とかなっている。一人5発くらい撃って結果を見ることにした。


「土煙りがなかなか収まらないですね」


「テリッチさんの材料集めに良さそうだな」


「マレリアさん、良く分かってますね。楽しみで。山を一つ崩して出る材料は楽しみです」


 約800歳と約280歳の会話は現実離れしている。


「警戒の赤い点が、真ん中あたりからしか無いですから気にしないで山の中腹辺りを撃ってみましょうか?」


「風も無いし待つのも面倒だ。撃つぞ!」


 マネさんが撃ち始めたので全員爆裂の再開となった。

 赤い点を頼りに少しずつ下に狙いをずらしていく。10発くらいで魔力不足の人が出そうなので一休みになった。


「敵の残りも少ないし一度エールを飲みに行って30分くらいで戻らぬか? ホコリが収まらん」


「マネさんの言う通りですな。王宮に戻りましょう」


 王宮に戻ってラルドさんは見張りを一人送った。召し使いさんがエールを配ってくれている。


「飲みましょう。喉がイガイガします」


「冷えていて美味いな」


「ミノル殿にコックを紹介して貰ってから食事が楽しみでしてな」


 カニのオムレツとソーセージが来た。


「美味いな! 王宮で美味い物が食べれるのは奇跡だぞ」


 女王様が勝手な事を言っている。


「漁村は軍が収めたようです。船が6艘没収出来たのでパトリックさんに買って貰わないと」


「兄は喜んで買いますよ」


「そう言えば、パトリックさんも親戚になったのですな! 姉上のお陰で良い親戚が増えて嬉しいですぞ」


 ホコリがはれたらしいので現地に戻ってみると、山の土台部分が残って外を黒いローブを着たのが大量に走り回っている。完全に攻撃が終わったと思っているようだ。


「まとめて片付けるぞ」


 マネさんが、そう言うと爆裂を連射し始めた。全員で爆裂連射を始めた。10発くらい撃っていると赤い点が無くなった。


「また王宮に戻りましょう」


 王宮でエールと料理をご馳走になる。全員楽しそうだ。


「マレリアさんと魔王様は何歳くらい離れているの?」


「100歳くらいだったと思うぞ」


 ミズリさんの質問に気軽に応えている。


「魔王様もまた結婚すれば良いのに。カッコ良くなっているから、選ぶのが大変なくらい候補が出そうですよ」


 ミズリさんが煽り始めた。


「そうだな。ラルド、お前再婚しろ」


 女王様まで始めたのでラルドさんが困ってサキバさんが笑っている。


 フェン兄さんとドレッチェルさんも参加して来て宴会になってしまった。

 アイラス教団の修道院は魔王軍が入ったようなので、心配無く夜まで続き、箕輪さんも現れて親戚大集合となりラルドさんと女王様が本当に楽しそうだった。


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