↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
199/223

第8章22話 反乱


「坊やは、また減らしてしまったな。マネ殿、私が治しても良いかな?」


 洞窟に帰ると宴会の続きと思っていたのだが、また顔色が悪くなっていたようだ。


「儂等では力不足ですので、やって頂けるのでしたら是非お願いします」


 女王様は俺を池に浮かばせると、抱き抱えてキスしてくれた。


「さあ坊や、吸いなさい」


 微笑んでいる女王様に吸い付くと不思議な美味しい味と安心感ですぐに意識が遠くなって行った。



 目を覚ますとテリッチさんが抱えてくれていた。


「起きますか?」


 テリッチさんの優しい笑顔に頷いて、起き上がった。夜の9時だった。20時間くらい寝ていたらしい。


「半分以上の時間。女王様が世話してくれたのですよ」


 すっかり世話になってしまったが、凄く快調だった。口をゆすぐとサッパリした。


 マネさんとミズリさんが女王様と話している。起き上がった俺を見て手招きした。


「ミノル、話しが有る」


「何です?」


「女王様も、また長い間一人は嫌と言うし儂もそれは当然と思う。そこで女王様にお願いしたのだがミノルが良いと言うのなら嫁になってくれるそうだ。どうする?」


 マネさんとミズリさんが俺を睨むように見ている。女王様は真っ赤な顔をして俯いて黙っていた。


「いや……あの……女王様が僕で良いと言ってくれるなら喜んで」


「ミノルちゃん偉い! 人を見る目が出来て来たね」


「女王様は、これも希望しておられる。すぐにおこなって結婚の儀とするぞ」


 マネさんに例の印を三本渡された。


「じょ女王様にこれですか?」


「女王様が望んでいるのだ!」



 結局、女王様の望み通りにして結婚の儀となってしまった。


「坊や、こんな婆で済まんな。一生懸命に妻をするので我慢しておくれ」


「我慢なんてとんでもないです! 嬉しいです!」


 宴会の料理とエールは既に用意されていた。寝ている間に全ては決まっていたようだ。


「「「「「「「乾杯!」」」」」」」


「結婚オメデトー」


 女王様はミアさん手作りのベールを頭にのせている。

 自分の嫁さんに結婚を祝福されるのも変な感じだが、とても嬉しかった。


「ミノルさんが寝ている間に女王様が『身代わりリング』を三人に作ってくれたのですよ」


 テリッチさんが俺に報告すると、ミズリさん、ミアさん、ポニーさんが青いリングを俺に嬉しそうに見せた。


「あれは昔、一部の部下に配った物でな、売った馬鹿がいて坊やの手に渡ったようだ。足らんようだったので作った」


「女王様に貰ったクリスタルでテリッチさんが髪留めを作ってくれたんです!」


 ミズリさん、ミアさん、ポニーさんが髪留めを俺に見せてゴキゲンだ。


「女王様、沢山頂いてスミマセン」


「私は透明化リングを貰った。これは嬉しいぞ」


「また7人家族に戻れましたね。」


 テリッチさんが、しみじみと言うと皆が頷いている。


「精霊魔法で精霊様は何か言ってなかった?」


「山の精霊様が出て来てミノルさんの容態を聞いただけでした」


 ポニーさんが応えてくれた。フリーパスを得たようだ。女王様も精霊である事に変わらないので文句の言いようが無いだろうけど。


「文句が有るなら私に言えば良い。今回ついでに全員の上限を無くしておいた。どんどん強くなるぞ」


 お姉さん達は盛り上がってエールが進んでいる。

 隣に座っている女王様が俺に言った。


「今回で一人の辛さを思い知った。行く先の無いみじめさも身にしみた。皆で押し付けあっている時、助けてくれたのは坊やだけだった。感謝するぞ」


「何故、急に狙われ出したのです?」


「私が坊やと話しをしているのが広まったのだ。混乱して、村に閉じ込められている間に新たな魔王候補が何人か出て来たのだ。そこで私が正気になったら新たな候補は全員困る。だから殺しに来ているのだ」


 また俺が原因を作ったらしい。


「坊やの責任では無いぞ。そもそも坊やが話し相手になってくれたから治ったようなものだ」


 世の中は複雑なものと、つくづく思った。




 王様から緊急要請が入った。


「全員で王宮に行きます。反乱が起きたようです」


 皆が急いで完全武装にしている。行く気満々の女王様には俺の服とダンジョンのご褒美から剣を選んで貰った。


「ミアさん。ドロン騎士団隊長とステン王子に連絡して下さい。王様の謁見の間にステン王子はドロン騎士団隊長を連れて来るように」


「了解」


「装備が終わったら、すぐに飛びます」


 全員の装備が終わったので王宮に全員で飛んだ。


 王様は少数の騎士と魔術師に守られていた。


「王様、何事です?」


「ミノル殿、申し訳ない。昼に宰相と騎士団隊長を解任したら第三王子と組んで反乱を起こしました。魔術師5名と騎士団から300名くらい、第三王子親衛隊50名が反乱側らしいです」


 ステン王子とドロン騎士団隊長が到着した。マネさんが説明している。


「反乱側は今、何処に?」


「訓練所にて集合中であります。噂では魔国とアイラス教団からの援軍待ちらしいです」


 王様の側に居た騎士が応えた。


「ドロン隊長200名くらいすぐに王宮の大広間に送れます?」


「了解。5分以内に」


「騎士団が到着したら一階に展開。ステン王子は王様の護衛。ポニーさんとミズリさんもここを守って」


「「「了解」」」


「さて対魔法バリアーを張ってワープを防ぐとして、我々は外に出て待ちますか」


「それが良さそうだな。魔国とアイラス教団は魔術師を連れて来るから先制攻撃でもするか」


 マネさんが先に攻撃を提案した。


「司令、全員到着しましたぞ」


「内部の指揮はドロン騎士団隊長に任せる。必要ならフランツ騎士団隊長に連絡して待機を要請すること。テリッチとミアは我々と外に」


「了解した」


 我々5人は透明化して近くの建物の屋上に飛んだ。


「女王様、王宮に対魔法バリアーを張って下さい。女王様が一番強く張れると思います」


「良いぞ」


 女王様がバリアーを張ってくれた。


「訓練所に親分と魔術師が居ないですね」


「そうだな。まだ屋内ではないか。マネ殿はどう思う?」


「援軍が来たら出て来ると思うぞ。指揮官と魔術師を先に倒すのが理想的なのだが」


「あそこに居るのを先に片付けましょうよ。今なら密集しているし早いうちに数を減らした方が楽になります」


「そうだな。女王様とミノルならここから撃てるのではないか」


「いけますよ」


「出来るぞ」


 俺と女王様で攻撃を開始した。それなりに距離が有るので一度に30人くらいしか狙えないが、女王様と二人なので、それなりに片付いてゆく。


「結構な数の魔術師が居るな。凄い数のファイヤーボールが空中に撃たれている」


 マネさんが建物を探しながら話している。


「テリッチとミアと儂は射程圏の建物に移動する。女王様とミノルは、ここから王宮前広場を狙ってくれ」


 そう言ってマネさん達は飛んで行ってしまった。

 マネさん達が参加してからの攻撃は進み、さっさと終わってしまった。

 王宮前広場に先に着いたのはロドニー公の軍だった。王宮の周囲に展開し始めた。


『ドロン隊長、王宮には逃走用の隠し地下通路とか無いのですか?』


『今、ステン王子が親衛隊を連れて警備に行きました』


 王宮内部は無事に済みそうだ。


「坊やは大丈夫かな? どれチョット見せてみよ」


 女王様が頭に手を置き調べている。最後にニッコリ笑ってキスしてくれた。

 元気が戻った気がする。


 王宮の近くの建物に赤い点が20くらい見える。攻撃しようとしたら、女王様が先に打ち込んでいる。

 簡単に終わらせてしまった。外を受け持っているフランツ騎士団隊長に確認に行ってもらう。


 マネさん達が戻って来た。


「援軍が来ないな。退屈でかなわん」


「ミノル、お腹空いたよー」


 ミアさんがボヤいているので、ポケットを探すと海老フライサンドが出て来た。


「流石ミノルのポケットだな」


 マネさんが笑っている。

 連絡が入ったようだ。


「さっきのが、反乱首謀者達だったらしい。フランツ騎士団隊長からの報告だ」


「バリアーを解いて王宮に戻りますか?」


「そうだな、終わったようだな」


 全員で謁見の間にワープした。兵士やフル装備の貴族でごった返している。

 王様が飛んで来た。


「ミノル殿、すっかり世話になってしまって申し訳ない。助かりました」


 王様が女王様を見ている。


「ひょっとしてマレリア女王ですかな」


「久しいな。あの王子が王になったのか」


「今日は何故、此処に」


「女王様は僕の奥さんなんですよ。今日は手伝ってくれたんですよ」


「ミノル殿の奥さん! 女王様が!」


「そうだ。これから宜しく頼むぞ」


 王様の口が開いたままだった。


 後はドロン騎士団隊長に任せて我々は帰ることにした。

 洞窟に帰って全員で池に浸かっていると、お腹が空いたような気がした。


「ベッドハウスの食堂に行きましょうか?」


 テリッチさんの提案に全員で賛成してローブだけ羽織ってベッドハウスにワープした。

 食堂は相変わらず夜中にもかかわらず客が沢山いた。


「坊ちゃん、珍しいね」


「坊ちゃん司令、コンバンワ」


 あちこちから声がかかる。


「皆さんに祝福を」


 俺が祝福をすると奥さん達全員が祝福や幸福を撒き散らした。

 歓声が上がった。皆さんに喜んで貰えたようだ。


「坊やは人気者だな」


 席に着くと夜食の筈が宴会になってしまった。


「家族が居るのは良いものだな」


 女王様が、しみじみと言った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。