第8章21話 呪い解き
「同じ間違いをしてしまった……坊やには済まない」
俺にヨシヨシしながら女王様が戸惑っている。
「混乱の影響ですよ。ても、肌が殆ど治ってますね。僕と女王様は互いに利用しあっているみたいですね」
ポーションで混乱が出て来るのは、まだ呪いみたいな物の影響が残っているのだろう。
「そうだな。坊やも削れが修復されて完全な一層が出来上がっているな。私の魔法も完全に使えるみたいだ」
マネさんから念話が入って、食事に居るらしい。
「食事に行きましょう。マネさん達が来ています」
食堂のテラスに全員いた。
「聞いて欲しい。私は皆さんに謝らなくてはいけない事をしてしまった」
女王様が皆を前に話し始めた。
「混乱が出ました?」
テリッチさんが言葉を遮るように言った。
「出てしまったのだ……恥ずかしながら……」
「テリッチの予想通りだな。女王様は気にしなくて良いですぞ。ミノルが気を失っただけの事ですから」
マネさんも予定通りみたいな口調だ。
「ミノルちゃんは普段からイタズラばかりしてますから女王様にギュッと言わせて貰った方が良いのですよ」
「そうなんですよ。私がポーション飲んで落ち着いているとツンツンしたり酷いんですよ」
ミズリさんとポニーさんが女王様に訴えている。
「坊やの嫁達は皆、優しいな。詫びとして皆にこれをあげよう」
女王様は全員の頭に手を乗せて歩いた。皆驚いている。
「坊やと同じ完全な精霊魔法だ。貰っておくれ」
「凄い! これがフルセットなんだ」
ミアさんが驚いている。
「これ使って女王様の浄化しようよ」
「それイイネ。レベル上げにもなる」
ポニーさんの提案にミアさんが賛成した。
「女王様、こんなに配って大丈夫ですか」
「坊や、心配しなくてもすぐに戻るのだ」
「食べている間に全員で浄化しあったら? すぐに増えるよ。再生なんて女王様の再生で今120くらいになっているもの」
皆が互いに浄化魔法を飛ばしあっている。
「坊やのお陰で凄く若返ったのだ。少し見れるようになっているだろう?」
「見れるなんて。凄い美人ですよ」
テリッチさんに言われて女王様が照れている。
「呪いが取れたら、もっと綺麗になりますよ」
「誰が女王様の寿命や魔法に制限を付けたのかだな」
「呪いを解いてから考えましょう」
テリッチさんとマネさんが白身魚のソテーを食べながらのんびりと話している。
俺と女王様は食べるのが最優先だった。
「ミノル、何処で浄化する?」
「テリッチさんを浄化した時はそこの広場だったから、また広場を使いましょうか?」
「屋根が無い方が良いですよね。私の時は相当の高さまで使いましたから」
「テリッチ殿は呪われておったのか?」
「はい。ミノルさんが取ってくれて、メダルも再生してくれました」
「確かに坊やは守護主だな」
女王様が俺のメダルを見ている。
「女王様のは1時間くらいはかかる可能性が有るな」
「今日は6人でやるから早いですよ」
「全員で周囲の警戒をしながら浄化せんとな」
「そうですね。ラルドさんも女王様の安全を心配をしていました」
マネさんが襲われる心配をしているようだ。
「魔国で安全を確保出来ないと、パスコ王国内でも女王様を政治利用する連中が出て来る。女王様に安全と自由を与えられるのはミノルしか居なくなるぞ」
「大丈夫ですよ。頑張ります!」
「坊や、済まないな」
「ミノルちゃんは女王様が大好きだから気にしないで良いですよ」
ミズリさんにからかわれて赤くなってしまった。
食事を済ませて村の広場に移動した。夜遅くなっているので誰も居ない。
マネさんが広場を明るくした。
女王様を中心にして、我々6人で囲んだ。全員ワンドを手にし、持った手を付き出して同時に唱えた。
「「「「「「浄化」」」」」」
テリッチさんの時のように青い光と光の粒が女王様を包み、光の粒が渦巻きだす。6人で浄化しているせいか青い光と光の粒が凄く多い。
10分くらい、そのままの状態が続いてから女王様の身体から黒っぽい紫色の煙りのようなものが微かに出てきた。
徐々に女王様の頭の上で紫色の煙りが集まり渦巻きだした。
女王様から引きずり出される黒っぽい紫色の煙りのようなものが、どんどん増えて来た。女王様が上を向き口を開けると口からも煙りが出始めた。
そのまま10分以上経った頃に女王様の身体から出る煙りの色が薄くなって来た。出て来た煙りが女王様の頭の上で黒紫色に渦巻いている
しばらくすると身体と口から煙りが出るのが止まり、頭の上の黒紫色の渦巻が小さくなり始めた。
5分くらいで全てが終わった。俺は解毒と治療魔法を掛けて女王様の両手を取り魔力を送ると顔色が良くなった。
女王様の見た目は30歳くらいになっていた。
「女王様がなおさら美人になっちゃった」
ポニーさんが感心している。
「坊やも皆さんも世話さなって申し訳ない。こんなに身体も心も楽なのは久し振りだ」
「魔王様も呪われているのかも知れない」
ミアさんさんが言った。
「可能性は十分に有るな」
「以前は宮殿から離れなかったし、何か制限されてますよね」
マネさんとテリッチさんが呪いを疑っている。
「外で立ち話などしないで、私の泉に行きませぬか?」
「良いのですか?」
「構わん。坊やの家族ではないか」
全員で甘えて移動する事になった。
泉に着くと皆、広さと美しさに驚いている。
「でも、私達の洞窟にそっくりですね」
「きっと皆さんが使っているのは、私が500年程前に作った池だと思いますぞ」
テリッチさんに女王様が応えている。
「叔父が権限も無いのに勝手に魔王を名乗ってパスコ王国と戦争を始めたので、私が収めに行った時に作ったのだ」
「皆で泉を使わせて貰ったら? 凄く気持ち良いよ」
「皆で入りましょう」
女王様がローブを脱いで泉に入って行く。よりいっそうスタイルが良くなっている。
「女王様がカッコ良すぎて見劣りし過ぎ」
ミズリさんがブツブツ言いながらローブを脱いで泉に入った。
「ここも、たまに来るには良いが住んでしまうとラルドに迷惑を掛ける。皆さんも魔国に来た時は自由に使って下され」
「確かに女王様が魔国に居ると権力争いの火種になりますよね」
「もう争いは十分だ。嫁にも行けずに800歳を超えてしまった。一人で長生きはするものでは無い。寂し過ぎる」
話が暗くなって来た。
「そうだ! 食べなかったお弁当とエールが沢山有るから飲みません?」
土手に上がって全員で宴会が始まった。
「相変わらずミノルのポケットは食べ物ばかりだな」
「エールだって何樽入っているんです?」
「なんか溜まってしまうんですよ」
「坊やのポケットとマジックバックは便利だな」
皆でワイワイと楽しんでいると、警戒にポツリポツリと赤い点が見えて来た。透視と遠視で見ると空に浮いているようだ。
「ミノル、増えて来たぞ」
「どうせ入って来れないのだから、溜まってから叩きましょう」
「それもそうだな」
マネさんも、そう言うとエールを飲んでいる。
「外に飛び出さざるを得ないのですから、ローブくらい着ましょうよ」
物凄い爆発音と地響きがした。爆裂を使ったようだ。
「フザケやがって」
俺が雷神で攻撃を始めると、全員攻撃を開始した。面白いように落ちてゆく。
「坊や達はどうやっているのだ?」
「警戒に出た赤い点を範囲で雷神です」
女王様も参加して攻撃を続ける。逃げ始めた奴らが出て来た。
「総員透明化して出るぞ」
マネさんの号令で、次々とワープで外に飛び出してゆく。
「女王様はこれを着て」
透明化ローブを渡し、一緒に飛び出した。俺は逃げる奴らを上空から撃墜してゆく。
女王様の雷神は凄い威力だった。
結局、10分くらいでほぼ終わってしまった。気絶して動かなくなっているのを集めていると、ラルドさんが部下を連れてやって来た。
「姉さん、大丈夫ですか?」
「坊や達が、綺麗に片付けてくれた」
「相変わらず強いですな」
「夜中に騒がせてすみませんです」
集めて来た奴らを見ていると、またラルドさんの親戚のようだ。
「お前達まで馬鹿な事を始めたのか……」
「姪達ですね」
俺とラルドさんで魔壁を破壊してゆく。
「この二人まで私を狙って来たのか」
女王様が姪達の胸に手を押し込むと、透明なクリスタルのような物を二つ取り出した。
「ちょっと行って来る」
女王様がワープして消えると、すぐに戻って来た。クリスタルが三個になっている。
村に行って姪から取り上げて来たのだろう。
「テリッチ殿。これは魔王一族の者が作り上げる無駄な自尊心のクリスタルだ。ミズリ殿、ミア殿、ポニー殿の髪留めに加工してあげてくれぬか? 私からのプレゼントだ」
「姉上も過激ですな。取り上げましたか」
「うん。争いの元だ。マネ殿とテリッチ殿は昔に私が作ったのを付けているのでな。この三方に似合いと思わぬか?」
「そうですな。美人に相応しいですな」
ラルドさんが崩れた山を見ている。
「私が再生しておきます。魔国から離れた方が良いですぞ」
「そうだな。そうする」
女王様が寂しそうに応えた。
「女王様、洞窟に行きましょう」
マネさんが女王様を洞窟に誘ってくれた。
「良いのか?」
「是非、来て下さい」
テリッチさんも誘ってくれた。
全員で洞窟の池にワープした。




