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第8章16話 戦争終わって後片付け


 お姉さん達を待っているうちに寝ていたそうだ。気が付くとミズリさんに抱えられて温泉の池で浮かんでいる。妖精達が上空から覗き込んでいる。


「ミノルちゃん、もう少し寝てようね」


 ミズリさんにキスされるとまた寝てしまった。自分でもビックリするくらい寝ている。前みたいに突然倒れたりしないで、少し削れると寝てしまうのは進歩したようにも思える。

 ミアさん、ミズリさん、ポニーさんが一生懸命世話をしてくれているので元気になるのも早い。


「ミノルちゃん御飯食べないと治らないよー」


 ミズリさんが起こしてくれたのは次の日の朝だった。司令部テントで寝てから12時間近く寝ていたようだ。

 ポニーさんとミアさんも起きて来た。知らないうちに洞窟の池に移動して寝ていたようだ。


「マネさんとテリッチさんは草原に行ってます。私達はお詣りをして朝御飯にしましょうね」


 4人でお詣りを済ませて司令部テントで朝食になった。


「ミノル、良い顔色になったな。安心したぞ」


 マネさんがにこやかに迎えてくれた。テリッチさんはセルファン王国で材料の収集中だそうだ。


「王都は無くなったのですか?」


「無くなった。凄い抵抗で仕方無かった。残存敵兵力も多く両騎士団と王子親衛隊も参加して戦闘となった。後始末が終わったのは6時間程前だ」


「役立たずでスミマセン……」


「ミノル役はミズリだけだ、問題無い。城攻めは楽だったぞ、たがセントニアが大量に有ったので後始末が大変だった」


「またセントニアですか」


「アイラス教団の国だったようだ。この周囲の小国群も相当蝕まれているらしい」


「ミノル殿、具合は如何かな?」


 王様とロドニー公が来た。


「お陰様で、すっかり元気ですよ」


「顔色もよろしいようですな」


 王様が安堵しているようだ。


「この後始末はどうします?」


「先に言った通り、この草原と……奥の森と山まで領有権を主張して下さい。後はどこかの国が入り込んで来るか原始に戻るかですね。自由都市は認め無い方が良いでしょう。日本などの介入を招き入れます」


「なる程、他の王にも伝えておきましょう」


 テリッチさんが戻って来た。大収穫だったようだ。


「ミアノスドルフが壊滅状態らしく、ボロミア公爵の安否も分からない状態ですが」


 王様が話を続けた。


「あそここそ今は誰も手出しは禁止です。王様が統治するには遠いですし、放っておきましょう。

 ソシル子爵かトメル公爵が手出しすれば、正義は王様に転がり込みます。今回の魔獸暴走も、領地欲しさに奴等がやったと決め付ければ良いのです」


「なる程……確かに一番簡単な方法ですな」


「この草原と森と山を領地とする理由は?」


 ロドニー公が聞いて来た。


「セルファン王国が国をあげて取りに来たなら、何か理由が有る筈です。草原の両側の森もロドニー公の領地ですか?」


「そうなんです。何故かあの奥の森と山、草原の半分だけセルファン王国の領地だったのです」


「ここに魔獸でも放牧して放置しておきましょう。肉や毛皮も取れて警備も少ない人数で済みますから」


「面白い考えですが、魔獸を連れて来るあてが無いですぞ」


「そういう事は魔術師に任せて下さい」


「はい……」


 ロドニー公が不思議そうな顔をしている。


「テリッチさん。クマさんと猪さんと狼さんを連れて来たいのですけど」


「草原の片付けが終わったらすぐにやります」


 テリッチさんが嬉しそうに応えた。


「冒険者が喜びますな。我が領地も産業が増えます」


 ドロン騎士団隊長が帰って来た。


「坊ちゃん、無理する必要は無いですぞ」


「いえ、大分良くなりました」


「そうですか、確かに顔色が良くなられているようですな」


「大分訓練になりましたか?」


「やっと兵士らしくはなりました。でも騎士とはまだ言え無いレベルが多いですな」


「ですが、我が合同軍が大陸最高の軍となった事は確かでしょう。当面の戦争除けにはなりますよ」


「それは言えますな」


 ドロン騎士団隊長が大笑いした。


「昼までには後片付けも終わります」


 フランツ騎士団隊長が帰って来て報告してきた。


「後はこちらでやりますので、マネ殿もお休み下され」


 ロドニー公の言葉に甘えて全員で帰る事にした。


「エールとお弁当を手に入れて帰りますので、先に帰って下さい」


「済まんな。待っているぞ」


 マネさんがミアさんに言って、全員でワープした。


「一日中完全装備は辛いな。楽な格好が癖になってしまった」


 マネさんが俺の隣で湯に浸かってボヤいている。


「本当にそうですね。この洞窟でノンビリ暮らすようになって、装備付けているのが辛くなってしまいました」


 ポニーさんまで、そう言って笑っている。お姉さん達は池に浸かって泡をたてている。粒状化の粉だらけだったらしい。

 皆さん頭まで湯に浸かって浄化している。ミズリさんが俺の足を取って沈めて来た。


「面白そうな事している!」


 ミアさんが帰って来て参加して来た。三度くらい溺れそうになって、やっと解放された。


 お姉さん達も何か気分転換が必要なのだ。それだけ重い決断をして実行したのだから。

 アデルさんのおかげで、メダル持ちの力で一方的に敵と見なした相手を滅ぼすことに慣れて来ているだろうが全員が慣れる訳でも無いだろう。

 特に俺は駄目だ。


 我々は精霊様と民を守る為に戦う義務を背負っている。一神教で精霊様達を否定する者達、麻薬や誘拐で人格を破壊する者達、軍で攻めて来る者達。

 我々はこれらを殲滅する義務を背負っている。さもないと我々が殲滅されるのだ。

 我々はこの義務を受けメダルを貰った途端に人外となったのだ。我々が編隊で飛ぶ時の多くは、頭に輪の付いて無い天使となり、人々を滅ぼしてゆく。人の戦士の1000倍も10000倍もの生死に関わらなくてはいけない。


 何処かで精神安定の為に楽しまなくては……気が付くのが遅いと、アデルさんやセリちゃんのようになってしまう。


 数日は皆で息抜きをしょう。普通の人達から見て常識外れでも何でも良い。人外の常識は我々6人しか持って無いのだから。


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