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第8章15話 セルファン王国と戦闘


「さあ、ミノルは少し寝ようね」


 ミアさんが有無を言わせず寝かせてくれた。テリッチさんが笑って見ている。ミアさんの良い香りに包まれてすぐに意識が無くなった。口の中に良い香りと安心感が広がり、頭の中がボケーッとしていると呼び戻された。


「ミノルちゃん起きよーよ」


 仕方無く目を開くと、ミアさんとミズリさんの顔が目の前にあった。


「3時30分だよ」


 2時間くらい寝ていたようだ。


「スミマセン、またお世話になってしまって」


「任せてちょうだい」


 二人共、優しく明るいお姉さん達だ。

 口を濯いでいるとマネさんとテリッチさん、ポニーさんが帰って来た。


「37層はかき混ぜておいた。欲しい者にはエールと海老フライが有るぞ」


 お姉さん達はこれから仕事が有るのに、お構い無しだ。全員で飲み食いしている。

 4時が近づいて来たので全員で完全装備となった。マネさんが剣が重いと文句を言っている。


 ロルクリンゲンの騎士団訓練場に行くと、既に全員揃っている。騎士団全員が立ち上がって直立不動で迎えてくれた。


「御苦労! 楽にして作業に戻ってくれ」


 マネさんの対応もカッコ良かった。軍人さんには軍人さんの対応が相応しいようだ。

 ドロン騎士団隊長とフランツ騎士団隊長がやって来た。


「大分、躾が出来て来ましたでしょう」


 フランツ騎士団隊長が嬉しそうだ。


「強そうに感じるのが良いな」


 マネさんが言うと両隊長で笑っている。


「鉱山と周囲に500名くらいの兵力が有りますが、重装備の兵力は100名くらいです。主力は草原で4000くらいで騎兵が200騎、弓部隊が200名くらいです」


「本気で出て来てますね。王都防衛は殆ど居ないみたいな感じですか」


「王都まで駆け上がりたくなりますな」


 ドロン騎士団隊長が本気でやりたそうだ。


「儂とミノル司令で、先に敵の指揮官を潰すぞ。ポニーが隊列の指揮を取ってゆっくり進んで来い。上手く行くと挟み撃ちに出来る」


「了解」


「ミア、ティア殿、鉱山の援護をしてくれ。何人くらい残して欲しいのかドロン騎士団隊長と相談してな。指揮はミアだ。終わったらポニーの指揮下に入れ」


「了解」


「戦闘開始は鉱山、草原同時だ。鉱山のタイミングに合わせる。出来るだけ派手にやれ。透明化を忘れるな。怪我はするなよ。儂とミノル司令は先に飛んで敵の本陣の後ろに移動している。質問は?」


 質問は無いようだ。ミアさん達とドロン騎士団隊長、フランツ騎士団隊長が相談している。


 3分前になった。


「先行させて貰う。総員の武運を祈る」


 我々は透明化してワープした。結構凄い大群だ草原の奥の谷間の近くの高台に指令テントらしきものが有る。


『あれですかね?』


『立派な馬車が有るし、あれくさいな』


『ここをやってから魔術師と弓部隊をやるか、普通に後ろから攻めて混乱を狙うかですね』


『出来れば混乱を狙いたいな』


『じゃもっと後ろに下がって爆裂で行きません?』


『それで行くか。混乱を招くには最適だな』


 マネさんと一緒に後ろの山腹に隠れて開戦を待った。


『遅いですね』


『まだ始まらんのか! 何をしておる!』


 マネさんさんが怒鳴った途端に鉱山が開戦し、すぐに鉱山の下から草原に向かって派手に隊列攻撃が始まった。

 雷神がどんどん落ちている中、敵も怯まずに見えない敵に対して見当違いな所を攻撃をしている。


『敵もなかなか統制が取れておるな』


『そろそろ始めますか。きっと我々が先に攻撃すると勘違いしていた感じがします』


『あれ程、鉱山に合わすと言っておいたのに』


 マネさんが念話でブツブツ言っている。


『全員に聞こえてますよ。行きます!』


 俺とマネさんがワンドを構えて爆裂を連射した。派手な閃光と爆発音が連続して、敵の指揮テントを襲った。

 こっちも爆発のホコリで見えないので、警戒の赤い点を頼りに休む事無くどんどん撃ってゆく。


『草原で範囲が広くなったら広範囲を狙える雷神に切り換えるぞ』


 我々は広範囲に撃てるように高い高度に飛んだ。


『雷神、行きます!』


 二人で雷神攻撃をして、完全に押し上げ状態を作る事に成功した。


『統制を無くしている。そろそろ終わりだ』


 地上では騎士団が敵残存兵力をどんどん片付けている。


『ステン王子。王様とロドニー公に来て貰って。司令部テント有るんでしょう?』


『設営中ですけど、二人にはすぐに来て貰います』


『ミノル、どうするつもりだ?』


『このままだとラチ開かないから、王都を攻める許可貰おうと思って』


 二人で前回司令部テントのあった所に行った。王様とロドニー公が来ていた。


「大勝利ですな」


 王様とロドニー公が嬉しそうだ。


「向こうは本気ですので、中途半端に放っておくと再度攻めて来ると思います。セルファン王国の王都を叩こうと思いますので許可を貰おうと思って」


「ですが、その後はどうします? 統治が難しいですぞ」


 王様が心配そうに言う。


「統治しなければ良いですよ。叩いて放置です。あの草原全部貰って、おしまいでどうです?」


「それは面白い手ですな」


 ロドニー公が乗り気になっている。


「では、そうしますか」


 王様の合意を得た。


「王宮だけ粒状化出来れば良いのですが」


 コロン情報隊隊長が来た。


「王都の前に3000くらいの兵力がいます」


「本当にキリが無いですね」


「メダル持ちとステン王子、トメラさん、サキバさんは集合」


 マネさんが召集を掛けた。


「ミノルを除いてこのメンバーで王都を叩く。ミノル司令は残りのメンバーと地上部隊の要請を聞いて援護をする。コロン情報隊隊長王都まで頼む」


 アッサリと置いて行かれてしまった。

 ティアさんとお茶を飲みながら、地上部隊の要請を待つことにした。フリンさんは37層のかき混ぜに行ってしまい、アナさんとハンナさんは飛行練習を兼ねて草原の状況を見に行った。


「なんかノドカですね」


「本当に。戦争しているとは思えませんですね」


 ティアさんもノンビリムードだ。怪我人の治療すら無い。

 実際には我が騎士団と親衛隊は600名の兵力を投入して、平野戦の経験を積んでいる。

 王様とロドニー公も平野戦の見学に行ってしまった。


「ミノル司令は、お身体の具合がすぐれ無いようですね。顔色が良く無いですけど」


「そうですか? だから置いて行かれたのですかね」


「こんな大勝利の日に司令が無理する必要性は無いですよ」


「はい。家のお姉さん達は強いですし、マネさんとポニーさんは軍人さんですから僕より役に立ちますよ」


「本当に強くて優しい人達ですよね。色々教えて貰って有り難いです」


「今は毎日ホフマブルグですか?」


「そうなんです。毎日、楽しくて。御飯も美味しいですし、品揃えが豊富でお買い物も楽ですし、研修は役に立つし良い事ばかりです」


「早く後輩が入って来ないと大変ですよね」


「これだけは、希望して来てくれないと……」


 フリンさんが帰って来た。


「司令、全部送って次が湧くようにしておきました」


「御苦労様です。助かります。御飯までゆっくりして下さい。僕は草原を明るくして来ます」


「羨ましいなー。精霊魔法」


「みんなが使えると便利なんですけど、配ると精霊様に怒られるんですよ」


 俺は鉱山の周辺を明るくしてから草原に飛んだ。


 草原全体を明るくした。これなら暗くなっても十分に明るいと思う。

 ドロン騎士団隊長とフランツ騎士団隊長がいたので降りてみた。


「坊ちゃん、明るくして貰って有り難う御座います」


「最後まで人力で殲滅します?」


「はい、その予定です。全員に戦闘の機会を与えたいので、そろそろ一部入れ替えます」


 フランツ騎士団隊長にキッパリ言われてしまった。遅くまでかかりそうだな。

 ドロン騎士団隊長がニヤニヤしている。


「ロドニー公と王様が興奮して見学中ですしな」


「この規模の地上戦は、凄く久し振りですからね。見ている方も興奮しますよ」


 ティアさんの所に戻ることにした。皆が帰って来るまでフリンさんも居るので、お茶でも飲んでマッタリしていることに決めた。


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