第8章14話 作戦会議
気が付くと洞窟の池でミズリさんに抱えて貰って寝ていた。
「ミノルちゃんオハヨー」
「すみません、また迷惑を掛けてしまって」
「何時でも大歓声よ。相当疲れていたみたいね」
他のお姉さん達はまだ寝ていた。もう朝の10時だった。昨夜は1時まで間引きしていたらしい。
口を濯いで歯を磨いているとミアさんも起きて来た。
「三人でお詣りを済ませてしまいましょうか」
ミアさんに言われて、そうする事にした。
お詣りを済ませ、宿で三人でコーヒーを飲んでいるとロドニー公から連絡が入った。
「王様とロドニー公で来るって」
ミアさんがマネさんに連絡している。
王様とロドニー公が来て座った時、マネさん達が来た。
「お忙しい所、いきなりでスミマセンですな」
王様が少し暗い。
「いえ。今日は王様とロドニー公で、わざわざ来ていただいて、何か有りました?」
「ロドニー公の所の国境に4000以上の兵が結集しておるのです」
「攻めて来ました?」
「鉱山の周辺に500くらい、平原に4000くらいでしょうか」
ロドニー公も困っているようだ。
「やはり兵を引いておいて正解だったな。無駄な犠牲者を出さずに済んだ」
マネさんが言うと、王様とロドニー公も同意した。
「何故セルファン王国はあの鉱山と草原にこだわるのです?」
「分からないのですよ。無価値とは言いませんが、あれだけの犠牲を払う理由が分かりません」
ドロン騎士団隊長とコロン情報隊隊長が来た。
「食べながら話しましょうか」
ミアさんがお姉さんに合図している。
「平原ですから4~5000の兵力なら、結構簡単に片付きます。問題はその後なんですよ。今回は一応報復でセルファン王国の宮殿でも無くして来ようとは考えてますけど」
「ピヨちゃんのバターソテーと野菜のシチュー。今日の特別メニューでーす」
お姉さんが料理とエールの配膳を始めた。王様とロドニー公が嬉しそうだ。
「幻の鳥ですな。ここで食べれるなんて……幸運です」
「王宮で買って、わざわざ不味くして出しおる。あのカスみたいなコックはどうにもならん」
王様とロドニー公は対照的だ。
中座していたポニーさんが帰って来た。37層を刺激して走らせて来たらしい。
「話しを戻しますけど、セルファン王国を叩いて後をどうするかなんですよ。僕としては草原は全部ロドニー公の領地で手を打って貰いたいのですが」
「セルファン王国の宮殿を無くすと交渉相手が居なくなりますぞ。草原の件は任せて下され」
「東の錬金術師の引き渡しも条件に入れると良いですぞ」
ロドニー公が王様に言った。
「当然する気ですぞ。今回の無意味な戦いも、あれが関わっているようですからな」
「じゃ我々は平原の近辺に居る兵力を殲滅して終わらせます」
「ボロミア公爵が動きそうなんで、手伝えませんのです。申し訳ない」
何も知らない振りをした。
「気にしないで下さい。ステン王子の親衛隊で王様の軍の代わりという事で」
「ボロミア公爵の件ですがミアノスドルフが昨夜から魔獸に襲われて、遠征どころでは無いと思われます」
コロン情報隊隊長がニコニコと俺を見て報告した。
「そうか! それは驚きだ!」
マネさんが白々しい芝居をしている。
王様とロドニー公が大笑いを始めた。
「さて、国境は何時やりますか?」
「騎士団は今日でも良いですぞ」
「魔術師の手伝い集め次第ですね。せっかくの機会ですから研修に使いたいですから」
「作戦は前回と同じだ。騎士団はワープとバリアー可能な人数でな。死人は出したくない」
「了解です。今回は400名以上出せますぞ」
ドロン騎士団隊長がご機嫌だ。
「ティアさん、フリンさん、アナさん、ハンナさん、サキバさんトメラさんOKです」
「ステン王子も呼んでやって下され」
ミアさんが連絡している。
ステン王子が飛んで来た。
「トトちゃん師匠の許可は貰ったのか?」
ステン王子がマネさんにからかわれている。
「大丈夫です」
顔を赤くしてステン王子が応えている。
フランツ騎士団副隊長が現れた。
次々と魔術師達も集まり始めた。テーブルを繋げて貰って全員座って食事を始めた。
ドロン騎士団隊長とコロン隊長が料理のお代わりを頼んでいる。
「初めて参加の者も居るので本日の作戦を説明しておく。基本的には透明化して空中から横一例で攻撃する。射程の長い者が相手の魔術師と弓部隊を先に叩き、後はゆっくりと虱潰しに敵を殲滅する
念話で指示を出すので従って貰いたい。基本的に現場指揮は儂とポニーが行う。地上指揮はドロン騎士団隊長が執る。総司令はミノル司令。何か質問は無いか?」
マネさんの説明で十分なようだ。
「フランツ騎士団副隊長を騎士団隊長に任命しましたので宜しくお願いします」
ロドニー公の発表に全員の拍手が起きた。フランツ騎士団隊長がテレている。
「羨ましいですな。これが終わったら王国騎士団も粛正しますので協力を御願いしますよ」
ドロン騎士団隊長は王国騎士団嫌いなので返事をしない。
「王は信頼出来る士官を探さないと同じ事になりますよ」
ステン王子が冷たく言い放った。王様がシュンとしている。
「王を無視して動く騎士と魔術師が多すぎるのです」
ドロン騎士団隊長が少し優しくなっている。
「父も半分以上解雇して追放してました」
サキバさんが王様を慰めるように話している。
中座して37層に行っていたミズリさんが帰って来た。
『全部魔法陣に追い込んでおいたので、しばらく放っておけます』
念話で報告をしてくれた。
「海老の塩焼きでーす」
お姉さんがエールと一緒にテーブルに置いていく。騎士団の三人と警備隊の三人は、また料理のお代わりをしている。
「ここの海の料理は絶品ですね」
ロドニー公が海老を嬉しそうに食べている。
「ホタテのフライでーす。新型タルタルソースも作ってみましたので、司令の評価が欲しいそうです」
食べてみるとタルタルソースそのものだった。
「とても美味しいと伝えて下さい」
お姉さんが厨房に両手で大きな円を作って見せている。
「このタルタルソースという物は美味いですな!」
「いや本当に美味しい。何でも塩味のロルクリンゲンのコックに食べさせたいです」
王様とロドニー公も気に入ったようだ。
「そう言えば、アナ殿、ハンナ殿、魔法大学の同級生や先輩で推薦して貰える魔術師は居ませんかな。学長も貴族の子弟も全員クビにしましたので」
アナさんとハンナさんが困っている。
「王様。私の同級生で良い魔術師を取ったのに王様の命令でクビになった二人が居るのです。それ以来誰も王家を信用して無いのが実態です」
フリンさんが珍しくハッキリとした口調で話した。
「その人達は何をしているのです」
「他国で冒険者をしていると聞いてます」
俺の質問に渋々答えた。
「他国で?」
「はい。クビだけでなく国外追放になりました」
「何をしたの?」
「宰相が給料のピンハネをしたのに抗議しただけです」
「今回の学長以外には儂は誰もクビにして無いし国外追放もして無いですぞ」
「王の名を勝手に使ってやっているのですよ。私の命を狙っているのも宰相ですよ」
ステン王子も参加して来た。
「だから誰を信用して良いのか分からないので、魔法大学の卒業生は王都で働かないのです」
フリンさんが冒険者だったのが、やっと理解できた。
王様がシュンとしている。
「紹介してくれたら僕かロドニー公が雇うと思うよ。それと、王様も何とかして不正を無くそうと一人で頑張っているのだから協力出来る所は協力してあげようよ」
「そうだぞ。ホフマン家もボロボロだったがミノルが一人で頑張って一年でここまでしたのだ。一人の力は大きいものだぞ」
マネさんに誉められてしまった。
「一人で戦う王様って素敵! 私、応援しちゃう」
「ミズリの王様びいきが始まったぞ」
いつも王様びいきのミズリさんに、マネさんがからかう掛け合いで場が和んだ。やはり年の功なのかも知れない。
少し雑談を楽しんでから、午後4時にロルクリンゲンの騎士団訓練場に集合という事になった。




