第8章09話 親戚会議
「ボロミア公爵の軍が減って来ているらしいですよ。情報隊の報告では、寄子の貴族の兵士が領地に帰り始めて現状5000くらいの兵力になっているようです」
今日は昼から王様と昼から宿の食堂で情報交換だ。
「王国直轄領の周囲やトメル公爵とソシル子爵も戦力を落としてますな。王都の城壁復活とホフマン家だけでなく、魔王まで協力体制なのが知れて戦意を失っていると考えております」
「資金不足になっているのも大きいと思いますよ。王都、ホフマン辺境伯領とロドニー公の所が徹底的にセントニアと闇奴隷を摘発しましたから」
「そうですな。王都では取り締まりとポーションによる治療でセントニアの流通量が劇的に減ってますぞ。セントニアと闇奴隷はセットみたいで、闇奴隷も激減しております」
王家とロドニー公の所には、安価に大量のポーションを提供したのが成功している。
「でも、これで第一目標が王家打倒だったと見ても良いかも知れないですね」
「私もそう思っております。ホフマブルグの目の前の森から攻めた1万以上のオーが全滅させられたのから考えて、クホフマブルグに2万の兵力を送っても遠征の道で全滅される可能性が高いですからな。
ホフマブルグの前で陣地戦が出来る程、広い場所が無ければ1度に2万の兵力を送ってもオークと同じ事になる。
王都なら城壁は無いし、正面は広い平地ですからな」
「もう無理でしょう。我々が参戦しますから、道でも陣地でも魔術師の質と人数で終わりますよ」
「ミノル殿に感謝ですな。敵が誰かも判りましたし、戦争の危険性も減りました」
「疲弊した後で攻められると相手が考えた時、手遅れになる前に始める可能性は残りますよ」
「なるほど、それも考えられますな」
真面目な話しも疲れて来た。
「そろそろ奥方達を呼んで、昼食にしませんか?」
王様も飽きていたようだ。呼んだら全員飛んで来た。
「王様、オヒサでーす」
「王様、今日の服もカッコいい」
王様はミアさんとミズリさんのノリが大好きらしい。
「そうですかな? 嬉しいですな、綺麗どころに誉めて貰うのは」
王様の今日のシャツは白地に黒の細いストライプで若々しい。
「王様何処で買っているのです?」
「これトメラさんに頼んでおいたのです」
ボニーさんに聞かれて、嬉しそうに応えている。トメラさんも上客を手に入れたものだ。
「海老フライとホタテフライのセットでーす」
お姉さんが料理とエールを配膳し出した。王様が大喜びで食べていると、ノア兄さんがテルリアさんとロドニー公を連れて御飯に来た。
兄は違うテーブルに座る予定だったらしく、手を上げて挨拶するとテラスの奥の席に歩いて行く。
テルリアさんとロドニー公が我々の席で、うちのお姉さん達と王様で盛り上がって座ってしまった。
奥のテーブルで兄が寂しく座っている。
「ノア殿、一緒に如何ですかな?」
放っておいたら王様が助け船を出した。兄がトボトボ来るとテルリアさんから離れた椅子だった。
「私、同じくらいの年頃のお友達が居ないので、楽しくって」
「こんなに良い親戚が沢山出来て、嬉しいですな」
ロドニー公もとてもご機嫌だ。
「しかし、ここで食べると館の食事が寂しくて」
蝦フライを食べながらボヤいている。
「コックを変えれば良いですよ。ラルドさんは、ここの紹介で変えちゃいましたよ」
「魔王様は変えましたか!」
ロドニー公が真剣な顔で考えている。
「そうだ、丁度二人が揃っているから親戚からのプレゼントを受け取って下さいよ。ホフマブルグ・ダンジョンで穫れた白狼で作ったマントでーす」
大型白狼を一頭丸ごと使ったマントを王様とロドニー公にプレゼントした。
「テリッチさんに手伝って貰って作ったんですよ。軽量化してますが防御力は凄いですよ。最大の特徴は着ている時に、心で『透明化』と唱えると透明化して気配も相当消えます。『透明化解除』で元に戻りますよ。
対魔法防御力も沢山付いてますので、普段に使って下さい」
「これは珍しい一品ですな。感謝しますぞ」
ロドニー公が消えたり、現れたりしている。
「父上、カッコいい!」
テルリアさんに誉められて、ニコニコなロドニー公が可愛らしい。
「これを着たまま王座に座れますな。いや素晴らしい一品ですな」
「王様、そのシャツに合う! カッコイイ」
ミズリさんが誉め倒している。
「透明化の能力は余り人に知らせないで下さい。襲われたりした時の為ですから」
「そうですな。喜んで消えたりしていたら、肝心な時役に立ちませんからな」
王様には特に必要な機能だ。
「錬金術師になると色々な事が出来るようになるのですね。私も頑張って錬金術師になりませんと」
「頑張って下さいね」
テリッチさんが微笑んで言った。
「はい、今はノア様の鞭さばきを学びませんと」
出た! また天然攻撃が炸裂した。
ノア兄さんが真っ赤になって下を向いている。
「王様まだ狙われたりしているんですか?」
「ミア殿良く聞いて下さった。今、官僚と貴族を王宮から叩き出しているので不満を持っているのが多いのですよ。汚職が蔓延しますのでな」
「何か有ったら呼んで下さいよ。ミズリが王様を助けに行っちゃう!」
王様がデレデレしてきた。
「ミノル殿。我が家の魔術師と騎士団を少し鍛えてくださらないですかな?」
ロドニー公が突然真面目に言ってきた。
「不正もしないし良い者達なのですが、弱いのです。隣りのセルファン王国が最近動きがおかしくて不気味なのも心配でしてな」
セルファン王国と言えば、隣りに有る軍事力ばかりの貧乏国だ。
「喜んで協力しますよ。戦争になれば我々も参戦しますし。御安心下さい」
「嬉しいですな、ステン王子の親衛隊ですら使えるようになったと聞いて、是非と思っておったのです」
「魔術師はどんなレベルですかな?」
マネさんが気になっているようだ。
「役に立たない魔術師を首にしていったら、女性ばかりになってしまいましてな。5人程雇ってますが、実戦経験も無いですし」
「騎士団は明日からでも合同練習をするとか考えましょう」
ミアさんが呼んだらしくドロン騎士団隊長が来た。
「司令、お呼びですかな」
「こちらロドニー公です。騎士団の底上げをしたいそうですので、しばらく合同練習をして貰えませんか?」
「いや、こちらも有り難いですな。皆の刺激になります」
ドロン騎士団隊長とロドニー公が挨拶をしている。
「明日にでも始めましょうか? 如何ですミノル殿」
「ドロン騎士団隊長が良ければ、僕は問題無いですよ」
「喜んで行きますぞ。50名くらい連れて行きますか」
ドロンさんはサッサと座ってエールと蝦フライを手に入れている。
「私達も行きましょう。魔術師のレベルを早めに確認した方が良いと思います」
ボニーさんの提案に全員賛成で、明日朝10時に騎士団練習場に集合となった。




