第8章06話 お見合い
ロドニー公の館に3時に着いた。王様と王子が一緒なので心強い。
とても豪華な館でビックリした。
「ミノル殿、私の兄のロドニー公です」
「ロドニー公です。はじめまして。甥のステン王子が大変お世話になっております」
「ミノルです。はじめまして」
我が家のお姉さん達を王様が紹介している。
「精霊様の守護グループを全員お招き出来て光栄です」
ロドニー公は背が高い。190センチくらいあるだろうか。濃いグレーの髪と頬髭がカッコイイ。
「最近、貴族達が困惑してますぞ。国王とホフマン家が共同で作戦行動したり、亡命した筈のステン王子がミノル殿と一緒に王と談笑したり訳が分からないと」
「混乱の原因はアイラス教団で王家もホフマン家も被害者だったと思って下され」
「だから私がアイラス教団と手を切れと、あれほど言ったのに」
ロドニー公が人事のように笑って話している。
「立ち話になっておりますな、お座り下さい」
我々は応接間の立派な椅子を勧められた。
「我が国最強の魔術師と錬金術師の集団が、こんなに魅力的な女性ばかりとは信じられないですな」
「私もミノル殿達と会うのが楽しみでしてな、美しい女性と美味しい食事が両方楽しめますぞ。兄上も1度あの宿に食事に行く事を勧めますぞ」
「是非ともロドニー公も食事に来て下さい」
一応、招待しておいた。
「お父様。お客様のお茶を、お持ちしました」
召し使いを引き連れて妙齢と言うか年齢不詳の綺麗な女性が入って来た。
「娘のテルリアです」
「はじめまして、テルリアです」
「ミノルです」
お姉さん達が自己紹介している。
テルリアさんは綺麗と言うか可愛いと言うか優しそうと言うか、ビンゴだと直感的に思った。銀髪にグリーンの眼がとても素敵だ。
この容姿で、アッチ趣味と言うか許容性が有るならノア兄さんの為に生まれて来たようなものだ。
テルリアさんは家のお姉さん達と楽しそうに話している。とても気さくで貴族の娘とは思えない。
王様が小声で聞いて来た。
「どうですかな?」
「絶対、兄向きだと思うのですが。早く会わせたいですね」
「そうですか! ノア殿に向いてますか」
「趣味的には、ド真ん中だと思います」
ロドニー公も側に来て話しを聞いている。
「親としては何とか決まって欲しいですね。ノア殿の評判は聞いてますので」
「ミノル。テルリアさんは錬金術に興味が有るそうだ」
マネさんがニヤリとして話し掛けて来た。
「はい、ミノル様やテリッチ様のようにポーションを作って人の役にたてれば嬉しいなと思いまして
他の貴族の奥様や娘さんと会っても楽しくないですし、そんな時間があれば勉強したいなと考えたのです」
「私は忙しいので余り役にたてませんが、兄なら指導者になってくれるかも知れないですね」
「お兄様がですか? そうなったら、どんなに嬉しいでしょう。ラインレル様も本の中でポーションを作っておりますでしょう、将来の旦那様の役にもたてれば良いと思いますの」
出た! 天然ボケ。王様とロドニー公も慌てている。
「僕、兄の所に行って聞いて来ますよ」
「是非ともそうして下さい」
ロドニー公も進めたがっている。この歳で決まらないと独身か妾がこの世界の相場だ。なにせめぼしい娘は18歳前後には決まっているのが常識なのだから。
館に行くとノア兄さんとフェン兄さんが執務室に居た。
「ミノル、どうした?」
フェン兄さんが聞いて来た。
「ノア兄さんに頼みが有って」
「ミノルが頼み? 珍しいな。何でも言えよ」
「黙って錬金術師の指導をして貰いたいなぁと。但し凄い美人だけど。断り辛い人に頼まれてね。見て嫌なら断っても良いけど、会うだけ会ってくれない?」
「ミノルがそう言うなら会うだけでもしないと困るんだろう?」
「会ってくれると嬉しいな」
「じゃ、良いよ」
「フェン兄さん、ノア兄さんを借りてくね」
ニヤニヤしているフェン兄さんを置いてロドニー公の館に飛んだ。
「フェン兄さんです」
「ロドニー公です、初めまして。私は貴族院に顔を出しませんので失礼しております」
いきなりの超大物に兄が戸惑っている。
「ロドニー公は私の兄ですしてな」
王様とロドニー公に何とか挨拶している。
「こちらがロドニー公の娘さんで、錬金術師志願のテルリアさん」
「テルリアです。何事も経験不足ですが、助手でも良いですからノア様に御指導頂ければと思うのですが」
美人がカワイイ顔でノア兄さんにお願いした。兄はボーッとテルリアさんを見ている。
「私の姪でしてな、ノア殿何とか試しにでも良いですから指導してやってくれませんかな」
「いや、あの……私で良ければ。お引き受けします」
まだ、ボケッとテルリアさんを見ている。
「嬉しい! お父様、ノア様が許可して下されました」
「ノア殿、宜しくお願いしますぞ」
ノア兄さんがテルリアさんを見て赤くなっている。
「じゃ、これ僕からテルリアさんにプレゼント」
錬金術大全を一冊プレゼントした。テルリアさんが嬉しそうに抱えて本に頬ずりしている。
とてもカワイイ。
「そんな高価な本を、申し訳ないです」
ロドニー公が恐縮している。
「兄さん、テルリアさんに庭でも案内して貰いながらスケジュールを決めたら?」
「それが良いですな。ロドニー公館の庭は国内最高と言われてましてな、テルリアに案内させますので師弟の話しを進めて下され」
王様も押せ押せだ。
「ノア様、私の案内で我慢して頂けますか?」
「が、我慢なんてとんでもない。喜んで」
2人が出て行った。全員興味津々だ。
「そうだ! ロドニー公、僕からのお土産です」
例のポーションを1箱プレゼントした。
「これが、あの評判のポーションですか! 欲しかったのです。いや有り難い」
とても綺麗なオバサンが部屋に入って来た。
「妻のレオニーです」
40歳くらいにしか見えない。銀髪にグリーンの眼は遺伝なのだろう。
ロドニー公が今日の顛末を説明している。
「なんて素敵な日なんでしょう!」
レオニーさんが、我が家のお姉さん達と楽しそうに話し始めた。
葡萄酒が振る舞われる。とても高級なお酒だ。お姉さん達に余り飲ませないで欲しいのだが。
ロドニー公と奥さんの魔力を増やしてあげたり、男達だけで例の書斎を見せて貰っていると、兄とテルリアさんが帰って来た。
凄く上手く行っている雰囲気だ。
「お父様、明日からノア様の所で修業したいと思うのですが」
大成功だった。ノア兄さんも落ち着きを取り戻し、テルリアさんと仲良くしている。
我々も晩御飯に誘われたが、ロドニー公もノア兄さんの品定めもしたいだろうから遠慮して帰る事にした。
王様も長時間王宮を空けているし、ステン王子は冒険者ギルドで仲間と晩御飯を食べるらしく、ノア兄さんを残して全員引き上げた。
洞窟の池で全員疲れを取る。
「貴族の生活は私には向かないな」
ミズリさんが言うと全員賛成だった。
「葡萄酒は美味いのだが、儂はエールが良いな」
マネさんの一言で、宿で飲み直しという事になった。堅苦しいのがダメな我が家のお姉さん達だった。




