第7章22話 グァルダーゼ侯爵
ラルドさんから連絡が有り、久し振りに会うことになった。新人メダル持ちとステン王子も連れて行く。覚えいて貰った方が後々便利だ。
ラルドさんは新しいお姉さん達に会いたいらしく、連れて来いとうるさかったのだが、ステン王子には興味が無かった。俺もステン王子が行きたがっていたので、連れて来ただけだ。
「ミノルさん久し振りですな」
「ナンかドタバタしていて顔を出せないのですよ」
「お互い様ですよ。新しい美人さん達を紹介して下さいよ」
「ポニーさんとミズリさんです」
「宜しくお願いしますよ。ミノルさんとは仲良しでしてな」
2人共緊張している。
「それとステン王子です。我が領に亡命中でです」
喜んで挨拶している。
「本来なら本宮殿に来て貰いたかったのですが、まだミノルさんが入れないので失礼しています」
俺が理由を説明しておいた。
「アデルさんも大分良くなったようですね」
「お陰様で、ラルドさんにまで心配して頂き恐縮です。今ぶり返し期間なのでポーションを飲ませて寝かせてあります」
「ぶり返しですか。面倒ですな」
ラルドさんが悲しそうに言ってくれた。
「ところで、最近は親戚の皆さんは落ち着いたようですね」
「お陰様で景気が良いのと、資金源だったアイラス教団が資金を出せなくなったらしく大人しいですな」
「こっちまでアイラス教団が手出ししていたのですか?」
「私も先日聞いて驚きました」
ラルドさんが呆れたような顔をしている。
「資金が無くなったのでセントニアに手出ししたのですね」
「あのセントニアには魔国も困ってますよ。蔓延が早くて」
「そうだ忘れてた。これお土産です」
新型ポーションを100本渡した。
「娘に聞いてます。凄い効き目だそうで」
「初期のセントニア中毒なら簡単に治りますよ」
新型ポーションは就寝時に用いた場合、通常は夢も見ないで幸福感と快感に浸っているので評判が良い。
「助かります」
「先日のご親戚とディノ伯爵の戦いは理由が分かりました?」
「セントニアと人の複製の利権争いみたいです」
「人の複製ですか?」
「はい、人を複製して売るのです。兵士とか女性とかを作って。能力は結構落ちるので複製とは言えないのですが、特定の利用範囲なら使えるのですよ」
「どっちが利権を独占するかですか」
「いえ、取引相手の取り合いだったようです。そちらのグァルダーゼ侯爵との取引にディノ伯爵が横槍を入れたらしいのです」
「ステンさんグァルダーゼ侯爵って何処なの」
「先日のローン伯爵の隣です。セントニアとアデルさんにも関わってますよ」
何にでも関わる人だ。
「あの雑な人の複製は東の錬金術師らしいです。なんせ複製元まで徐々に劣化するという噂ですから」
「東の錬金術師ですか、パスコ王国から追放な筈ですけど」
「グァルダーゼ侯爵が飼ってますよ」
「そろそろ邪魔だな」
「ミノル片付けるか」
マネさんが、やる気だ。
「そうですね、ここまで揃ったら片付けるべきですよね」
テリッチさんまで。
「片付けるとラルドさん、嬉しいです?」
「とても有り難いです。あそこが無くなると大人しくなる連中が多いです」
「ステンさん、グァルダーゼ侯爵領が欲しいか王様に聞いていて。前回と同じ条件です」
ステン王子が念話を始めた。
「マネさん。ドロン隊長に今日16時に300名出せるか内密に聞いて下さい」
マネさんが念話をしている。
「1時間前に言ってくれれば何処へでも行くそうだ」
「さすがドロン隊長」
ミアさんが笑って言った。
「ドロン隊長は相変わらずですな」
「ラルドさんドロン隊長を知っているのですか?」
「何回か会ってますぞ。素晴らしい騎士ですな」
「ドロン隊長を呼んで良いですか?」
「どうぞ、その方が話しが早いです」
ミアさんが迎えに行った。
「王が話したいと言ってます」
「良かったら、ここに来たら如何ですか」
ラルドさんも太っ腹だ。
「王が来たいそうです」
「ここ誰でもは入れないから僕が付いて行くよ」
「済みませんなミノルさん」
ラルドさんが申し訳無さそうに言った。
ステン王子と王宮に飛んだ。王様の周囲の慌てぶりが凄いものだった。
「ミノル殿が来てくれるとは、申し訳無い」
「いえ、気にしないで下さい。亡命中のステン王子だけで来るのも変ですし」
「それも言えてますな」
三人で笑って話しているので、全員不思議そうな顔をしている。
「さて、行きますか」
王様が王冠と王衣を脱いで王座に置いている。
「帰って来るまで触れるでないぞ」
王様が配下に言っている。
「堅苦しくていけません。動き辛いですしな」
「では行きます」
俺は旧魔王宮殿に飛んだ。
「パスコ王国国王、初めまして魔王です」
「初めまして、いきなり押し掛けて申し訳有りません」
王様同士で挨拶している。
「テーブルについて下され、丁度食事時ですからな」
食卓がセットされていた。
「新コックさんはどうです」
「いやミノルさんのお陰で美味しい食事が食べられます」
宿のコックさんをわけて貰ったのだ。出された食事はとても美味しく、王様が羨ましそうだった。
「ステンからグァルダーゼ侯爵の話しを聞いたのですが」
食事をしながら王様が切り出した。
マネさんが最初から王様とドロン隊長に説明してくれた。
「また王家の丸取りで良いのですか?」
「はい、前回も言いましたがホフマン家は領地に興味が無いのです。アイラス教団の追い詰めとセントニアの撲滅、アデルさんに手を出した者への報復それと東の錬金術師です」
「そうですな、舐められたままでは面倒になりますからな」
ラルドさんが言う。
「夕刻4時に突入です。王様今日は来れます?」
「行きますぞ」
「グァルダーゼ侯爵の屋敷、玄関とか応接室なら私が突入出来ます。パトリックと納入に行きましたから」
「私は地下の変態広間に行けますよ、ヘンドリックス辺境伯の護衛で1度行ってます」
ミアさんとポニーさんで2ヶ所で同時攻撃が出来る。
「じゃ簡単ですね」
「出来れば、もう少し敵を残して貰えませんかな。騎士団と親衛隊の練習にならんので」
ドロン隊長の提案に大笑いとなった。
「片付けたら王様達を呼ぶので引き継いで下さい」
「有り難い。前回のようにセントニアも燃やしてから呼んで戴ければ助かるのですが、情けないですが王国騎士団も信頼し切れないのです」
「そうしましょう。お任せ下され」
ドロン隊長が要請に応えた。
「現地指揮はマネさんね」
「了解した」
軍事行動は軍人さんに任せるのだ最適だ。
「東の錬金術師を何とか捕らえるか倒せると、今後変な薬物や人の操りなどが減るのだが」
王様も困っているようだ。
「飛び込んだらバリアー除け張ってみますよ。普通の錬金術師なら抜け出せないと思うのですが」
ケーキが配膳されている。スポンジケーキのような硬めのスポンジに、糖蜜とお酒が混じった物がかかっている。
「魔国のお菓子です。昔は良く食べたのですが」
ラルドさんが説明している。お姉さん達は大喜びして食べている。
昼食を終えて雑談を楽しんだ。
「ホフマブルグにはお菓子が食べられる店は余り無いのですか?」
ミズリさんが聞いて来た。
「在りますよ、高いのも安いのも。僕は余り行かないですけど」
「冒険者ギルドの近くに高級店が在りますよ。以前凄い美人にデレデレ付いて行って毒殺されかかった人が居ますけど」
「ミアさん、デレデレは噂です!」
「もっと詳しく」
ポニーさんが興味津々だ。
笑いの内に時が過ぎてゆく。館攻めの緊張感が感じられない。
「今度は純粋に楽しみで集まりましょう」
「本当にそうですな」
魔王と王様が仲良しになったようだ。
1時になったので、準備の為に解散となった。我々は3時30分に前回と同じく騎士団訓練場に集合とした。
洞窟に帰ってアデルさんをツンツンしてから池に入った。マネさんがアデルさんを重力魔法で池に浮かべてくれたので、皆でツンツンしながら湯に浸かる。
「向こうに行かないと分からんが、手順は前回とほぼ同じだ」
「そうですね。たまには広い場所の戦いがしたいですね」
「あれでは市街戦の館攻めだからな」
「これ良いですね、ツンツンが進みます」
「ミノルさん、ドロン隊長にどのくらい残します?」
「怪我されても困るから、100名くらい残そうかと思ってますけど」
アデルさんを囲んでの会話になっいる。3人でツンツンが進む。
「アデルさんが凄い汗ですね」
「汗を沢山かいた方が良いと聞きますけど」
「脂汗みたいな汗ですよね。マネさんやテリッチさんと違って」
「採取して分析してみましょう」
テリッチさんがヘラみたいな器具で汗を集めると、アデルさんが意味不明な声を出している。
シャーレに入れてマジックバッグに保存している。アデルさんにヘラで遊んでいると、テリッチさんに取り上げられた。
「ミノルはイタズラが好きだな」
マネさんにヨシヨシして貰った。




