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第7章21話 角集め


 アイラス教団がセントニアの大元である事は確からしい。ホフマン領が早めにアイラス教団を追い出したお陰で余り汚染されなかった。

 コロン隊長の調べではアイラス教団の元気な所はセントニアの汚染が酷いようだ。

 セントニアの工場を叩いた為に流通量が相当減っている。やはり元から絶たないと効果が低い。


 アデルさんは新型ポーションが効いている。セリちゃんも1日2回飲ませて運動させることによって大分良くなっているようだ。

 そう考えるとアデルさんの方が重傷みたいだ。ぶり返しが酷い。本人がそれを隠そうとする

 新型ポーションを与え続けてツンツンしても、ワープでどこかに行こうとしている。


「セリちゃんは、ぶり返しが無いみたいですね」


「セリは自分で飛び込んでセントニアの影響しか無いからな。アデルは無理やり色々されて半分人格を破壊されている。その差だろう」


「時間を掛けて治すしか無いですね」


「そうだな。我々にとって2年や3年は短い期間だ、気長にやるだけだ」


 マネさんの意見はいつも正しいと思う。


「あのポーションの効き目を見よう」


 マネさんテリッチさんと朝食に行った。他の3人も来ている。


「オハヨーございます」


「アデルさんはまたぶり返しですか?」


「そうなんです」


「あのポーションは最高ですね。パトリックが売りたがってますよ」


「まだ試作品ですから」


「売って下さい。あれ使うと悪い夢を見ないし、寝汗が洗浄効果みたいで体調が良いのですよ」


 ミズリさんも気に入ったようだ。


「8時間分飲むと8時間で起きるし、不快より気持ち良い方が良いですし最高ですよ」


 ポニーさんも同様だ。


「ポーションは提供しますよ。安心して下さい」


「「「ウレシー」」」


「でもそろそろ原材料を捕りに行かないと」


「原材料は何です?」


「魔獸の角。そういえば、トメラさんとも約束していた」


「ミノル、付き合うぞ」


「私も」


 ミズリさんが手を上げた。結局全員で行く事になった。まずトメラさんに連絡して店に行く。


「凄いですね、強い人ばかり。待ってたんですよ」


「また失敗仕入れの穴埋め?」


「違います! たまたま売れるのに時間が掛かるだけです!」


「何を仕入れたの?」


「これから仕入れるんです」


「600年前の何です?」


「私、あれに弱いんですよ」


 テリッチさんが奥の棚の試薬瓶を覗いている。


「それ、前回の魔道具の付属です。渡し忘れでした。スミマセン」


「嬉しいです。凄く珍しい薬品なんです」


「トメラさんは20頭で良いの?」


「パトリックさんが相場を崩さないのは20頭ですって」


「マジックバッグで保存すれば良いですよ」


 ミアさんが煽る。


「要る時に捕りに行けば良いですよ。魔国に余っている魔獸ですから」


「そうなんですか?」


 ミズリさんは見た事も無いらしい。


「放っておくと増えて増えて。大群で居ますよ。マネさんは余り良い印象は無いでしょうけど」


「何でだ?」


「マネさんを刺した巨大なフオォォーンです」


「あれか!」


「です」


「マネさん、刺されたんですか?」


「死ぬ寸前だった。ミノルが助けてくれた」


「危なかったですよ。肝臓を刺されてましたから」


「懐かしいのう」


「ですね」


「そろそろ行きましょー」


 トメラさんがソワソワしている。我々はワープで魔国の草原に飛んだ。前回の小山の中腹だ。


「凄い群れですね」


 ミアさんが驚いている。


「また増えてますね」


「どうやって捕ります?」


 ミズリさんが聞いて来た。


「群れから外れたのを5~60頭倒して、バリアーを張って回収するだけですよ」


「矢で倒すのは止めたのか」


 マネさんがからかう。


「もうやりません!」


 小山の近くに70頭程居たので全員で透明化して上空に行き雷神で全部倒し、そこに降りてバリアーを張った。他の大群が凄い勢いで走り出した。


「透明化したままの方が安全ですよ」


 業務用バッグにトメラさん用の大きいのを皆で10頭詰める。流石に20頭は入らないのでもう1バッグ使って20頭にした。


「トメラさん用だよ大きいから高いと思う」


「ミノルさん皆さんアリガトー」


 ニコニコ、ポッポしていた。


「さて残りの全部角だけです」


 テリッチさんがやり方を教えている。流石に人数が居るので仕事が早い。マジックバッグに2袋になった。

 バリアーを取って山に戻った。


「トメラさん、先に帰ってパトリックさんに渡した方が良いよ」


「そうします。アリガトー」


 トメラさんがワープして行った。


「これだけ有ると皆で毎日ポーション使っても暫く大丈夫です」


「嬉しいな」


 ミズリさんが嬉しそうだ。


「こんな狩りは初めてです。マネさんは魔国で刺されたのですか?」


 ポニーさんが聞いて来た。


「いやホフマブルグの正門前だ」


「あそこにこんなの出たんですか!」


 ミズリさんが驚いている。


「出た。ミノルが全部倒した。最初の1頭は矢だけで倒した」


「矢で倒せるんですか?」


「倒せるよ。11本使ったけど。こっちに来て2日目だったかな」


「こんな化け物に矢で戦う人は珍しいですよ」


「うん、館で凄く怒られた」


 皆さん大笑いしている。外で色々な話しをして盛り上がった。ドンドン仲良くなってゆく。こういう時間が必要なんだなと思う。


「帰ってエールでも飲みましょーよ」


 ミアさんが言い出した。


「魚が食べたいな」


 ポニーさんが言った。


「ヘフナドルフに行こうか」


 全員魚を食べたいので一致した。獣臭さを浄化魔法で取って、我々は角を置きに洞窟に帰った。

 三人でアデルさんをツンツンしてから、ヘフナドルフに飛んだ。マネさんはローブに着替えていた。


「兄さん来たな」


「あと三人来ます」


「今朝上がった美味いのが有るぞ」


 三人ともローブになっている。


「「「お願いします」」」


「相変わらず兄さんの周りは良い娘だな」


 お爺さんが魚を3枚におろし、塩と香草を振っている。お孫さんがエールを持って来た。

 全員で乾杯して魚が焼けるのを待つ。


「ミルレドルフより美味しいですよ」


「そうなんですか。嬉しいな」


 ポニーさんがワクワクしている。

 お爺さんが焼き終えた魚を皿に載せて配ってくれた。


「美味しい!」


 ミズリさんがハフハフ言って食べている。


「ここの本当に美味しいですね。ヘンドリックス領の良い所が全て無くなってしまいました」


 ポニーさんがしみじみと言った。

 お爺さんが魚をドンドン調理してゆく。2つのフライパンがフル稼働だ。


「兄さん、パトリックさんからまた船頼まれたよ」


「僕の注文横取りして、またですか」


「もう手いっぱいと言ったんだが」


「お孫さんが造船覚えるのに良いでしょう」


「そうナンだけどな、人手不足で大変だ」


 また焼けて来た。さっきのより美味そうだ。


「ほら、大きいから油が乗っているぞ」


「さっきのよりも美味しい!」


 ポニーさんとミズリさんが大喜びしている。来て良かった。マネさんがニコニコしてエールを飲んでいる。


「兄さんが来ると何故か変な事が起きるな」


「またですか?」


「あの中型船が、最近女を沢山運んで来ているぞ。毎回あの船だから、またそうかもしらんな。」


 マネさんがウンザリして念話を始めた。


「何で美味しい食事してると警備隊と騎士団が走り回るかな」


「そう言う運命ですよ」


 俺がボヤくとテリッチさんが冷たく言い放った。食事を止める気は全く無いようだ。

 ドロン隊長とジャン隊長が現れてマネさんの指示を受けて港に走って行った。

 ミアさんが騒ぎを気にせず、次のエールをお孫さんに頼んでいる。


 警備隊と騎士団が100人以上港に走って行く。騒ぎがだんだん大きくなって来た。


「何時もこんな感じ何ですか?」


 ミズリさんが魚から目を離さないで聞いた。


「ミノルさんは港で騒ぎを起こすのが趣味か運命なんですよ。暗殺騒ぎとか」


 ポニーさんが自分のエールを注ぎながら言う。


「絶対趣味じゃ無いです!」


 お爺さんが次の魚を皆に配ってくれた。凄い肉厚の白身魚だ。


「美味しいなー。絶対また来ましょうよ」


「ミズリさん王都の出身でしょう」


 ポニーさんに突っ込まれている。


「売れ残りの貧乏冒険者が楽しい所じゃ無いですよ」


「まだまだ若いじゃないですか。美人だし」


「ミノルさんは知らないのかも知れませんが、この世界では若くは無いですね。20歳超えると売れ残りですよ。美人なんて初めて言われました」


「いや、姉さんは美人じゃぞ」


 お爺さんが大きな海老にナイフを入れながら笑っている。


「この海老は大きいけれど柔らかいのじゃ、たまにしか採れん。食べてみてくれ」


 皆に配っている。食べると甘味が有って、何時も食べる海老のように柔らかい。


「これは癖になるな」


 マネさんが美味そうに食べている。


 港で騒ぎが起きている。始まったらしい。


「毎回、捕まっているのに何でここに来るのかな」


「中型船以上が入れる港は、こことリリアドルフだけじゃからな。ここの方が警備が手薄なのが原因じゃろう」


「後で私から言っておきます」


 ミアさんがマネさんに言っている。


 お姉さん達との楽しい1日が過ぎて行った。


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