第7章20話 最新ポーション
ローン伯爵領への急襲と王家直轄領化は、王家の威信回復とアデルさんに指1本でも触れた者への警告には十分だった。
王家の財政にも好影響を与えたらしく、とても王様に感謝された。
兄達は相変わらず知らん顔で通す気だ。対外的な物を丸投げするのはズルいと思う。
アデルさんは帰って来て、興奮しているのか抑制ポーションをチビチビ飲んでいたので、また角の強化ポーションを与え休ませた。
ワープしょうとビクンビクンしている。
「今日の刺激がぶり返しを誘ったのでしょう、私達が見ていない場所に飛ぼうとしてますね。まだ行く場所を隠しているようです」
テリッチさんがアデルさんの心を読んだようだ。抑制が利かなくなってしまう。麻薬は怖い物だ。
テリッチさんの戦利品の整理をマネさんと一緒に手伝っている。テリッチさんの略奪量は凄かった。
「世の中にこんなに薬品が有るのですね」
「こんなに使うものなのか?」
「たまーにしか使わないけど、無いとどうにもならない物ばかりなんです」
薬師さんが使う最新式の魔道具も手に入れた。この魔道具を使うと効果を高くするという事が出来る。先に手に入れた濃縮率を上げる魔道具《本当の機能は合成みたいだけど》と合わせると、色々な使い道が考えられる。
今回の略奪魔道具は高価な物ばかりだった。
早速アデルさん用の超強化濃縮ポーションを作ってみた。
「ミノル、そんなに強くする必要性が有るのか?」
「虚構の過去より現実の方が刺激的なので、ポーションを飲んで命令違反のビクンビクンしている方が良くしてしまえばどうかのテストです」
「面白い考えですね。テストの価値は有ると思います。ついでにアデルさんの近くに行った人は数回はツンツンする義務としましょうか」
テリッチさんが凄い提案をした。別に反対の理由も無いので了承しておいた。
「じゃ僕は飲んで肌が敏感になるポーションも作ろうかな塗ると後遺症が出そうだから」
「有りますよ既に、怪我などで皮膚感覚が弱った人に使って元に戻すポーションです。昔から有って無害ですよ」
早速テリッチさんが作って、効果を高めて濃縮してからアデルさん用の超強化濃縮ポーションと合成してみた。新型機材の勝利だ。毒性テストは全て大丈夫だった。
「私がテストしますね」
15分くらいの量をテリッチが飲んでいる。テリッチさんの身体が桜色になり、力が抜け横たわった。
テリッチさんが命令違反をして自分に刺激を与えている。身体がビクンビクンしているのでマネさんとツンツンしてみた。肌が相当敏感になっているようだ。 暫く放っておくと、また命令違反を試みている。また2人でツンツン。3回くらい繰り返して薬効が切れた。
「これ凄いです。今までで最高の出来ですね。現実の良さを思い知るような気がします」
「儂もテストするぞ!」
マネさんが犠牲的精神でテストを買って出た。
マネさんは繰り返して命令違反を自主的に行い、テリッチさんとツンツンするとより力が入っている。テリッチさんより根性が有り最後まで命令違反を繰り返してくれた。
「これは利くな。凄いポーションだ。ぶり返し脱出に最適かも知れん」
2人共汗だらけだ、池に入ると炭酸のような泡を出して浄化されて行く。悪い物が排出されるらしい。
「アデルさんは次からこのポーションにしましょう」
テリッチさんの決断は早かった。
複製魔法で増やして、兄達にも配りテストして貰う事にした。
執務室の兄達に届けてから3人で昼食に行った。カニのソテーでエールをグビグビ飲んでいる。
「冷やしたエールが美味い!」
「本当ですね。この為にポーションを飲んでも良いくらいですね」
二人がゴキゲンにしているとミアさんが来た。
「凄く美味そうですね。私も飲みます!」
俺は話しながらミアさんに再生魔法を掛け続ける。ミアさんが長期放置で骨まで影響が出ている。マネさんもそうだが少しずつ曲がって来るようだ。
「ミノルさん済みません。お陰様で凄く楽なんです」
「いいえ、レベル上げにもなりますから」
「ミノル、ステン王子は冒険者をさせておいて良いのか?」
「他にする事も無いし、トトちゃんが自分を守れるくらいには鍛えてくれているし、稼げるし問題無いと思いますよ」
「コラ! ステンだからな」
「呼び捨てですか?」
テリッチさんが驚いている。
「森に入ったら師匠モードですよ。この前なんかステン王子がドジ踏んで頭を叩かれてましたよ」
「凄いですね」
ミアさんが感心している。
「森でドジは死に直結するから、良いのだがな」
「自分を守れるくらいにならないとステン王子は早死にですから、あれで良いと思ってます」
ミズリさんが現れた。ミアさんが場所を変わってミズリさんを俺の隣りに座らせた。ミズリさんにもゴブリンの再生魔法を掛け続ける。この人も重傷だ。再生をするとホッとした顔をする。
ポニーさんは最近村から帰ったようにそれ程酷く無い。週に2回も魔法を賭ければ保てる程度だ。
「黄色スライムの相場が凄く上がっているようです」
ミアさんが言った。
「物不足なのか、誰かが相場を上げているのかですね」
「治療にも使いますから困る人が多いですよね」
「うちは余って来てますけどね」
「アデルさんに使わないのですか?」
「僕の作った代用品の方が効きますから」
「エー、そんなの作ったんですか? 下さい」
ミアさんが手を出している。そういえばミアさんは魔族だった。この人達は全く気にしない。
「はい、さっき作ったばかりの強力版」
5本あげた。
「私も」
ミズリさんがボソッと言った。5本あげた。愛好家が多いようだ。
「とりあえず、一口からにして下さいね。凄く強いですよ」
テリッチさんが注意をしている。
ポニーさんが帰って来た。コロン隊長の所で研修中だそうだ。
「何です。ポーションですか?」
説明するとアデルさんの為にテスターになると言うので5本あげた。献身的な人が多い。
「先日のローン伯爵の所に居た貴族の奥さんや娘さんの引き取り率が最悪らしいですよ」
ポニーさんがコロン隊長から聞いたばかりの情報だ。
「ステン王子の幼なじみの娘は引き取って、親に再販売されたらしいです」
「それは酷いですね」
「領地無し貴族が困窮しているようです」
「国王とか大貴族から年金が出るんでしょう?」
「王都が不景気で、貧乏貴族が悪事に手を出したりで奥さんや娘を売る貴族も多いようです」
「ミノル、まとめて買ったらどうだ」
マネさんが勝手な事を言っている。
「まとめて買っている貴族が居るようです」
「誰です?」
「クロージク公爵。ローン伯爵の隣りです。嫌な奴ですよ。私は売られる寸前でした」
「エー! ヘンドリックス辺境伯に?」
「そうです。流石にあの男は嫌なので逃げたんです」
「魔導剣士は契約でしょう?」
「ゴブリン村送りになってからは人扱いされてませんでしたから」
「ホフマン領でゆっくりして下さいね」
「本当にミノルさんには感謝してます。こんなにして貰えるなんて夢みたいです」
「力不足ですけど」
「話しは戻りますけど、アデルさんを壊したのがクロージク公爵らしいと思うんですよ。ヘンドリックス辺境伯が話しているのを聞いたんです」
「ヘンドリックス辺境伯も仲間なのですか?」
「違うのですけど、精霊の守護者だから多少乱暴に扱っても死なないし美人だみたいな話しをクロージク公爵にしていたんです」
「ミノル、冷静にな。片付けたばかりだからすぐには出来んぞ」
「分かってますけど、必ず報復します」
「それは構わんが、少し待て」
「はい」
近い内にテリッチさんの略奪品が増える事が決定した。




