第7章16話 新しい機材と新しい仲間
北の国で思ったが、軍事は軍人さんに任せるのがベストだ。特にマネさんの決定は逆らいようが無い。
正しいのだ。
決まってからのアデルさんの指示も素晴らしい。この二人が居る時の現場は任せた方が良いようだ。作戦の基本立案だけすることにした。
今朝はお詣りを済ませて、マネさんと冒険者ギルドに行った。今日のアデルさんはポーションを飲んで1日休みで、魔法利用も禁止してある。
テリッチさんは手に入れた新しい機材とセントニアの分析をするそうだ。
ジグロ本部長に会いに来たのだが、まだ来てなかったので玄関の近くに居るとボロボロのお姉さんがヘタっている。
「どうしました?」
お姉さんは赤毛の22~3歳で可愛い感じの人なのだが、少し匂う。風呂に何日も入っていないしお腹も空いているようだ。
「このギルドにミズリさんが居ると聞いて来たのですが、ここに付いたら動けなくなりました」
「ミズリさんか。呼んでやろう」
マネさんが食堂に歩いて行った。俺はお姉さんが情けないので浄化魔法を掛けてあげてから、ポケットに入れていたサンドイッチをあげた。
お姉さんが凄い勢いで食べている。
「フリンじゃない! どうしたの」
王都の冒険者仲間らしい。
「お腹が空いているようですから、中で食べさせましょう」
俺が言うとミズリさんがフリンさんを引きずって食堂に行った。俺も付いて行って朝定食を注文した。フリンさんが何も言わずにひたすら食べ始めた。
追加を注文していると、俺にフリンさんが頭をペコペコして食べ続けている。
「ミズリ、付いていてやれ。食べ終えたら風呂が先だ。狩りは儂が行ってやる」
4人組が歓声を上げた。今日も増収確定だ。
ダンクチームが出掛け、フリンさんが食べ続けている時ジグロさんが来た。
「坊ちゃん、お久しぶりです」
「リヒトブルグの支部長は決まったのですか?」
「やっと何とか」
ホフマン辺境伯領の冒険者ギルドの動向を聞く。王都組のダメなのがリヒトブルグに流れて、雰囲気を悪くしていたので追い出していたようだ。
「少し前にミズリさん達の事故の原因を作った人が、リヒトブルグに行ったらしいです」
「あの馬鹿女リヒトブルグでも嫌われ者で、誰にも相手にされないようになりました」
「小さな支部に行って、イジメでもされると困りますよね」
「そうなんですよ。ホフマン辺境伯領の冒険者ギルドから追放にしようかと思ってます」
「リヒトブルグの冒険者数は?」
「順調に増えてます。あの周りの森は比較的安全で、高く売れる薬草とかも多いので人気が良いのですよ。あの馬鹿女は、皆が計画的に採集している薬草を根こそぎ刈ったりしてリンチ寸前でした」
「教育しないとダメですね」
「テリッチさんに教わった採集方法まで掲示してあるのですが」
リヒトブルグの裏の森に、荒野との壁の悪影響は無いようだ。
「お風呂に入れて、帰って来ます」
ミズリさんとフリンさんがワープして行った。
ミアさんが現れた。マネさんの代わりだ。
「今日はポニーさんが連絡係の研修中です」
「ポニーさん上手くやっている?」
「全く問題ないですね。真面目ですから」
「顔付きが柔らかくなったよね」
「ですよね。あんなに変わるとは思いませんでした」
「トメラさんの所に行くよ」
天気が良いので歩いて行くことにした。ミアさんが俺の手を取って手繋ぎして行く。
「済みません、子供の頃から手を繋いで歩くのが大好きなんですよ」
「僕も同じですね。安心感が在りますよね」
ミアさんと手を繋いでいると、安心感が手から流れて来る感じがする。とても心地良い。
「呼ばれて来たよ」
トメラさんは店で、お茶を飲んでいた。
「ミアさんと一緒なんて珍しいですね。頼まれていた魔石が入ったんですよ」
「助かるよ。メダル持ちが増えたので少なくなっていたんだ」
「2.5倍が12個ずつ在りますけど、値段は同じ1個200万デルです」
「全部貰います」
「ヤッター! たまにしか売れない物だから、無くなると凄く嬉しいです」
トメラさんが良い匂いをポッポさせている。
「他に掘り出し物は無いの?」
「錬金術の機材が入ったんですけど……何に使うのか分からないのですよ。本当に錬金する物とか言ってましたけど。凄く古い物で、世の中に存在するのはこれだけ」
「600年前の品物なんでしょう」
「そうなんですけど、また馬鹿にしているでしょう」
また眼を三角にして睨んでいる。
「テリッチさん呼ぶね」
「ナンカ昔の薬品がオマケで付いているんです。それだけで価値が有ると言ってましたけど」
「コンニチワー」
トメラさんがテリッチさんを現物の前に連れて行って説明を始めている。
「凄く珍しい物ですね」
「何なのです?」
「メダルの台座みたいな不思議な金属ナンカを合成する機械ですよ」
「フーン」
テリッチさんが一生懸命いじっている。
「欲しければ買えば?」
「そんな、無駄遣いですよ。たまにしか必要とされない機材ですから」
「でも無ければ合成出来ない物も有るんでしょう?」
「出来るんです。でも何年もかかりますけど」
「いくらです?」
「買い手が居ないので薬品付きで1億デルです」
「買うよ。失敗仕入れ消費係りですから」
「ミノルさん大好き!」
抱き付いて良い匂いをポッポさせている。トメラさんと銀行に行って支払いを済ませた。
店に帰るとテリッチさんがオマケの薬品を見て興奮している。
「これは凄いですよ。もう世の中に無いと言われていた試薬とか色々なんですけど、この魔道具が有ると自分で作れるんです!」
「じゃ薬で困る事が無くなるんですか?」
「はい! 薬草が絶滅して無い限り」
「良かったですね」
「アデルさんにポーションをあげる時間ですので」
ミアさんに手伝って貰いマジックバックに入れて、テリッチさんはサッサと帰ってしまった。
「近くにトナカイと牛の混血みたいなフオォォーンの角を採りに行くけど、一緒に行く?」
「絶対行きます!」
「パトリックさんに何頭買ってくれるか、予約しておいた方が良いよ」
「今、聞きますよ」
ミアさんが念話している。
「20頭くらいなら何時でも大丈夫だそうです」
トメラさんが良い匂いだらけになっていた。
我々はまた手を繋いで冒険者ギルドに戻った。フリンさんはミズリさんの服を借りて必死に昼定食を食べている。
「司令、見苦しくてスミマセン。暫く食べてなかったらしくて」
「気にしないで下さい」
フリンさんが俺とミアさんを見てぺこりとして、また食べ始めた。
「この娘は王都でずっと一緒だったのですが、ギルドの貯金を返して貰うと言って残りこのザマなんです」
「大変でしたね」
「性格も良いし実力は王都の魔法大学を6位で卒業したのですが、就職が良い所が無くて冒険者になってそのままなんです」
「ツいて無いんですね」
「ボケなんですよ」
「プレート見せて貰えます?」
フリンさんは無言でプレートを出して食べ続ける。
全てレベル70前後だ。
「凄いですねー」
ミアさんが感心している。
「フリンさん就職しません? 警備隊の情報隊ですけど」
「します! 何でもしますのでお願いします! もう飢えるのは嫌です」
やっと話しをした。ミアさんがトレル隊長を呼ぶとすぐに飛んで来た。
「司令、お呼びで」
「フリンさんです。欲しい?」
プレートを見せて。王都の魔法大学6位卒業を伝える。
「絶対にうちが取ります!」
「すぐに辞令と装備品をお願いします。装備は食べちゃったみたい」
「すぐに手配します。寮の将校用が昨日開いたので使います? 広いし滅多に空かないですよ」
「なら入れてあげて下さい。お得ですものね」
「家具も付いていて良いですよ」
フリンさんは魔力を上げてあげると、トレル隊長に連行されて行った。
「飛べるようになった魔術師をステン王子に取られたままじゃ辛いですよ」
「そうですよね」
ミアさんも冷たい。
「ステン王子の警護は出来ますよね」
「フリンなら問題無いです。性格も良いですし強いですよ。ボケですけど」
「ミアさん、暇な時にレベル上げしてあげて下さい。予算が無かったら僕に」
「大丈夫ですよ、北の国で集めた魔道具に高価な物が多かったですから。ポニーさんに頼んで今日中に」
「司令、今晩も訓練するんですか?」
「しますよ」
「私も行きますよ」
「ナンカ、出歯亀みたいでミアさんに嫌われそうで」
「まだ、そんな事言っているんですか? もう諦めなさいって。周りに情婦だと言いふらしますよ」
「だから、僕がハリーさんとパトリックに殺されますって。変な噂を立てないで下さいよ」
ミズリさんが大笑いしていた。
ダンクチームが帰って来た。女の娘達とステン王子が大喜びしている。マネさんが相当稼がせてあげたようだ。
マネさんが俺に笑って手を降ってくれた。




