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第7章15話 北の国再び


 ミズリさんの警備隊での能力はすぐに証明される事になった。昨夜ステン王子の護衛から帰って闇奴隷市の踏み込みに参加したミズリさんは、応援参加のポニーさんと一緒に大活躍だった。


「二人で殆ど片付けてしまいました」


 ミアさんと一緒に朝食に来たジャンさんが感心するように報告して来た。30人近い組織の用心棒の殆どを二人で片付けたらしい。

 ポニーさんが恥ずかしそうな顔をしている。メダル持ちになってから表情が豊かになっている。

 ドロン隊長も現れた。何故か幹部全員集合になっている。


 昨夜の報告に戻る。どうやって街に入れるのかセントニアも大量に押収している。ワープで持って来るには量が多い。


「工場が有るのですかね」


「だったらヘフナドルフに倉庫が必要無いでしょう」


 ジャンさんがアッサリと答えた。確かにそうだ。


「海から来るのですか」


「陸路はソシル子爵の領地なら、海路は何処からですかね?」


 ジャンさんと話していて気が付いた。


「北の国が復活しているのかも知れない」


 コロン情報隊隊長を呼んだ。


「お呼びでしょうか」


「北の国はどうなってます?」


「最後に見た時は漁村でした」


「セントニアの工場の確率は有ります?」


「有ると言えば有ります。もう一度調べておきます」


「セントニアは東の錬金術師の作という情報が入ってますよ」


 ミアさんが報告する。


「また東の錬金術師か。そろそろ聞き飽きたな」


 アデルさんがウンザリした顔で言った。


「王が国外追放と係わった者の死罪を宣言しましたから、王党派の貴族達も表立って係われなくなっているようです」


 研修中のステン王子が発言した。今日は狩猟が休みらしい。

 東の錬金術師の入領禁止はホフマン家も宣言している。関係者の死罪も同じだ。


「テリッチさん、セントニアの原材料は?」


「主原料は毒クラゲの液みたいですね。クモなんかも似たような効果の毒を出しますけど。刺されたり、噛まれたりすると麻痺しますでしょう。あれと思っています」


「じゃ漁村で原材料を作っている確率は有りますね」


「十分に有りますね」


「一般人が居ると殲滅が出来無いですし、困りましたね」


「何時ものように魔術師の皆さんに空爆して貰って、騎士団が地上で選別して片づけては?」


 ドロン隊長がやる気になっている。


「王子親衛隊も参加させて下さい。彼等も実戦を経験させないと。指揮権はドロン隊長にお渡しします。親衛隊が参加していればホフマン家の独断と言えなくなりますよ」


 ステン王子も進歩したものだ。


「良い手ですね。それで行きますか」


 コロン情報隊隊長が戻って来た。


「村の漁港寄りに倉庫に見せかけた工場が在ります。村の女達を駆り出して働かせてますね。ロープで繋げられてます。村の規模は1000人くらいです」


「一般人を助けて、村から出してから燃やすしか無いですか」


「村人には申し訳無いがセントニア汚染は焼くしか無いでしょう」


 ドロン隊長が冷たく言い放つ。


「船は?」


「港に3艘。沖には居ませんでした」


「ドロン隊長。これから奇襲せんか? 用意にどの位掛かる?」


 マネさんが大胆な提案をした。


「200名くらいなら1時間くらいですか。親衛隊の皆さんも毎日、合同練習してますから」


「ミノルさん、私も参加を」


 ステン王子が参加を希望した。


「飛べるようになりました?」


「飛べますが、技術が無さ過ぎです。地上組で」


 ドロン隊長が許可した。


「港の船を燃やすと海にセントニア汚染が出ません?」


「警備隊が参加して制圧しますか?」


 ジャンさんの提案を喜んで受け入れた。

 凄い作戦になってしまった。


 1時間後に騎士団訓練場に集合で解散した。


 メダル持ちだけで鹿焼き肉を食べながら打ち合わせをする。


「全員透明化して、僕とマネさん、テリッチさんとポニーさんで村と工場。アデルさんとミアさんが港でどうてす」


「良いぞ、私はそれで構わん」


 アデルさんが賛成してくれた。全員了解のようだ。


「全員参加は久し振りだな。やっと身内だけで出来るようになった」


 マネさんがしみじみと言った。


「欲を言うと、もう1人メダル持ちが欲しいですね。ミノルさん以外で3人チームが2つ出来ますから」


「私もそう思います。先日の人手不足を考えると2チーム必要だと思います」


 ミアさんがテリッチさんの意見に賛成した。


「精霊様が決める事ですからね。セリちゃんのメダルも預かり中だし」


「セリちゃんが完治するのに最低でも2~3年掛かりますし、返せば精霊様の加護が無くなるでしょうし困ったものです」


 テリッチさんが諦めたように言った。余りに若い娘を守護人にした俺の責任だ。


「ミズリは地上組か?」


 アデルさんが聞いて来た。


「ステン王子に貼り付けしか無いでしょう」


「そうだな」


 我々は騎士団の練習場に行った。騎士団と王子親衛隊200名と警備隊150名が待っていた。


「僕達で、出来るだけ削ってから連絡入れますので、村に入り込んでください。港の方はアデルさんから連絡入れます。アデルさん達から攻撃を始めて下さい。音で飛び出して来たのを片付けます。全員透明化」


 メダル持ち全員で透明化した。


「出発!」


 我々は北の国にワープした。いきなり港で雷神が派手な音で落ち始めた。アデルさん達が早速始めたようだ。

 家から人が飛び出して来る、警戒で見ると殆どが赤く表示されている。


『攻撃開始!』


 最初の雷神3発くらいで殆ど居なくなった。家の中と工場にに100人くらい居る。


『ドロン隊長お願いします』


 騎士団と王子親衛隊が村に現れて、工場や家に入り込んでいく。手慣れたものだ。

 港の方もジャン隊長が制圧を終了して船を探索始めている。

 村で派手な斬り合いが少し有ったが騎士団の敵では無く、ステン王子も頑張ったが雑魚を一人斬っただけだった。

 王子親衛隊は初戦の割りに使えている。終盤の頃には良い動きになっていた。


 騎士団の人が門を開き村人を外に出し始めた。両手に荷物を持って走るように門の外に避難して行く。

 誘導しているミズリさんが警備隊情報隊の制服を着ていて似合っている。ステン王子も普段よりキリッとした顔付きになり亡命して来た時と大違いだ。


 敵の死体を粒状化で消し一般の家からまで出て来るセントニアを村の広場に積み上げて行く。凄い量だ。

 警備隊の人達が港からもセントニアを運んで来ている。精気の無い村人がボーっと見ている。全員中毒なのだろうか?


「短時間なので全部を集められません。村ごと焼く事を進言します」


「儂もそう思いますぞ司令」


 ジャン警備隊隊長の意見にドロン騎士団隊長が同意する。


「村人が可哀想で」


「テリッチの研究施設と原材料の収集に協力し、終わり次第村ごと焼く。村人を村から遠ざけろ」


 マネさんが突然指示を出した。


「「了解」」


 二人の隊長が指示を出して現場に向かって歩いている。


「済まんなミノル、勝手に決定して」


「いえ、マネさんが正しいです」


 俺がまた弱気になっているのを、気にしてくれたようだ。


「ミノル、自分を削るな。良いな」


 マネさんが俺をヨシヨシして言ってくれた。


 作業が終わったようだ。


「総員村から離れ安全を確保。指示有り次第ワープで訓練場に」


 ドロン隊長騎士団の指示が出た。テリッチさんがニコニコして帰って来た。戦利品が気にいったようだ。


「メダル持ちは総員空へ。くれぐれも煙りを吸わないように気を付けること。風上からファイヤーボールを村全体に撃つぞ」


 アデルさんの指示で空に上がって、ファイヤーボールを満遍なく打ち込む。特にセントニアの山にはファイヤーボールを撃ち続けた。

 凄い炎がセントニアから上がり出した。アデルさんが船にもファイヤーボールを撃ち込んでいる。


『村人を更に遠ざけ、騎士団、親衛隊、警備隊は先に帰還せよ。セントニアの煙りが酷すぎる』


 マネさんが指示を出した。

 村人を更に100メートル程、風上に離し隊員達がワープし出した。

 セントニアの炎と煙りが凄い勢いで上空に上がって来る。我々は風上に逃れ村全体の炎を消しようが無い事を確認して帰還した。



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