第7章12話 蟻の巣大作戦
今日はダンジョン30層の訓練の後少しだけ仮眠した。アデルさんは相当良くなり、汗かき順位はテリッチさん、アデルさん、マネさんの正しいものに戻った。
治療ポーションも1日1回で済んでいる。もう要らないような気がするが念の為今週いっぱい使うことにした。
朝の4時30分から精霊様詣りをミアさんも一緒にして、蟻の巣に5人で行った。
現地にパトリックさんと見物のステン王子、ポニーさんが大量に積まれたインゴットと待っていた。
今日は蟻退治の日だ。
「おはよう御座います」
「「「「「おはよう御座います」」」」」
パトリックさんさんは徹夜で現地指揮をしたいたようだ。
「今日は邪魔してすみません。こんな大作戦は見れる機会が無いもので」
ステン王子も徹夜で準備から手伝っていたらしい。ポニーさんが可哀想だ。
「私も手伝います!」
「ポニーさん無理しないようにね」
「大丈夫です!」
「もう合金にしてあるインゴットですので、溶かして流し込んでいくだけです」
錫や鉛も異世界のは少し違うらしく、溶かしても冷えるのに時間が掛かり鉛毒も無いので穴埋めには最適らしい。
相手は1メートル近い蟻なので巣も大きく、驚く程のインゴットが積まれている。
「坊ちゃん、最初のインゴットを高温で溶かしたら後は時々小さなファイヤーボールで満遍なくお願いしますよ」
ドワーフの親方に指示してもらって、作業が開始した。
冷気を巣に送っていた人達が避けると巨大な漏斗が巣に差し込まれた。漏斗を支える台が差し込まれインゴットが重力魔法で漏斗の上に並べられてゆく。
とても手慣れている。
「坊ちゃん、そろそろお願いします」
「了解です」
俺とアデルさん、マネさんで中くらいのファイヤーボールをインゴットに撃つと一気に溶け始めた。
もう2~3発撃って温度を上げる。
「坊ちゃん、後は温度維持して下さい」
作業の人達が重力魔法でインゴットを足し始めた。我々は小型のファイヤーボールを満遍なく打ち込んで、温度を維持してゆく。
上空から離れて撃っているのだが、とても暑い。インゴットを補充しているドワーフさん達は我慢強い。
テリッチさん、ミアさん、ポニーさんが交代に来た。
地上に戻ると涼しかった。ステン王子が参加したそうにしている。
「参加したいのですが、私の飛行技術で空中に留まっているのは不可能なので悔しいです」
自分の実力が分かって来たようだ。トトちゃんが厳しく鍛えているとは聞いていたが、大した進歩だ。
水を補給して15分で交代した。二人ずつ3交代とした。これで30分は休める。温度維持効果の付いた服を着ているのに、とても暑い。
そろそろ終わりかと思うと、またインゴットが積み上げられる。どんなに大きな巣なんだ。
この仕事は空を飛べるくらいの魔術力と、ファイヤーボールを撃ち続けても飽きない性格が必要だ。
交代して地上に降りるとパトリックさんがミアさんに虐められていた。
「マイヤー商会の服は温度維持効果が付いているから、全然汗をかかないわよ」
ミアさんは俺と降りたばかりなので、汗だくだ。ミアさんをなだめて水分補給をする。
マネさんがエールが飲みたいと言い出した10時過ぎに作業は終わった。
後は合金が固まるのを待ってから漏斗を除去するだけとなった。
我々6人は風呂に入って着替え宿の食堂に集合となった。
ステン王子は最後まで見ていくと残った。身を守るくらいには戦えるようになっているので、パトリックさんに任せた。
洞窟の池に浸かると汗と汚れが分解され、サッパリして来る。暫く浮かんで疲れを取った。
アデルさんが汗をかいて逆に元気になったようだ。やはり汗をかくのが良いようだ。
「ミノル、ポニーだが守護人になる覚悟が有るようだぞ」
マネさんが言って来た。
「本人に確認したんですか?」
「ミノルが言い辛そうだったからな。余計な事だったか?」
「いえ、助かりました」
池から上がり服を着て、宿にワープした。ミアさんとポニーさんは既に来ていた。
お姉さんにエールをもらい全員で乾杯して水分補給をした。
「やはり汗を流した後のエールは美味いな」
アデルさんが嬉しそうに言っている。2杯目を飲んで、やっと水不足が解消した。
落ち着いた頃、ステン王子が気になった。
「僕は現場に戻ります」
全員で行く事になった。現場には兄達が来ていた。
蟻の巣の漏斗は取り除かれ、荒野に直径5メートルくらいの銀色の場所が有るだけだった。
兄達はパトリックさんから説明を聞いている。
「ミノル、ご苦労様」
フェン兄さんが声を掛けて来た。
「済まんな、こんな事までさせて」
ノア兄さんが寄って来た。
「兄さん、セリちゃんの具合は?」
「良くはなっているよ。日に4回ポーションかな」
「1時間用?」
「そう」
「汗をかかすと良いみたいだよ。飛行訓練でアデルさんがどんどん良くなって、今は寝る時に30分ポーションを飲むだけになったよ」
「そうか……走らすかな」
「良いかも」
「有り難う。何かやってみるよ」
ステン王子が寄って来た。
「王がミノルさんに伝言です。ノアさんを辺境伯に任命する用意が有るそうです」
「有り難いのですが、今少し待つように言って下さい。ボロミア公爵の動きを見てから決めましょう」
ステン王子が念話で話している。
「王もミノルさんの意見に賛成だそうです」
兄さん達とステン王子が話している。
俺はポニーさんに話し掛けた。
「ポニーさん精霊の守護人になる用意が有ると聞きましたが」
「はい! その力が有るかは守護主様が決めて頂ければ」
「力は十分です。僕が気にしているのは守護人になるというのは普通の人間で無くなってしまうのです。
周りの親しい人達が歳を取り死んで行っても今のままですよ」
「それはミアさんにも聞きました。私は孤児の出で両親も兄弟も居ません。もう25歳ですし嫁に行けるような人間でも有りませんので、気になさらなくて結構です」
俺の周りは似たような人ばかり集まるようだ。
王子は兄さん達に任せて精霊様に会いに行く事にした。
せっかくだから全員で行く事になった。山の精霊様に会いに行った。
「やっと連れて来たか。ポニーというのか。良い娘ではないか、気に入ったぞ。ポニー、お前は我々精霊に力を貸してくれるか?」
「はい! 命を掛けて」
「そうか、お前は精霊の守護主に力を貸す役目も負うのだぞ」
「全身全霊で!」
「よろしい。ポニー、お前を精霊の守護人に任命する。このメダルを与えよう。戦う為の力も与えておいた。
他の守護者と守護人で力を合わせ、精霊と守護主の力になる事を期待するぞ」
言うだけ言って消えてしまった。
我々は順番に他の精霊様に会いポニーさんを紹介して追認して貰った。
今回、マネさんとテリッチさんが全てレベル200になっていた。
「ポニーさんおめでとう御座います。これから、凄く長い付き合いになりますけど宜しくお願いします」
「はい、こちらこそ」
ポニーさんは凄く嬉しそうに笑って言った。キリッとした印象のポニーさんが優しい感じになり綺麗になったなと思った。




