第7章09話 ステン冒険者王子
アデルさん用のポーション開発に余り外に出ないで働いている。
ステン王子はヒマみたいだったので、冒険者ギルドに連れて行きダンクさんに任せて冒険者修行中だ。
角から作るポーションが、相当効き目が上がって来て黄色スライムなんか馬鹿らしくなる程の物になって来た。
アデルさんに日に3回与えているが、セントニアの後遺症がほぼ無くなって来ている。
マネさんとテリッチさんも自主的にテストに参加しているので、開発ペースが速い。
俺も毎日、池に叩き込まれている。マネさんだけはツンツンしても怒らないでいてくれる。
ノア兄さんもセリちゃんにポーションを使い、大分良くなっているようだ。
フェン兄さんも魔人テストをサキバさんで献身的にやってくれているので、とても開発の役に立っている。
セントニアの後遺症を抑えるだけのポーションは男にも効き目が有るので、警備隊とベッドハウスで販売中だ。凄く売れており今や警備隊の稼ぎ柱だ。
「ミノル、ミアが宿に来ている。行くぞ」
ポーションを飲んだアデルさんを指先でツンツンしていると、マネさんが声を掛けて来た。
マネさんは村から帰ってから、ローブ1枚でポケットにダガーだけで出掛ける。凄くカッコ良い。俺は慌てて服を着て宿に飛んだ。
「ミア、遅れて済まんのう」
「いいえ、来たばかりでーす」
お姉さんがエールを配ってくれる。
「海老の塩焼きは如何です?」
全員手を上げた。
「蟻の巣なんですけど、100年に1度くらい巨大蟻を暴走させているようです」
「前回はいつ頃でした?」
「記録では103年前ですね。あの街は捨ててあったので余り問題にならなかったみたいです」
「そろそろ、相当アブナイですね」
「ですね」
ミアさんが海老をカジってエールを飲んだ。
「何か手立ては無いのか?」
「前回、魔術師が火を放って被害を広げまして熱風の方が良いようです」
「熱風ですか。僕達の仕事みたいですね」
「マイヤー商会の農業専門家が巣を潰す事を提案しています」
「どうやるのだ?」
「大量の錫とか銅や鉛を溶かして巣に流し込むのが簡単みたいですね」
「相当沢山の錫・銅・鉛が必要になりますね」
「領内で足らない分は、パトリック兄さんが魔国から仕入れると言ってまーす」
「マイヤー商会も農場有るものね」
「そうなんですよ。奴らが出て来ない冬の間に、漏斗状のデカいのを差し込んで熱して流し込むのが簡単みたいですね」
「話しを進めてしまって下さい」
「了解でーす」
「王子さんが冒険者にハマって冒険者ギルドで3食、食べている状態なんですけど」
「そんなにハマっているの?」
「ナンカ前衛やったり、トトちゃんと魔術師やったりで大活躍みたいですよ。王子さんが獸人やダークエルフと魔人なんかと歩いてたりするから王都組が引いているみたいです」
「後で顔出しておくよ」
「ミノル、海老が有るなら何故すぐに呼ばん!」
アデルさんがテリッチさんと現れた。
「アデルさん休んでいたから」
パクンと頭を叩かれた。
お姉さんがエールと海老を持って来た。改めて乾杯して報告を聞く。
「ホフマブルグの警備隊訓練場を潰して作っていた500デルベッドハウスが完成です。予定通り男用500ベッド、女性用1000ベッドです。風呂と食堂が24時間経営で、兄が張り切っていました。
本日の予約は満杯です」
「売店は?」
「矢張り24時間でポーションも販売します」
「利益が出そうだね」
「ダンジョンの入口近くにもベッドハウスを作る計画が提案されています。ジャン警備隊隊長が計画の可否を聞いて来いって」
「パトリックさんが、やる気なら進めて良いよ。どうせ足りないんだから」
「了解です」
ミアさんが連絡している。
「ホフマブルグとリヒトブルグでのセントニアの流通が相当減りました。街に入る馬車と人を全て透視魔法で監視する事で摘発率が上がり、供給を減らし同時に闇奴隷も減少してます。港町でも同様な措置を現在進行中です」
報告が終わって少し雑談をしてからミアさんが帰って行った。
「ミノル、次は何をする?」
マネさんが聞いて来た。
「冒険者ギルドに行ってみます。ステン王子の様子を見ておかないと」
全員で行く事になった。
冒険者ギルドに着くと、昼に帰って来た冒険者が集まり出していた。
ダンクチームが何時もの場所に座っていた。ステン王子もポニーさんと一緒に居る。
何時ものように4人組が俺を見つけて手を振り、他の冒険者達も我々に挨拶してくれた
「ミノルさん、貴方のお陰で生まれて初めて自分でお金を稼ぎました。人と協力する大切さを、ダンクさんとチームの皆さんに教わりました。感謝します」
「ステンさん、カタイよ。たのしくするよ」
「そうそう」
ステンさんになっている。気楽なものだ。
「ステンさん。楽しいでしょう、こいつ等。僕がここに帰って来て最初に出来た友達なんですよ」
「そうなんですか!」
「はい。ダンクさんはマネさんの元チーム仲間ですし、ノレルさんは僕が子供の頃から世話になった方です」
「皆さんの足を引っ張ってますけど、トトちゃんに魔法の使い時を習ったり、ダンクさんには剣の使い時を習ったり、この娘達には警戒の仕方を習ったりで毎日楽しいです」
「そんな事無いよ。ステンさんとポニーさんのお陰で、稼ぎ増えたよ」
「それは良かったな。冬に増収は嬉しい事だ。ステン殿に感謝せねばな」
マネさんがニコニコしている。ここでは王子と呼ぶのは控えているのでステン殿だ。
「皆、飲むか?」
歓声が上がり、走る猫耳の後ろ姿が見えた。
「ステンさん、両手出して」
俺はステン王子の魔力を増やしてあげた。1.5倍くらいになった。
ポニーさんとトトちゃんも、久し振りに増やしておいた。
「良かったら皆さんも飲みませんか?」
ギルドに歓声が響き、昼の宴会が始まった。
アデルさんも魔獸の焼き肉とエールでご機嫌にポニーさんと話している。ステン王子は初めての経験に興奮気味だ。
「楽しいですね。今までの生活がバカらしく感じます。仲間と飲むのは本当に楽しい」
20層への移動石を届けてくれた王都組のお姉さんが来た。
「坊ちゃん様、教えて貰った方法で30層を突破出来ました!」
「オメデトー御座います。何人で行きました?」
「23人です。全員で撃ち続けて30分以上掛かりました。31層の海はブレスを吐く海竜みたいな大型生物です。大量に出て来るので途中で帰りました」
「気を付けて下さいね、あそこはナンカ感じ悪いですから」
「ですね。本当に感じ悪いです」
お姉さんの名前はミズリさんだった。王都でも結構強い方らしいのに珍しく性格が良い。
仲良くなったので、魔力を増やしてあげた。魔壁が柔らかいのか2倍くらいになった。凄く喜んでいた。
我々はアデルさんのポーション時間なので、お先に失礼して洞窟に帰った。
アデルさんがポーションを飲んで横になっている間にマネさんとテリッチさんに相談する。
アデルさんも良くなって来ているので、本人が望むのならリハビリ開始で今夜からダンジョンで特訓する事にした。




