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第7章08話 アデルさんが帰って来た


 朝の狩りにマネさんも参加してくれたので簡単に終わった。


『肉たくさん、嬉しい。再生増えたか?』


『レベル7になったから1返すよ』


 自然増加とマネさんに再生を使って増えている。


『お前使え。7あれば治せる。嫁連れて帰れ』


『良いの?』


『ここ子供生む。他の女を手に入れる。お前の嫁混乱なくなった』


『有り難う。お礼するよ』


 テリッチさんに、黄色スライムを頼んだ。


『嫁の悪い物。流れ出た。再生して力を取り戻すだけ。お前出来る』


 テリッチさんが小型の黄色スライムを持って来た。


『今日までのお礼だよ』


『嬉しい。ありがとう。外の壁そのまま欲しい』


『バリアーは、そのままにしておくね』


 テリッチさんがバリアーを張り直している。

 我々はアデルさんを受け取り洞窟に帰った。


「ミノル。帰ったぞ。会いたかったぞ」


 確かに落ち着いた感じがする。セントニアの影響は無くなったようだ。肌も傷が全部消え健康そうに見える。


「アデルさん、お帰りなさい。僕も会いたかった」


 俺がアデルさんに抱きつくとヨシヨシしてくれた。

 アデルさんを池に漬けて浄化する。細かい泡が全身から出て来た。全身に再生魔法を何回か掛け泡が消えるのを待つ。

 合間にマネさんとテリッチさんにも再生魔法を掛けた。また再生魔法のレベルが上がる。

 泡が消えたので、アデルさんの宝物を取って来た。


「はい、返すよ」


 アデルさんは髪留めと透明リングを身に付け、身代わりのリングを右手にはめると全身が少しの間青い光に包まれた。


「これで本当に帰って来た気になったぞ」


 マネさんとテリッチさんが、アデルさんにお帰りなさいを言っている。

 アデルさんが興奮気味なので、テリッチさんが新型ポーションを飲ませて土手に寝かせた。

 新型ポーションは効果は弱いがセントニアの影響を消すだけの効果で、外出先でも使えるようになっている。


 マネさんとテリッチさんに渡す物が有ることを思い出した。


「先日、ノア兄さんが執務室の机で見つけて返してくれたんですよ」


 身代わりリングをマネさんとテリッチさんにあげた。


「2人共、死なれたら困りますからね」


「儂には勿体ないぞ。良いのか?」


「羨ましかったんです」


 2人は早速腕にはめると、青い光に包まれた。とても嬉しそうにしていた。


 アデルさんが自分で起き上がった。


「テリッチ、このポーションは良いな。あの変なポーションの効果が出る前に、興奮を落ちつかせる」


「ミノルさんがアデルさん用に考案したポーションなんです。その場でセントニアの効果を抑えるだけで治療効果は無いのですけど。出来たばかりなので警備隊と協力してテスト中です」


 アデルさんに、この3週間ぐらいに起きた事を説明した。俺が錬金術師になったことを、とても喜んでくれた。

 取りあえず精霊様詣りに行く。久しぶりの服で違和感が有るようだ。


「アデル。もう良くなったのか?」


 山の精霊様がアデルさんに声を掛けた。


「はい。万全では有りませんが、お役には立てます」


「そうか、無理はするな」


 今日はアデルさんに優しかった。他の精霊様達も同様で、アデルさんが恐縮していた。


「精霊様達にまで心配を掛けてしまった。これから頑張らねば」


 精霊様詣りが終わって、アデルさんが決意を新たにしている。


「張り切らないで、ポーションを少し飲んだら?」


「そうだな、そうする」


 ポケットからポーションを出し一口飲んでいる。


「落ち着く。馬鹿な真似をしない安心感が良い」


「今日は公務が沢山有るけど、アデルさん休みなよ」


「いや、構わんぞ。第4王子は会った事が無い。隊長はアヤフヤだ。見れば分かるが、王子とミノルの仕事の邪魔はせん。安心しろ」


 本当に良くなったようだ。自信と冷静が戻っている。村の魔術師さんに感謝しないと。


 取りあえず、宿で朝食をとる事にした。食堂に行くとステン王子とミアさん、ポニーさんが座っていた。

 我々が入って行くと王子達が立ち上がった。


「ミノルさん、おはよう御座います」


「ステンさん、おはよう御座います。アデル副司令です」


「これは……はじめまして。馬鹿な兄達が飛んでも無い事を。謝って済む事では有りませんが、代わってお詫びを」


「アデルです、はじめまして。ステン王子は関係無いのなら、気にしないで下され。互いにギクシャクしますぞ」


 どっちが王族が分からない会話だ。


「良かったらステンさんも朝食を一緒に如何ですか?」


 一緒に朝食会になってしまった。

 お姉さんがコーヒーを配っている。


「隊長さんは?」


「実は昨夜、また失態をしまして。酔ってドロン騎士団隊長に失礼な態度をしまして、親衛隊隊員の信用まで失ってしまった状態になりましたので解任しました」


「それで今、何処に?」


「第3王子を頼って王都に帰ったようです」


 笑ってしまった。随分と気軽なものだ。


「勇者は、まだ居るのですか」


「良く知らないのです。アイラス教団が仕切ってますので」


「王家はこれからもアイラス教団と関わるのですか?」


「王は嫌がってますね。あの教団は犯罪と結び付きが酷すぎますから」


 今はセントニアと婦女子の誘拐問題が先になっているようだ。

 王子の要望で宿の部屋は、ポニーさんの隣のウルス隊長が使う予定だった部屋に変わった。


「第4王子なんて名ばかりですから、あの部屋は立派過ぎです」


 面白い王子さんだ。雑談を少ししてステンさんはドロン騎士団隊長に会いに行った。


 我々は洞窟に帰ってアデルさんを休ませる。魔法禁止を告げて、治療用ポーションを飲ませた。

 角から精製した強い物だ。1ヶ月ぐらいは日に2~3度1時間用を服用させると、ほぼ完全に治る予定だ。

 アデルさんの身体が赤みがかって来たので、指先でツンツンしてみると反応が有るのでポーションが効いて来たようだ。

 暫くツンツンして遊び、薬が切れて叩かれる前にリヒトブルグの谷にマネさんと飛んだ。


 谷の壁工事の準備が始まっていた。建設ギルドの親方と話してみる。


「坊ちゃん、結構な大工事になりますぜ。魔法を使える魔人とダークエルフがいて助かるけどよ」


「工期は?」


「熱風が来る可能性が有るのが、8月からと考えると7ヶ月。相当無理しないと難しいですぜ」


「何とかして下さいよ。街が乾いちゃいますから」


「人出を増やして24時間体制でやっとですぜ」


 また、お金が掛かるけど複製魔法で乗り切るしか無い。今、建設現場の女性比率は7割以上になっている。また、亜人や魔人の女の娘が増えそうだ。

 魔人も亜人も女性の方が真面目に働いてくれる。どうしても女性比率が高くなってしまうのだ。魔法のお陰で力の差を気にしなくても良いのが楽だ。


「所で坊ちゃん、蟻塚が荒野に見つかったの知ってるかい?」


「蟻の巣ですか?」


「そう、巨大なやつ。放っておくと暴走しますぜ」


 また難問だ。トレル警備隊情報隊長を呼んで対策を考えて貰う事にした。


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