第7章04話 新型ポーション
葬儀が終わって2日経つた。警備隊にテストを頼んでおいたセントニアの治療に俺のポーションが効いているらしく、毎日ポーション増産に忙しい。
テリッチさんはポーションの改造に、買った魔道具を駆使して効果の向上をしている。ポーション1本で40分まで効果が持続されるようになった。
俺のゴブリン治療魔法は、毎日テリッチさんの治療でレベル50を超えている。どうやら他の魔法のレベルに引っ張られ、上がりがとても早いようだ。
テリッチさんの身体は俺の治療で相当良くなり、自分でポーションのテストを毎日している為か村に行かないと言い出している。
テリッチさんと朝の狩りを終えて、村に届けに行った。
『オハヨー。肉をありがとう』
魔術師さんの言葉が上手くなっている。
『言葉が上手くなりましたね』
『毎日、お前の嫁と話している。上手くなった』
『僕の治療魔法のレベルが上がったから魔術師さんに返すよ』
俺はお礼に5レベル付けて15レベル渡した。
『良いのか。増えている』
『お礼ですよ』
『とても助かる。すまない。お前の嫁はまだ返すことできない。見てくれ』
寝かせたマネさんを見せてくれた。治療で来ているので魔術師さんと話す時以外寝かせたままにしているそうだ。
まだ半分くらい悪い部分が残っている。
『とても悪い。まだ半分だ。もう7日くらいかかる』
だがマネさんの寝顔が良い表情になっている。
『良いですよ。徹底的に治して下さい』
『魔法返してくれた。良くしやすい』
『アデルさんは?』
『相当悪い。ゴブリンの力の多く。この女に使っている。魔法だけ無理。もっと時間かかる』
アデルさんも寝かせたまま治療している。身体の傷も治しているらしく綺麗な肌に戻って来ている。
『よろしくお願いします』
暫くテリッチさんと二人暮らしみたいだ。
村の帰りに館に寄り、兄達に100本ずつ新型ポーションを届けてから朝食に行った。
「今朝はオムレツに野菜スープとパンでーす」
お姉さんが注文を取りに来たと同時に、ミアさんも来た。三人分注文してコーヒーを飲みながら報告を聞く。
「エーッと、司令の提供してくれたポーションは、半本でセントニアの効果が消える事がテストの結果分かりました。今朝貰った新型は今日から早速テストに入ります。
闇売春と麻薬業者は昨晩2ヶ所撲滅。8名の民間人を保護、セントニア5キロを押収しました。
今更ですが『禁断の森』は以前『風欠の森』と呼ばれていたそうです。聞こえが悪いので『風欠の森』に戻すとノア様が言っているそうです。
第4王子の亡命は近日中との話が複数の情報から入ってます。行き先は不明。王党派の何処かではないかとの観測です」
「毎日みたいに麻薬業者と売春業者が出来上がるね」
「国中から入って来ているようです。此処だけ景気が良いですから。ジャン警備隊隊長が頭抱えてますよ。ノレルさんに、また世話になったみたいですよ」
「ノレルさんが出たの? 冒険者ギルド行ってお礼言っておくよ。それとマネさんの復帰が1週間くらい延びたので、ミアさん宜しくね」
「エーッ! その間に何か起きたら使えるメダル持ちは三人ですよ」
「仕方無いよサキバさんとトメラさんに手伝って貰うから、何とかなるよ」
「セリちゃんだって居るじゃないですか」
テリッチさんが言う。
「セリちゃんは3日くらい行方不明デス」
ミアさんがニヤニヤ。
「情報隊に顔出して無いの?」
「最後に顔出した時、隊長を『トレルさん』なんて呼んで隊長がキレたんです」
「そんな馬鹿やったの!」
「ノア様や司令が『トレルさん』て呼ぶから言ったらしいですけど。隊長がもう来なくていいって怒鳴ったデスよ」
「そりゃ他の部下の前でやられりゃね」
「ですよねー。現在出入り禁止デス」
「ノア兄さんは知っているの?」
「知ってます。セリちゃんはノア様に張り倒されて謝って来いと怒られたようです」
「謝りに行ったの?」
「来てません。謝りに行ったとノア様には言ってるらしいデス」
「常識が付く前にメダルなんて無理だったのかな?」
「私はノーコメントです」
ノア兄さんが俺を見ると困った顔している理由が分かった。
ミアさんが朝食を済ませて帰って行った。
「テリッチさん狩りを手伝って貰えます? 新しいポーションの材料集めなんです」
「どんなポーションです?」
「日本だと鹿の角が滋養強壮で高く取引されるので、魔国に居る魔獸でトナカイと牛の混血みたいでフオォォーンて吠えるのが使えるか気になっているんですよ」
「大きな魔獸ですよね。角の芯に薬抗が有ると聞いてます。試しましょうか」
以前トメラさん、サキバさん、アデルさんと来た山の中腹に来た。草原に相変わらず大群が居る。
「透明になって手前の20頭くらいを倒して、バリアーを張りましょう」
「バリアーはミノルさんの方が強いから、私が倒しますね」
テリッチさんが手前の群れを倒し移動してバリアーを張った。角を切断してマジックバッグにどんどん入れて行く。26頭倒しているので52本、開発とテストには十分な量だろう。
獲物の身体を粒状化して洞窟に帰った。
テリッチさんと角の芯を採る作業をする。角が大きいので作業は楽だ。
「男性にも効けば良いですね」
テリッチさんが作業をしながら話している。
「副次的に効いてくれれば良いのですけど」
「ミノルさんは女性用しか作らないのですか?」
「はい、余裕が無いんですよ」
テリッチさんが不思議そうな顔をしている。
「以前の警備隊からの報告を覚えてます? 完全中毒になってしまってからのセントニアの症状」
「エーと、思考力が落ち依存心が強くなり衝動的に行動して、義務感が無くなり嘘をつきその発覚を恐れ家族や親しい人達を避ける。普段の生活でも常識外れな行動をする。でしたっけ?」
「何処かで見た事有りません。そんな人」
テリッチさんが暫く考えてから気が付いた。
「アデルさんですね……まさか完全中毒とは考えてませんでした」
「もう1人いません?」
「セリちゃん!」
「アデルさんより悪いと思うんですよ。警備隊が隠しているけど、3週間くらい前から無断欠勤だらけで精霊様のお詣りも暫くしてないみたいですね。
情報隊がセリちゃんの貯金を調べたら、2ヶ月くらい前から減って行って残高はゼロです」
「守護人になってすぐに狙われたみたいですね」
「アデルさんみたいに身内に売られたのと違って、途中から自分でのめり込んだのでしょう。自慢の杖も売ったみたいですし、先日ノア兄さんの剣を盗もうとして発覚してます」
「ノア様の剣をですか!」
「ミリーさんに捕まったの」
「坊ちゃん係のミリーさんですね」
「そう、杖はノレルさんのチームが闇売春宿を襲った時に発見されたんです。ノレルさんは冒険者で僕の子供の頃からの仲良しさんで、警備隊の汚れ仕事を引き受けて貰っているんです」
「だからノア様に大量のポーションを渡している訳ですね」
「セリちゃんの治療とテストの為にね」
二人で別々の調合で虱潰しに作成して行く。薬師ギルドから買ったテスト用の、外観がモルモットとタヌキの中間みたいな小動物でテストしていく。
中々上手く行かない。晩御飯の時に夜食のお弁当を作って貰って、今晩は徹底的にポーション作りだ。




