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第7章02話 魔王宮殿復活


 昨夜はテリッチさんと二人で錬金術師になったお祝いをして、早めに寝る事にした。テリッチさんが材料集めに行くので一緒に行く為だ。

 テリッチさんにヨシヨシして貰っているとスッと寝てしまった。


 お陰様で爽快に目覚め、二人で精霊様巡りと村への獲物を狩って届け、全ての義務を果たした。

 洞窟へ戻り二人で池に浸かる。


「朝の義務が増えて、結構時間が掛かりましたね」


「そうですね。二人の間はミノルさんが苦手の早起き必須ですね」


「今日はどんな材料集めに行くんです?」


「腕輪作りになどに使う砂とか石ですね。草原や荒れ地を少し掘って集めるのです。最近売って無いので自分で採るしか無いのですよ」


 どんな物か聞いていると、ヒョットしたらと思う場所が浮かんだので行く事になった。

 二人共ローブ1枚の軽装で魔国のクレーターに行った。俺とアデルさんで最初に作ったクレーターだ。

 クレーターのままに放置されている。


「ここ凄いですね! 全部集まりそうです」


 テリッチさんがバッグに砂や小さな石を詰め込んでいる。とても嬉しそうだ。

 俺はテリッチさんに治療魔法を掛け続けている。結構レベルが上がる。魔法を飛ばしながら、ぼーっとしているとクレーターに巨大な土台が見えて来た。街の道や街を囲んだ巨大な城壁の土台までうっすら見えて来た。

 錬金術師になった影響なのか、透視しているように古い土台が見えている。


 テリッチさんが上機嫌で帰って来た。


「ミノルさんが治療を飛ばし続けてくれたので、疲れ知らずです。体調もとても良いです」


「材料は集まりました?」


「凄いですよ、必要な物全部10年分くらい集まりました!」


「良かったですね」


「他にも入手困難とか入手不可能とかの材料が沢山集まりました!」


「やはり魔国は色々な物が在りますね」


 どうにも古い土台が気に掛かった。

 ラルドさんに連絡して再生してみる許可を頼むと、本人が飛んで来た。


「ミノル殿、私には見えませんです。構わないので再生してみて下さい」


 俺はワンドを握って、巨大な地中の土台に集中する。


「再生」


 巨大な建物が地響きを伴って再生されて行く。


「おお! こ、これは私の宮殿! まさか!」


 ラルドさんが驚いているうちに巨大な宮殿が再生され終わった。


「痕跡も無かったのに……」


「ラルドさんの宮殿なら、すぐに入って!」


「そ、そうですね!」


 ラルドさんが飛んで行った。念話を通して感激の声が聞こえる。


『全て昔のままだ!』


 俺は宮殿の付帯設備や大通り、城壁の痕跡を再生して行く。立派な街だ。正門と中通りを再生した辺りで、再生した街が俺を見ているような気がし出した。


『ラルドさん。街が僕を見出したので退散します』


『スミマセンなミノル殿』


 街と宮殿が主人がラルドさんと思わなければならないので、再生主が居ると台無しになる。

 テリッチさんと洞窟に帰った。


「魔王様が喜んでましたね」


「何故、僕だけ痕跡が見えたんでしょう?」


「錬金術師になって、ミノルさんには土地の過去の記憶が見えたのかも知れません」


 池で土埃を流し二人でイチャイチャしてると、ラルドさんからお礼の念話が入った。余程嬉しかったのだろう。

 テリッチさんの身体を調べると、確かに薄汚れて見えた患部が減っている。もっとレベルを上げないと。


 朝御飯を宿に食べに行った。

 注文をしてコーヒーを飲んでいると、ミアさんから連絡が来たので朝食に誘った。追加注文をして待つていると制服を着たミアさんが現れた。


「オハヨー御座います」


「スミマセン呼び出して」


「いえ、何処でも参上しますから」


「昨夜の捕り物は?」


「馬車が二台で床下にビッシリとセントニアを詰め込んでました。5名捕獲、7名の未成年女子保護です。

 自白により、闇売春館を襲撃しセントニア倉庫を確保。3名の成年貴族婦女子保護。既に奴隷印付きでした。家族に問い合わせた所、該当者無しとの返答。

 昨夜の押収セントニアは50キロでした。以上です」


「随分セントニアが入っているね」


「そうなんですよ。現在、闇売春館の客を洗い出しの最中です」


「貴族の婦女子は? 奴隷印なら消してあげるよ」


「問い合わせただけで、そんなの居ないですから。 奴隷印の話しをする余裕も無かったそうです」


「どんな人達?」


「死んだ奥様の友人と娘らしいです。評判は悪いみたいですね」


「聞かなきゃ良かった。適当に処理して下さい」


「そのつもりです」


 朝御飯が来た。食べながら話す。


「明後日の葬儀は朝9時からですので8時30分に館で待つ、司令服で良いよ。とのフェン様の伝言です」


「伝言有り難う」


 忘れないようにしないと。


「副司令補佐官の話しは、ハリーさんにしたの?」


「したんですよ。得意の顔を手で覆って泣いてましてね。暗くって」


「あれ、お祝いは無し?」


「昨夜、捕り物終わらせて情報部だけでやってくれました」


「セリちゃんイジケて無かった?」


「セリちゃんだけ欠席でした」


「……ノア兄さんの警護で忙しかったんだよ」


「私もそう思います」


 ミアさんがニヤニヤと応えた。


「何か有るの?」


「まるまる1日家宰屋敷のノア様の部屋から出て来て無いそうです」


「そ、そうなの!」


 俺もニヤニヤ。


「警護係が困っているようです」


 ミアさんがまたニヤニヤ。


「まあ、成人だから」


「ですよね」


 全員でニヤニヤ。


 朝食を終えてミアさんが帰って行った。テリッチさんと洞窟に戻り、クレーターから採集して来た材料の分類をする。

 20種類くらいの材料に分類された。沢山有る物や少量の物、様々だ。テリッチさんに効果や処理法などを教えて貰う。

 凄く高価な物がいくつか有った。棚に全部分類して並べ、高価な物は扉付きの棚に並べて仕事は終わりになった。


 錬金術大全のポーションの処理法を読んでいると、ちょっとしたアイディアが浮かんだ。

 安物の薬剤とか固定剤などを集めていると、テリッチさんが薬草を採りに行くと言って消えてしまった。

 材料が無いので、大量に居る黄色スライムの小さいのを土魔法で作った大きなシャーレに入れる。

 外皮を薬剤を溶かし、効果向上剤、固定剤や安定剤、香料などを加えて撹拌すると意外と飲みやすい硬さになる。

 身体への吸収効果向上効果の有る薬草と、少し甘味を持つ胃薬効果の有る薬草をすり潰して入れると黄緑色の液体になった。

 試験薬を6種類くらい使い、テリッチさんに教わった通りにテストして毒性の無い事を確認した。

 安定と防腐用の一般的な薬草をすり潰して加えて出来上がり。

 1時間用の大きさのスライムから小瓶6本のポーションができた。

 ラベルに適当に滋養強壮と書いて、1本持って土手に行って側に置き沈殿、分離が起きないか見ながら錬金術大全を読んでいた。


 テリッチさんが帰って来た。俺の横に座り小瓶を持ってラベルを読んでいる。


「ミノルさんのポーションですか。テストしました?」


「6種類全部無毒です」


「フーン」


 小瓶を降って透かして見る。臭いを確認してから、手に少量垂らし小指に付け舌で確認している。


「甘味が良い具合ですね」


 テリッチさんはいきなりグビグビと1本飲んでしまった。止める暇も無かった。


「美味しい方ですよ。良く出来てます」


 蓋を瓶に戻しているテリッチさんが紅潮して来た。


「効き目が強いですね。何から作りました?」


 テリッチさんの紅潮が目立って来ている。


「……黄色スライムです」


 テリッチさんの目が大きく開かれた。立ち上がろうとして失敗している。苦しい訳では無いようだ。

 ちょっと触れると大きく反応する。指でツンツンしたり無理命令したりして、反応を見ているうちに効果が無くなって来た。20分近く経っていた。

 テリッチさんは落ち着いてから、ニッコリして俺を見た。可愛い笑顔だった。


「ヤりましたね」


 俺は池に沈められ、踏みつけられていた。


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