第6章18話 少し回復
アデルさんを取り返してから三日間、やっと妖精の池からアデルさんを引き上げテリッチさんが身体を調べている。
「骨とか筋肉、靭帯と舌は再生して大丈夫です。内臓も大丈夫ですね。肝臓と腎臓が肥大してます胃が酷く爛れてますね、出来れば再生して下さい。駄目ならポーションで治します。
鞭の傷と前歯と頭髪はまだ駄目です。歯茎にまで、あの黄色いのを擦り込まれているので。
魔壁は硬化されているのでポーションで柔らかくしてから、治るならミノルさんが治すでしょう」
アデルさんの上の前歯は全て抜かれ、頭髪は半分くらい無く赤く腫れた地肌が見えている。金髪が赤毛と金髪の中間みたいな色になってしまった。頭髪は抜け続けている。魔壁は完全に破裂されていた。
「分かりました」
左足首から再生と思ったら、3個所くらい骨折を乱暴に治療して曲がって付いている。
「他に3個所骨折を適当に治療してますので、曲がってますね全部再生して良いですか?」
「大丈夫ですよ」
足の筋肉と腱まで何ヶ所で切断されていたので、全て別々に再生して行く。
右足、両手全て少しずつ再生して、曲がりを無くしてから筋肉をつなげた。
話が通じ無いので舌を再生する。
「アデルさん話せる?」
「はな、せる……」
「立ってみて」
アデルさんは痛がって立てない。調べてみると腰骨も割れて、ずれて付いている。丁寧に再生した。
今度は立てた。
「歩いてみて」
アデルさんは歩いている。自分で手も動かしてみている。
「ミノル、アリガト」
「また寝転んで、うつ伏せに」
肝臓と腎臓の再生をする。透視で見ながら確実に治した。股間の筋肉もボロボロだったので再生しておいた。
「こんなものですかね?」
テリッチさんが再チェックしていく。
「全て上手くいったと思います」
「アデルさん、肌と歯茎がまだ炎症してます。今、ミノルさんに治して貰っても醜くなるだけですから。
魔法では治らない炎症なんです。でも、もう人には移らないので一緒に暮らしましょう」
「スマナイ」
前歯が無いので話辛そうだ。
3人で洞窟の池にワープした。アデルさんがキョロキョロしている。マネさんが池の中で手を軽く上げて挨拶してている。
「池に入って頭を浸けたり口を頻繁にゆすいでくださいね。傷に擦れるので服は着ないでください」
テリッチさんと俺で池に入れてあげる。
「お帰り、アデルさん」
湯の中で思い切り抱きついてキスした。アデルさんが慌てている。
「ミニクイオンナダゾ」
「僕のアデルさんは常に美人です」
アデルさんが泣き出した。
「さあ、暫く浮かんで寝ましょうね」
テリッチさんがアデルさんを横向きに支えて、長いキスをしてから胸を吸わせる。
「さあ、吸って」
アデルさんが意識を無くしていった。
土手に上がって座るとマネさんが隣りに座った。
「今のところ正気のようだな」
「そうですね……狂っていたらどうしようと心配してました」
「メダル持ちだった事に感謝するんだな」
「はい」
「ミノル、少し顔が青いぞ」
マネさんがキスしてくれて、勉強会もしてくれた。
3日後、テリッチさんが頭髪と前歯と顔の傷の治療を許可してくれた。身体の傷は深いのでまだ時間が必要らしい。
頭皮と歯茎の赤みがすっかり取れている。池とテリッチさんのポーションに感謝だ。
3分の1くらいになってしまった頭髪も、再生すると髪の毛が生えてフサフサに戻ったが、金髪では無く赤毛と金髪の中間みたいな色のままだった。あの液体は身体の記憶すら変えてしまうらしい。歯は完全に抜かれていたので、やはり再生した。
顔の傷は治療魔法で治した。鞭傷は3本しか無いし右の頬が酷く引きつっていたので再生より綺麗に治ると判断した。
「アデルさんどうです?」
乾燥している部屋で大きな鏡を覗き込んでいる。
「話しやすいし、醜く無くなった。ミノル、本当に感謝するぞ」
「早く身体も治したいですね」
「いや、体はこのまま治さないで良い。赤黒い色が残るようにしてくれ。これが無くなったら、またバカをしそうで怖い。
ミノルはこんな醜く汚い女は嫌だろうが自分に罰を与えないと、また同じ事が繰り返される」
「アデルさんは醜くも汚くも無いですよ。大事な嫁ですから」
「お前は、まだそんな馬鹿を言っておるのか!」
「毛無しで歯抜けで顔が曲がって傷跡だらけのアデルさんと昨日、何しましたっけ?」
「……」
マネさんとテリッチさんが大笑いしている。
「アデル、お前の完敗だ。もうワガママは止めてミノルの勝ちを認めろ」
「……なら、尚更この傷は消せん! 常に自分の愚かさを思い知っておかないと駄目なのだ」
「そのままで良いですよ。カッコ良いじゃないですか。僕は好きですね」
「何処まで馬鹿でお人好しでマヌケなんだ!」
「そこまでにして御飯食べに行きましょう」
マネさんとテリッチさんが笑い転げてしまっていた。
アデルさんはローブ1枚で出かけた。すれると痛いらしい。何とかギリギリ傷跡が隠れる。
遅くなったが精霊様に二人でお詣りしに行く。山の精霊様と森の精霊様には、お説教の嵐だった。アデルさんは土下座しかねない程うなだれて泣きながら謝っていた。両精霊様は最後は早く治せよと優しかったが。
聖樹の精霊様達は多少の小言で済んだ。やはり最後は優しい言葉で送ってくれた。
宿に行って昼食にする。マネさんとテリッチさんは既にエールを飲んでいる。注文しているとアデルさんが一緒に部屋に行こうと言うのでワープした。
アデルさんが髪留めと青いリングをクローゼットから出して来た。
「ミノル。図々しいのだが、また付けて良いだろうか? 私の宝物なのだ」
「付けてくれないと怒りますよ」
アデルさんがイソイソと髪留めとリングを付けた。
「やはり似合いますよ」
「済まんな」
今日はアデルさんの謝りデーみたいだ。
「良く取られなかったですね」
「奴等には見せた事は無かった……必ず何も身に付けず行く事になっていた」
「気にしないで、僕の嫁には変わらないですよ」
「本当に済まん。馬鹿で済まん」
また泣き始めた。
何も言わないで落ち着くのを待つしか無かった。




