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第6章15話 洞窟とダンジョン遊び


 温泉の池に帰って作戦会議を開いている。俺が先程ダンジョン警備隊の詰め所で移転石を全部複製して来たので。行ける場所は増えているのだがどこに行くかに迷う。


「モンスターハウスが隔離されているので、遊び易いのは確かだな」


「ならボス戦も隔離されていますよ」


「冬ですから暖かいフロアーが良いですね。汗に光った肌は綺麗に見えます」


 三人でワイワイと相談していると、中学生が夜中の学校に忍び込んだりする気持ちが理解出来るような気がして来た。


「だからミノルさん、私が汗を流して草摘みしてるのを見ていたのですね」


「何故か子供の頃から好きなんです。何か意味が有る訳でも無いのですよ」


「薬草を採る場所に常に、真夏みたいな温度の場所が有りますけど」


「行きたいです!」


 三人でワープすると真ん中に温泉が湧き、回りが石畳のような床の場所に来た。凄く天井の高い封鎖空間で壁が光っているので明るい。


「洞窟の縦坑みたいな場所なんです」


「本当に暖かいな、そこの段差に腰掛けても大丈夫か?」


 マネさんがテリッチさんに聞いた。


「大丈夫です。私は良くそこに腰掛けてますから」


 三人で2メートルも無い段差に腰掛けていると、汗が出て来た。サウナみたいに暑い訳では無いのに不思議に汗が出る。

 段差の奥は石畳の廊下が5メートルくらい在り、次に15×15メートルくらいの部屋のような草地の空間が在る。作られた場所のようだ。

 廊下に古い扉が有り、開けると10×10メートルくらいで全て石畳で囲んだ天井の高い部屋だった。

 換気は有るようだが、倉庫くらいにしか使い道が無い快適とは言えない空間だ。

 小さな妖精が付いて来たのか三人くらい飛んでいる。


「池は小さいですけど、浄化作用が強いですし薬効も有るので身体に良いです。少し温度が高いので長い時間浮いているには適さないんですけど」


 直径15メートルくらいの池は、入ってみると深さが1メートルくらいで良い湯加減だった。浮力が高くプカプカし易い。


「池の隣の土手に平らな草地も有りますから、そこで寝転がって汗をかく事も出来ますよ。この段差の奥の空間は乾いていて汗は出ないし心地良いです」


「この草地の部屋空間は別世界だな、乾いていて心地良い」


「大昔に作られて放置されているんです。此処も誰でも入って来れる空間では無いので、とても安全ですよ」


「良いな此処は、此処にしばらく居てみるか」


 マネさんが、すっかり気に入っている。


「マインズドルフの近くなんです。天井の洞窟を右に行くと出口が在るのですが山の中腹です、聖域みたいな物で普通は見えないですし入って来れないんです。山を1つ越えるとマインズドルフです」


「左は?」


「少し行って行き止まりです」


 三人揃って洞窟に行ってみる。本当に山の中腹だった。寒いのですぐに戻って湯に浸かる。すぐに身体の芯まで温まる。日本人向きの湯だ。

 上がって土手に座ると石の段差より遥かに座り心地が良い。テリッチさんが隣に座った。


「狭いけど解放的で好きですね! 此処」


 テリッチさんが顔の汗をタオルで拭っている。


「気に入って貰えて良かったです。ミノルさんには暑いかと勝手に思ってました」


「エールを買って来る」


 マネさんがワープで飛んだ。

 テリッチさんが汗をかくと良い香りがする。サキバさんとも、トメラさんとも違った良い香りだ。


「匂います? 私の身体は村に居た時に魔法で改造されてますから」


「とても良い臭いです。凄く好きですね」


「本当に? ずっと臭いと言われてましたので嬉しいです」


 テリッチさんの香りを楽しんでいたら、ついキスしてしまった。怒られなかった。


「匂いだけで? そういう効果なんです、私の汗。だから連れて来なかったのです」


「此処、なおさら好きになりました!」


 マネさんが大きなエールの樽と鹿肉のステーキを持って帰って来た。


「汗をかきながら飲むエールは美味いな!」


 俺の場合、この空間ではアルコールが分解されてしまうのか酔わない。3杯くらい飲めてしまう。マネさんとテリッチさんは今までより酔っているような気もする。何故なんだろう?


 マネさんも汗から良い香りがする。テリッチさんと少し違った香りだ。これも好きだな。


「何故かマネさんに私の能力が移ってしまったか、古い能力が活性化されたみたいなんです。お陰でミノルさんの回復が早かったですけど」


 マネさんが池に汗を流しに行った時に教えてくれた。二人には感謝し切れない程世話になっている。


 三人で盛り上がっているうちに午前0時を越えた。


「そろそろ遊びに行きます?」


「行こう」



 矢入れにマジックバッグを付けて弓を持ってワープした。前回と違い守る対象が無いので楽だ。

 三人で色々な属性の魔法をどんどん放っていく。魔石の効果が高く魔物が気持ちが良い程簡単に消滅する。

 マネさんがゴーレムの周りを舞うように飛んで、氷魔法でボロボロにしている。筋肉の動きと胸の揺れが美しい。

 テリッチさんは低い位置で回転しながら三体のゴーレムをまとめて攻撃している。目が回らないかと心配してしまった。

 俺は雑魚モンスターを片付けて、お姉さん達の見物をしていた。戦いでは無かった。完全に遊びだ。

 二人の楽しんでいるのが手に取るように分かる。


 10分くらいで全滅させてしまった。


「もう終わりか」


 マネさんがガッカリしたように言った。


「10層への移動石を持って来たので、ボス戦やりましょう!」


「良いな!」


 三人で魔石を拾いマジックバッグに入れてゆく。それが終わると、魔法陣と宝箱が出て来た。宝箱をマジックバッグにしまって透明になって魔法陣を使う。これでフロアーがクリアになって次の人が使える筈だ。


 魔法陣を出て、すぐに10層に移動し、周りを確認して透明化を解除した。

 前に進むと10層の扉が開き、中に入ると扉が閉まった。奥から身長5メートルくらいの人型で頭が牛と羊を混ぜ合わせたようなモンスターが出て来た。


「パオォーン」


 鳴き声を上げてファイヤーボールの巨大なのを口から撃ち出した。

 マネさんとテリッチさんが酔った勢いで笑いながら飛び上がって氷弾を連射している。


「ミノル、手を出すな」


 マネさんが言った。

 2人は大の字になったり背面飛びをしたりで、好き放題に攻撃している。モンスターは相当強いのだが、時間を掛けて攻撃し殺さないようにしている。交互にキスしに来てくれる程余裕で遊んでいるのが見ていて楽しい。

 この世界には娯楽が無いので、遊びを見つけた子供のようだ。

 遊ばれ疲れたか、モンスターが突然ハオォーンと叫んで消滅してしまった。

 ご褒美の剣が部屋の中心に浮いている。


「もう少し楽しみたかったな」


 透明化して剣を受け取り、扉が開いたのを確認してから洞窟に帰った。


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