第6章13話 初ダンジョン
12月になってしまった。
11月は色々な事が起き過ぎ、ホフマン領は大騒ぎだったが徐々に正常に戻りつつある。
リヒトブルグの城壁が魔法利用のお陰で早く出来上がり、5万人都市体制が出来上がり、今は主要な建設に掛かっている。
魔法が使えるのに不人気な魔族やダークエルフの女の娘を主に雇用した為に、工期の短縮と共に安価に出来るようになった。
普通の職人さんは、少し高級な建物などで出払っている状態なので住み分けが出来ている。
城壁と並行して建設していた懸案のベッドハウスは男用600床、女用800床となり需要に何とか追いついて来た。
現在は安価なワンルームマンションの建築を優先している。
ホフマブルグの城壁も、もう少しで出来上がる。最大で10万人都市を目指している。
リリアドルフの城壁拡大と再開発、ヘフナドルフの城壁化なども計画に入っているので当分雇用の心配は無いだろう。
ダンジョンは大人気で、入場税の収入だけでも馬鹿にならなくなっている。独立ギルドとなった冒険者ギルドは、流入する冒険者達で溢れている。王都やその近郊の大貴族領からの転入者が多いらしく、華やかなファッションが楽しめる。
お母さんの悪影響は、すっかり無くなったと言って良い状態となり皆で仲良くやっている。
まだ少し引きずっているのはアデルさんだけだ。本人はもう大丈夫と言っているが、連絡不可能やすっぽかしを時々するので副司令の仕事はマネさんにばかり来る。
皆さん俺に遠慮して教えてくれ無いが、メダル持ちの中でもアデルさんの評価が落ちているらしい。山の精霊様にアデルさんが、お説教されている時始めて知った。
俺は身の回りの物を全て部屋から出されてしまったので、温泉の池にマネさんとテリッチさんの3人で住んでいる。とても安心感が有るし、3人での会話が楽しい。
という訳で朝のお詣りを3人で終わらせ、食堂で朝ご飯を食べながら後のスケジュールを話している。
「地脈で出来た池を見に行かないと駄目ですよね」
「先週で湖になった方が川に流れる水と、湧き水が均衡したようだから緊急性は無いがな」
マネさんに念話が入ったようだ。
「ミノル、ダンジョンで緊急事態だ」
我々は服を着て用意を調える。マネさんはローブ1枚羽織って剣帯を装備するだけの軽装だ。
ダンジョンの入口にワープした。ここに来たのは勇者を倒した日、以来だ。
「15人くらいの冒険者が魔物に囲まれたくらいで司令を呼ぶのか!」
マネさんが警備隊員に怒っている。
「いえミア様が救助に行って、現時点で25分。セリ様が15分の時点で行って帰って来ません!」
「早く、それを言え! 我々を其処に連れて行ける者は居るのか?」
違う警備隊員が走って来た。
「セリ様が、司令を迎えに戻るとの事です!」
「何が起きました?」
「5層でトラップに掛かり、モンスターハウスに飛ばされたようです」
セリちゃんが来た。
「司令済みません」
「構わないよ。全員透明化。着いたら各自攻撃」
モンスターハウスに着くと相当広い部屋で、天井の高さも10メートル程あった。部屋の中心当たりでミアさんがバリアーを張って1人で攻撃している。
『バリアーに入らずにザコから消して行こう』
俺が見た事が無い魔物で溢れている。バリアーの周りを雷系や氷系など、皆で片端から倒して行く。魔物がバリアーに集まるので、効率が良い。
ゴーレムやオーガがかなり残っている。
『外から囲んで全員で雷神3連射、氷槍3連射』
オーガや猿の化け物みたいのが倒れて行く。全員で同じ事を繰り返して行くと、ゴーレムの10体以上がバリアーから離れ我々を探し始めた。
『全員で氷弾連射、同じ場所に留まらないように』
氷弾の連射がゴーレムにも効いている。だんだんゴーレム以外の魔物が居なくなって来た。
俺は久し振りに中剣を抜きゴーレムを切ると、ゴーレムが崩れ落ちた。やはり、この手の魔物には物理的攻撃が良いらしい。
余裕が出来て来たので、弓を出して矢を射って見ると、矢2本くらいでゴーレムは崩れ落ちた。マネさんは中剣で戦っているようなので、テリッチさんとセリちゃんの周りを矢で倒し始めた。
俺は透明化を解除して矢を射るようにすると、ゴーレムは俺に集まり出した。こうしないと仲間に矢が当たりそうで戦い辛い。
マネさんも姿を表し中剣で戦っている。マネさんのローブ姿がカッコ良い。ヒラリと舞うように剣を振る。大きい動きの時にお尻まで見えるのがたまらない。
テリッチさんとセリちゃんが、透明化のまま氷弾を撃ち俺とマネさんを援護している。
マネさん見物をしている訳にも行かないので、矢の2連射を6回くらい撃ったらゴーレムが全滅した。
「全滅させたようだな」
「マネさんのローブ姿がカッコ良かったです!」
「そ、そうか? これからはローブだけで戦うか。たが、慣れて無いのか動き辛い」
「ミノルさんマネさんの戦いでは無く、違う場所を見てましたよ」
テリッチさんにバレていた。
「ミノルが喜ぶなら構わん」
「今度、3人だけで此処に来て裸族戦でもしましょうか」
「それは面白そうだな。やろう!」
テリッチさんまで遊びモードで、マネさんはやる気満々だ。
部屋の隅で馬鹿話しをしていると、セリちゃんとミアさんが冒険者達を引き連れて来た。
「司令、お手数掛けて済みません」
セリちゃんが魔法帽子を手に持って、いつものペコリをした。ミアさんと冒険者達も、セリちゃんに合わせてペコリをしている。
冒険者達は全員女の娘だった。半分以上は見覚えが有る。冒険者ギルドで流入して来た娘達と混成して、数頼みのダンジョン稼ぎを狙って来たがモンスターハウスに飛ばされたらしい。
「何回も来ていて、こんなの始めてです。こんな低層でモンスターハウスなんて聞いて無いですし、誰も飛ばされた事なかったです」
リーダーの娘がションボリしている。
「滅多に出現しないんだ」
「はい、7層辺りからと聞いてます」
「モンスターハウスは各層に別々に有るのか?」
マネさんが興味深々だ。
「そうです。此処は5層の専用モンスターハウスだと思います。私達レベルだとトラップが移動するとか時折動くと怖いです」
「ワープで逃げれないの」
「坊ちゃん達くらいですよ、ここにワープで入れるの。私達は各層の移動石で動く程度です。今回はトラップに掛からなかった仲間が助けを呼びに行ったので、何とか助かりました」
「魔石とか、ご褒美を集めて。皆にあげるよ」
女の娘達が大歓声を上げて拾い集め出した。セリちゃんとミアさんを報告に地上に戻した。
「誰もワープで入れないなら、ダンジョンの閉鎖時間に来れば好きに使えるな」
「相手が結構強いから、ミノルさんは全装備必要ですよ」
「僕は見れれば何も言いません」
「何かの時用にミノルのバッグにでも、ローブを入れて置いて貰えば良いな」
「楽しみですね」
マネさんもテリッチさんも自分の楽しみに走っている。
冒険者達がご褒美を集め終わると、モンスターハウスの真ん中に魔法陣が現れたので地上に戻った。
地上で警備隊の人に聞くと午前0時で閉鎖。10層までは迷路なので泊まり込みも、迷路に入る事も禁止だそうだ。
「夜中に来ましょう!」
テリッチさんが嬉しそうに言った。皆がダンジョン好きになってしまった。




