第6章06話 裸族の池
アデルさんの体調も戻って、普通に朝に起きれるようになったので週に二日くらいは夜も俺と一緒に過ごせるようになった。だんだん普通の生活に戻って来ている。
それ以外の日はマネさん、テリッチさんと温泉の池で共同生活している。俺の治療以来、羞恥心が消えてしまってマネさんとテリッチさんに一緒に勉強会までして貰っている。その方が一人に負担が掛からなくて楽らしい。
今日は久し振りに仕事をしないで、妖精の池で4人でゴロゴロしている。
ここは一年中暖かいらしく、南国のリゾートに居るようだ。アデルさんも体調が戻ってからは、ここに来ている。精神的に楽なようだ。
池の水は冷たく無いし、治療効果はそれ程高く無いが浄化能力は温泉の池と同じくらい有るので過ごし易い。
解放感と女性三人の力が合わさって、より強い力となるみたいだ。
マネさんとアデルさんが持ち込んだエールとソーセージで朝から飲んでいる。
俺はテリッチさんに錬金術を教えて貰っている。勉強会では無く本当に錬金術の勉強だ。錬金術の本を教科書に基礎的な実験やポーション作り、魔法陣の書き方なんかを暫く前から教えて貰っている。
本を読んで実験して理解したものから、テリッチさんが俺の頭に焼き付けるように記憶させてくれた。
頭が疲れるとテリッチさんがキスをして癒やしてくれる。
「ミノル、それが目的で錬金術を習っておるだろう」
アデルさんがニヤニヤと俺をからかって来た。
図星に近いが、決してキスだけが目的では無い。
「テリッチ、ミノルが望んでも胸は吸わせるなよ。また寝てしまうからな」
マネさんさんも多少酔っ払いモードだ。
「大丈夫ですよ。ミノルさんは、とても優秀な生徒ですから」
テリッチさんだけは何時も俺を庇ってくれる。
「ミノルさんも疲れたでしょう。私達も少し休んでエールでも頂きましょうか」
俺とテリッチさんがエール仲間に入ると、アデルさんがご機嫌になった。朝から本と実験で忙しくしていたので、寂しかったようだ。
最近は暇な時は出来るだけ錬金術の本を読むようにしているので、テリッチさんの側に居る事が多い。分からない事は考えているより聞いた方が早いので、どうしても優しい師匠のテリッチさんの近くで本を読んでしまう。
「ミノルは錬金術師になるのか?」
マネさんが不思議そうな顔をしている。
「何が書いてあるか読んでいるだけですよ」
「結構熱心に勉強しているように見えるぞ」
「兄貴達が子供の時から変な魔法を作ったり、魔道具作成してバイトしていたのでナンカ身近なんです」
「ノア様とフェン様はアマチュアでは結構有名なんですよ」
「儂も少し前に聞いて驚いた。魔道具はどんな物を作っているのだ?」
「……少しアチラの趣味の殿方が使う物が多いですね。やはり利益が大きいですから」
「ムフフな物ですか……」
「ノア様とフェン様は女性用まで作りますから。当然、匿名で作成してますよ」
「テリッチは作らんのか」
「私は、そちら向けのポーション作りですね。それで200年生き延びて来たようなものです」
「兄貴達は小遣い稼ぎでやってたのかな?」
「材料費稼ぎですよ。錬金術はお金が掛かるのです。特にノア様やフェン様のように独学の錬金術師は、全て自分で試行錯誤ですから」
兄貴達も苦労していたんだと初めて知った。
「ミノルの作った複製魔法は便利だな」
「そんな物が有るのか? 私にもくれ」
お母さんの幽閉の時に配ったので、アデルさんに渡すのを忘れていた。
「テリッチさんが改造してくれているのが、遥かに高性能ですよ」
「まだ改造中ですけど、配っておきますね。ローブくらいまでは複製出来るようになりました」
アデルさんがマネさんのローブやサンダルを複製している。
「透明リングの新型を作成中ですので、待っていて下さいね」
「僕もあれの改造案が有るんですよ」
「えーっ、教えて下さいよ」
「本に書いてあったんですよ。ここ。これ利用して、リング付けて透明化と透明化解除を念じればイケるんじゃないかと…」
テリッチさんが真剣な顔で読んでいる。テリッチさんが裸の時のマジな顔も優しい顔も凄く素敵だ。服を着ている時は凄く少ないけど。
「ミノルさん、これ最高のアイデアですよ。これで行きます!」
師匠に誉められてしまった。
「テリッチは透明リングの改造に熱心だな」
「だって、服を着ないで薬草を採りに行けるんですよ。子供の時からボロのローブ1着で生きてたんで、裸が当たり前なんですね。ローブが破けると殴られますし」
「私も長時間服を着ていると、とても疲れるな。休養で1ヶ月部屋で裸で籠もっていたので、服が苦痛になっている」
確かに最近アデルさんの裸族スタイルが多い気がすると思ったら、そういう理由が有ったんだ。
テリッチさんが一生懸命に魔法陣を書いている。
「アデルも戦わない時はローブにサンダルが良いぞ。ポケットにダカーでも入れておけば剣帯も要らん。楽で止められん」
アデルさんが真剣な顔でマネさんの話しを聞いていた。




