第6章05話 街の拡張
今日は朝からマネさんとテリッチさんは館でお母さんの治療で出掛けて行った。
俺はアデルさんの様子を見に宿にワープする。アデルさんは寝汗も無くなって行儀良く寝ていた。寝顔を暫く眺めているとアデルさんが目を覚ました。
「ミノル、見に来てくれていたのか。嬉しいぞ」
「もう1度寝れば?」
「いや、起きる。ミノルより寝坊では、まだ駄目だな」
アデルさんは起き上がって風呂に行った。座って錬金術の本を読んでいると、アデルさんが風呂から上がって来た。
「ミノル、お詣りに行くか?」
「行きましょう」
アデルさんと精霊様詣りを終わらせ宿に帰った。
「今日からコーヒー出せますよ」
パトリックさんに頼んでおいたのが来たようだ。魔人の国に以前輸入した本物のコーヒーの木が存在していたらしい。コーヒーとオムレツを頼んだ。
「このコーヒーはコーヒーモドキより、ずっと美味いな」
アデルさんが喜んで飲んでいる。
「さすがに12月のリリアドルフのテラスは寒いので、パトリックさんに頼んでおいたら本物を仕入れてくれたんですよ」
「リリアドルフか、また行こう」
オムレツとパンが来た。ここのオムレツは日本で食べるのと変わりが無くなって好きだ。
「ミノルと二人の朝食は久し振りだ」
「そうですね。暫く前には当たり前だったんですが」
「済まんな、私のせいで」
「何を言っているんです。ところで僕は食後パトリックさんと会いますが、アデルさんは?」
「一緒に行くぞ、邪魔にならなければ」
「全然問題無いです。以前頼んでおいたホフマブルグとリヒトブルグの改造プランを聞くだけです」
「改造するのか?」
「だってホフマブルグの人口は4万くらいで溢れる寸前ですよ。リヒトブルグも軽く1万5000いってしまってます」
「凄く増えているとは聞いていたが、凄いな」
「スラムが広がる前に、どうにかしませんと」
「ミノルは色々な事を考えておるな」
食事が終わって、アデルさんとマイヤー商会に行った。ハリーさんとパトリックさんが待っていた。
「お騒がせして申し訳有りません」
「とんでもない、ミノルさんこそお忙しいところを来て頂いて」
ハリーさんは元気そうだ。
「今日、来て頂いたのは模型を使って説明したいと思いまして」
机の上にホフマブルグとリヒトブルグの改造プランの模型が乗っている。都市計画は専門家を雇って作らせている。
「凄いですね。パトリックさんが作ったのですか?」
「まさか。王都から箱庭職人が来ていると聞いて作らせたのです」
「上手なものですね」
「職人がどんどん流入しているので、何でも今までより早くて安いんです」
「尚更、住む場所と店舗用地を確保しませんと。また、出て行かれると損失ですから」
ホフマブルグとリヒトブルグ、どちらも似たような基本計画だ。外壁を広げ、街の規模を1.5倍くらいにする。中央通りと少し離れてる通りを再開発して商業区域にし壁の近くに居住区域を作り、新たな集合住宅を造る。後は戸建て住宅地域の造成辺りだ。
「基本的には問題無いと思います。でも先月に街開きしたリヒトブルグが、既に1万5000人を超えているらしいので、3万人の街を造っても街に余裕が無いと思いますよ」
「そうですよね。それに職人が多いから工房を造れる場所が不足ですよね」
パトリックさんも困った顔をしている。
「3万人が余裕持つて住むには、最低でも4万人が住める街にしないと駄目だと思います。ベッドハウスだって600ベッドが、毎日満杯状態らしいですから増やさないとマズいですね。ベッドハウス卒業用のワンルームを安く提供するとか考えないと」
「安いワンルームは良いですね。日本に留学していた時に見て感心しましたよ。狭くてもプライバシーが持てますよね」
「リヒトブルグは来年の夏までに、壁の高さを下げるとかしないと暑くて死人が出ますよ」
「そうですよね。ミノルさんとアデルさんでアイラス教団の片付けに苦労してましたよね」
「あれは酷いものだったぞ。暑さと水不足で死んだ者の方が多いと思うぞ」
「アデルさんの言う通りです。水も人口に適した分が確保出来るか見直して、余裕を持たせないとマズいですよ」
「話をまとめると、リヒトブルグから改修するしか無いですね。一緒に始めるには人手不足なので無理です。もっと広く街を囲んで壁を作りながら、都市計画を煮付めるのでどうです?」
ハリーさんがまとめ始めた。
「ベッドハウスの倍増とワンルームの検討、工房区域の拡張で壁を最優先で工事開始ですか」
パトリックさんが腕組みして悩んでいる。
「だが、ミノルが決定して良いのか」
アデルさんが心配そうだ。
「だって、壁は街の防衛だしベッドハウスは警備隊の経営です。道の拡張は防災で移住と営業許可は警備隊。全部司令権限なんです。
叔父さんと兄さん達は案も出して来ないし……何か言うと僕の好きにしろナンですよ」
「司令は何でも出来るのだな」
アデルさんが変な所で感心していた。
結局、壁をもっと広げたモデルを作って、今話したプランを叔父さんと兄さん達にハリーさんとパトリックさんが説明に行く事になった。
「パトリックさん、カニ屋さんはまだ?」
「もう開店しました、妖精の樽の近くです。お昼に如何です?」
アデルさんが大喜びだった。




