第5章21話 療養中です
浮いて漂いながら、呼吸が浅く鼓動がゆっくりとして身体から何かが流れ出して心地良い。意識が更に遠くなって行く時、女の人の声が俺を呼んでいる。マネさんかな?
口から快感と空気が流れ込み、鼓動が徐々に強くなって来た。気持ち良いのに変わりは無い。口から快感が流れ込み続ける。
快感が溜まって身体がはじけ、流れ出る物が増えたらより意識が遠くなった。フワフワと心地良い。ただフワフワが続いて行った。
目を開けると形の良い胸が有る。この胸は綺麗な嘘つきの女の人だ。吸わなくては、力を貰わなくては。必死に胸を吸うと力が流れ込んで来る。暫く吸い続けると、また気が遠くなって来る。またフワフワの世界に戻れた。フワフワしていよう。
急に目が覚めた。起こされた訳でも無く起きた。起きないと、大好きな人達に会え無いから。
「起きました?」
「長く寝てました?」
「今、昼の11時くらいですから半日以上寝てましたね」
「オークは?」
「あれきりです」
「じゃ、また寝ようかな」
「寝るのは後にして御飯を食べないと、体力が無くなりますよ」
「そうですね、テリッチさんも見ていたいし」
起こして貰い畔に座り、お湯を手で掬って口を濯ぐとサッパリとした。不思議な湯だ。
頭を拭いて貰って土手に移動して座る。テリッチさんが隣に肌が触れるように座ってくれた。
「忙しいのが終わったなら、暫く此処に居ましょうね」
「そのつもりです。もう壊れたく無いです」
マネさんが帰って来た。お弁当と樽を抱えている。ローブをサッと脱いで俺の隣に座った。
「お帰りなさい。マネさんローブが似合いますね」
「これか、テリッチの古いのを貰ったのだ。簡単に着たり脱いだり便利だぞ」
「パトリックさんにテリッチさんと同じの貰えば良いのに。美人が引き立ちますよ」
「そうか? ミノルが言うならそうするか」
「ついでに魔法帽子とワンドか杖も有ると便利ですよ」
「セリちゃんがミノルに杖貰ってから強くなったな」
「私は杖が嫌いなのでワンドが欲しいです」
「杖が嫌いですか?」
「邪魔なのと師匠が杖が好きでしたので」
「ワンドは便利ですよ、それなりに力をくれるし。僕の使ってみます?」
服からワンドとマジックバッグを取って来た。
「マネさんマジックバッグに弁当と樽を入れると楽ですよ。テリッチさん、これが僕のワンド」
マネさんはマジックバッグの中に弁当や樽を入れて、楽だと喜んでいる。テリッチさんが羨ましそうに見ているので、テリッチさんにもあげた。
「嬉しいです!薬草集めが楽になります。ローブのポケットに入れるのが嫌だったので。ポケット、仕切り無いので」
「このワンドは力をくれる実感が有るな。ミノルがくれたネックレスみたいだ」
「そう言えば、あのネックレスは?」
「メダルとぶつかるのだ、残念だが」
「見せて貰えます? 私が何かに改造出来るかもしれません」
行ったり来たり馬鹿らしいので、全員で服の有る所に移動した。
テリッチさんがネックレスを見ている。
「凄い力の石です。枠は飾りですね。剣帯のバックルとか、何でも出来ますよ」
「テリッチに任せる。ミノルの世話が終わってからで良いぞ」
「此処に道具運んでやろうかな」
「見たいです。そうしましょうよ」
御飯を食べながら色々な話しをしているのが楽しい。
テリッチさんもワンドが気に入ったようなので、療養中の俺を守るのに必要とパトリックさんに念話すると、ローブと魔法帽子なども含めすぐ取りに来るようにという事になった。
「私はポーションをパトリックさんに届けるので、貰って来ます」
テリッチさんはローブをかぶるとワープして行った。
「昨日は何体だったんです」
「ああ、昨日か。オークが6000、トロルが25だったかな。ミノル、気にするな」
「聞くだけなら問題無いですよ」
「アデルには半月は療養と伝えておいた。心臓が2度止まりかかったこともな。宿で待っていると伝えて欲しいと言ってたぞ」
「良かった。出て行くなんて言わないかと心配してたんですよ」
「大丈夫だ。言い含めておいた」
「僕やっぱり、また心臓止まりかかったんですか?」
「ああ。前より酷かった。テリッチが30分以上人工呼吸して戻った」
「スミマセン、また汚い思いさせて」
「この池で何しても10秒も掛から無いで消滅する、気にするな。それより、何でも謝る悪い癖を止めろ」
「ごめんなさい」
「馬鹿」
二人で笑ってしまった。
テリッチさんが大量に持って帰って来た。
「マネさんがローブ10着、魔法帽子が1つ、ショートブーツが2足、ワンド1本ですね。私が魔法帽子が1つとワンドが1本。ミノルさんにマジックバッグの追加10枚。お土産に海老フライサンド6個とエール2樽です」
二人にマジックバッグを三枚ずつあげたら、とても喜ばれた。マネさんも女の人だ。黒、グレー、紫、3色のローブを順番に着ている。
「やはり僕はマネさんには黒がステキと思います」
「私もそう思い、勝手に黒を4着にして来ました。マネさんはローブの方がより美人に見えますね。羨ましいです」
マネさんが照れている。とても嬉しそうだ。魔法帽子も良く似合う。
「裸族にはローブが楽だな」
「私は、だからローブ派なんですよ。ポンと被れば終わりですから」
「ミノルのお陰で、また高価な物を沢山貰ってしまった。感謝するぞ」
マネさんのファッションショーを見ながら、海老フライサンドを食べた。




