第5章20話 ホフマブルグ防衛3
幸福感一杯の中で漂っていると呼ばれた。出て行くか悩んでいると悩むのが嫌で目を開く。前に胸があるので吸うと力が湧いて来る気がする。
「ミノル、起きろ。儂の胸を吸っても効果は無いぞ」
綺麗な人が嘘を言っている。力が湧いて来るじゃないか。抱きついて胸を守らないと。
「力があるな。ミノル、目を覚ませ。もう6時だ」
目が覚めた。胸から口を離し上を見るとマネさんが笑って俺を見ている。
「マネさん、また失礼な事をしたみたいですね。スミマセンでした」
「ミノル、儂に謝るのは止めろ。普段なら1日中吸っていても良いぞ」
マネさんが起き上がらせてくれた。
「夕方の6時ですよ。用意して、軽く食事を取りましょう」
テリッチさんが俺を畔に連れて行き、頭と身体を拭いてくれ、ポーションを渡してくれた。ポーションを飲んでいるとマネさんが、箱と水筒を持ってきた。
サンドイッチに格上げになった。お茶とサンドイッチが美味しい。
「今晩で終われば、起こさないで済むのですが」
「儂は次で終わると思う。敵も底がつくだろう。今朝は4000のオーク12体のトロルだったようだ」
「終わって欲しいです。もう飽きました」
三人で笑って、楽しく食事を終えた。
口を濯いで歯を磨く。服を着て装備を整え準備終了。
「アデルさんは?」
「奥様と一緒に、御屋形様に絞られておる」
「叔父さんが怒ったんですか。それは怖いですね」
「2時間程前に、やっと連絡がついた。寝てたようだ。館に行けば分かると言っておいた」
「先程セリちゃんから、御屋形様が怒鳴っていると連絡が入ったのですよ」
「セリちゃんも怒ってましたからね」
我々は正門前広場にワープした。今朝の仲間が揃っていた。
話題のセリちゃんが走って来た。
「司令、お身体は?」
「大丈夫。それよりセリちゃん強くなったね」
「司令に貰った、この杖が凄いんです!」
「セリちゃんの努力が凄いんだよ」
「フェンが凄く心配しているよ」
サキバさんだ。
「心配しないでパーティーの後片付けでも頑張れと伝えて下さい」
皆で笑っていると、ドロン騎士団隊長・ジャン警備隊隊長・コロン騎士団情報隊長・トレル警備隊情報隊長勢揃いで現れた。
「司令、お身体は?」
ドロン隊長が聞いて来た。
「もう大丈夫です。もう一働き有りますかね?」
「確実に有るでしょうな。禁断の森の魔素が晴れ、魔獸の森もオークで一杯ですわ」
「ヤレヤレですね。飽きて来ました」
「取りあえず朝の作戦のままで良いですかな?」
「はい、基本的に同じで」
アデルさんと、お母さんが現れた。俺がニコニコと二人の方に歩いて行くと、太鼓の音が聞こえて来た。
アデルさん程タイミングの悪い人は居ないなと思う。
「全員念話チャンネルオープン」
既にセリちゃん先頭に飛んでいるのが三人居る。
俺が飛ぶとアデルさんとお母さんも飛び上がった。お母さんが参加する気だ。雪でも降らないと良いのだが。
魔獸の森と禁断の森からオークが走り出てくる。
『各自攻撃しながら横隊列を形成。森と壁の中間で前線を形成します。壁の弓部隊と魔法を使える者は前線を抜けた敵を叩いて下さい』
平原を明るくしてから雷神を連射して隊列の中央にマネさんとテリッチさんで入り込む。他の人達は、それぞれ横隊列を攻撃しながら伸ばして行く。
慣れていないアデルさんとお母さんが入った所から、前線が崩れて突破されている?
『一部突破された。3分の1ラインまで、一気に後退。前線を再形成』
全員で攻撃を続けながら一気に後退して、前のオークを叩いている。
お母さんとアデルさんがまた遅れた。
これ以上下げたく無いので、そのまま攻撃を続行。徐々に押し上げる形になって来た。トロルが見える。俺は攻撃範囲内なので爆発魔法で倒した。マネさんも森から出たトロルを爆発魔法で倒し雷神を連射している。
念話チャンネルに『ウォー』みたいなセリちゃんの気合いの叫びが入った。爆発魔法の連射だ。
トロルを2体一気に片付けた。
攻撃範囲なのでお母さんの前のオークを手伝いながら、自分の前を叩いていく。大分片付けたので前線を上げる事にした。
『全員10メートル前進!』
皆で徐々に押し上げる。敵が密集してくるので効率が上がる。トロルが10体以上出て来た。待ってましたとばかりに、爆発魔法で倒されて行く。
森から続々とオークが出て来た。密集状態が大きくなって前線を抜けるオークが増えて来た時、正門が開き騎士団騎馬隊が飛び出して来た。
先頭に白馬に羽飾りの兜で長槍。叔父さんだ! なんて懐かしい姿だ。
『叔父さん、出て来たらダメですよー』
『ウルサイ! 後ろは任せろ!』
念話チャンネルが笑いで包まれた。
全員の気合いが変わった。雷神の連射が激しくなった。凄い勢いで敵を倒して行く。敵もオークメイジを大量に投入して来た。ファイアーボールがまとまって飛んで来る。
『全員バリアーを張り、加速魔法利用。オークメイジから片付けて下さい』
オークメイジに集中攻撃を始めた。雷神で3発以上で倒れる。セリちゃんがオークメイジに爆発魔法を使い始めた。効果的だった。
『爆発魔法までにして下さい。爆発魔法でも街道上での使用を禁止します』
また念話チャンネルが笑いに包まれた。
爆発魔法の連続攻撃にファイアーボール攻撃が減って来た。オークメイジが集まっている所に大型のオークが見えた。
オークキングだ!
俺は爆発魔法をオークキングに連射すると、気が付いたマネさんも爆発魔法を連射し出した。テリッチさんも爆発魔法を撃ち始めた所でオークキングが倒れた。7発くらい必要だった。
『オークキングを倒した! 勝ち戦です! 殲滅しましょう!』
後方から大歓声が聞こえた。
雷神の連続攻撃にオークがどんどん減っていく。
『森に逃がさないで! 敵の退路を断って!』
皆が森側と手前の交互に攻撃を始めた。オークの統制が無くなり退路も切られたので、ただの標的になっている。
平原に逃げたオークは叔父さん達に片付けられて行く。騎馬隊以外の騎士団とノア兄さんも参加し剣で戦っている、総動員体制だ。
戦闘が終わったのは40分くらい後だった。
俺は死体を見たく無かったが、叔父さんの所に着陸した。兜を脱いで叔父さんが俺に向かって来た。凄いニコニコ顔だ。俺は叔父さんに思わず抱きついてしまった。
「叔父さん勝ちましたよ!」
「ミノル、偉かったぞ!」
叔父さんから離れた俺と握手をした。大歓声と騎士団の楯を叩く音が響き渡り叔父さんが皆に手を上げ歓声に応えている。フェン兄さんも防具を付け弓を持って壁に居た。戦いに参加してくれていたんだ。
マネさんとテリッチさんが俺を支えてくれた。
「チャンスを見てワープして下さい」
「分かっている。任せろ」
叔父さんが手を振り歓声に応えながら移動して、俺達から離れた時ワープした。
寄って来ていたアデルさんが、驚いたような顔をしたのが微かに見えたような気がした時には意識が無くなっていた。




