第5章19話 ホフマブルグ防衛2
白い液体のような物の中でフワフワ漂い、身体から何か悪い物が流れ出て行く。口と肌から吸収している物が心地良く、自分が快感の中で作り直されているような幸福感に包まれている。このままが良いなと感じていると呼ばれた。
目を開くと綺麗な女の人が俺を抱えている。
「ミノル、起こして済まんな」
そうだマネさんだ。
「マネさん、マネさん、大好きですよ」
マネさんに抱きついて肌にスリスリすると心地良く、また意識が消えて行く。
「ミノル、しっかりしろ。ポーションの時間だ」
俺の意識が戻った。
「マネさん。スミマセン。失礼な事をしました」
「何を言っておる。儂は嬉しいぞ。ホレもっと甘えろ、愛しておるぞ」
マネさんが笑って俺を畔に座らせてくれた。テリッチさんがポーションを渡してくれたので飲んでいると、意識が完全に戻った。
「朝の8時です。念の為一度起きておきましょうね」
テリッチさんが俺の頭をタオルで拭いてくれた。立ち上がってみるとシャキッとしている。
「正門前に顔を出しておきましょう。皆さんも安心するでしょうから」
「無理はするでないぞ」
「大丈夫です。お陰様で相当良くなりました」
用意をして正門前広場にワープすると、昨夜の顔ぶれが揃っていた。
「ミノルさん大丈夫?」
近くに居たサキバさんとトメラさんが聞いて来た。セリちゃんとミアさんも寄って来た。
「心配掛けました。大丈夫です」
ドロン騎士団隊長、ジャン警備隊隊長、コロン騎士団情報隊長、トレル警備隊情報隊長、全員揃って来た。
「司令、心配しましたぞ。無理せぬように」
「大丈夫ですって、動きは?」
「まだ有りませが、魔獸の森には大量のオークで溢れているみたいですな」
「昨夜はどのくらいの数でした?」
「オークが3000、トロルが10体ですな」
「凄い数だったんですね」
太鼓を打ち鳴らす音が聞こえて来た。
「皆さん、取りあえず昨夜と同じ手順で行きます! 念話をオープンに」
「ミノル、アデルがまた来ておらん。どうする?」
「念話で。呼びに行ってる余裕が無いです」
「そうだな」
既に雷鳴が聞こえて稲妻が見える。
「テリッチさん、また途中で栄養補給をお願いします」
テリッチさんが頷いた。三人で飛び上がるとオークが続々と禁断の森と魔獸の森から出て来ている。サキバさんとトメラさんセリちゃんとミアさんが派手に雷神を撃ち続けていた。
我々も近くに寄って来ているオークから雷神を撃ち倒して行く。
『効率が悪いので僕のラインまで後退。横隊列で引き付けてから倒します。バリアーを張って加速魔法で回避。ラインを突破したオークは壁から弓と魔法で』
空で横7列で待機して引き付ける。オークからファイアーボールが撃たれ始めた。皆適当に避けている。
オークがあっという間に押し寄せて来た。
『攻撃開始!』
密集状態のオークの群れに雷神が片端から撃ち込まれ、バタバタ倒れて行く。雷鳴が正門前の平原に鳴り響き稲妻の白い光が帯になってオークを襲う。
徐々に我々が押しているが列を突破したオークが壁に襲いかかっている。
弓部隊が止めきれない状態になって来た時正門が開き、騎士団騎馬隊が長槍装備で飛び出して来た。ドロン騎士団隊長を先頭にオークをなぎ倒して行く。
「司令に負けるな!」
ドロン騎士団隊長の声が、かすかに聞こえた。後ろを任せ、我々は前線を押し上げる。
出来るだけ前線を維持しながら密集状態の場所に雷神を打ち込んで行く。数を削らないと終わらない。
禁断の森の端にトロルが見える。魔素が薄くなった? 射程圏に入っていたのでトロルに氷の槍を連写した。合間にオークを雷神攻撃し、また氷の槍を連写する。トロルは森から出た所で倒れた。
次はマネさんが森から出たトロルを叩き始めた。俺はマネさんの分もオークを叩いた。
誰かが爆発魔法でトロルを叩いた。身体半分吹き飛ばした。セリちゃんだった。キレたらしい。
なかなか倒れないトロルにウンザリしてたらしく、サキバさんも爆発魔法で吹き飛ばした。
「ミノルさん上向いて」
テリッチさんの声が耳元で囁く。透明テリッチさんがキスしてくれた。
「助かります」
少し長めのキスで、心が落ち着いて力が湧いて来た。俺も魔素の森に見えるトロルを爆発魔法で吹き飛ばすと、凄い快感が全身に走る。雷神連射のスピードが速くなったような気にさせる。
騎士団騎馬隊が漏れたオークを片端から倒している。弓部隊も確実に敵を弱体化させて騎馬隊の仕事を楽にしている。
『ゆっくり10メートル前進!』
横隊列を維持して雷神攻撃をしながら、前進を始めた。オーク達は森から供給されるオークに押される形となり、密集度が上がり叩き易くなった。
俺は攻撃する度に身体を走る快感を求め撃ち続ける。
オーク達の統制が無くなって、禁断の森に逃げ込み始めた。
『勝ち戦だ! 追撃!』
オーク達の後ろ姿に、どんどん撃ち込む。禁断の森がうっすら透けて、枯れ木がかすかに見える。
『攻撃中止。皆さんご苦労様でした!』
騎士団騎馬隊が楯を打ち鳴らし始めた。勝利宣言だ。壁からも楯を鳴らす音と歓声が聞こえる。
俺達魔術師は正門前に居るドロン騎士団隊長の所に着陸した。隊長が馬から降りて来て、俺と握手した。
「司令、見事な采配でしたぞ。大勝利です」
「ドロン隊長さんこそ最高のタイミングで出てくれて助かったです。有り難う御座いました」
「禁断の森に結構逃げられました。オークリーダーも来なかったので後一回有……る可能性が有ります。禁断の森の魔……素が薄くなって、近くだと枯れ木……が見えだして来てます」
「司令、話さないで」
ドロン隊長が俺を制止している。
「聞いて下さい。枯れ木がこ……こから見えた時三回目の戦と思……います。また7時間後く……らいでしょうか? 分からないです。無いかも……しれないですが監視を……願います」
「司令。儂も完全に同意ですぞ。任せてくだされ。さ、お休みを。必ず連絡します。マネ、任せたぞ」
その時には、完全にマネさんとテリッチさんにぶら下がっていた。
俺は温泉の池に浮かされた時に意識が戻った。
「話さないで」
テリッチさんが俺を抱えて、マネさんがポーションを
口移ししてくれた。テリッチさんがまた長めのキスをしてくれてから、胸を吸わせてくれる。
頭が空になり解放感に支配されて、また身体から何かが流れ出て行く。気持ちが良い。漂っている。このままが良い。もう帰りたく無い。全てが白くなった。




