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第5章17話 夢の中


 目が覚めると明るくなっていた。マネさんに抱かれて不思議な湯に浸かっているようだ。


「起きたか。朝ご飯にしよう」


「何時です?」


「朝の9時だ」


 自分で起き上がり座った。


「またお粥ですけど」


 テリッチさんに渡されたお粥を一生懸命食べた。


「最低でも後12時間はまともに動けないですよ」


「僕の心臓は止まりました?」


「覚えておるのか? 止まってはいない。寸前だ。呼吸が極端に浅くなり筋肉の力が全部抜けて排泄を始めたので、テリッチが人口呼吸をして治した」


「排泄……恥ずかしいです。本当に申し訳無いです」


「恥ずかしがる必要は無い。これからはこの3人の前で何をしても良いと考えろ」


「何をしてもですか?」


「そうだ、考えられる事は全部したのだ。今更恥ずかしがってどうする」


「そうですか、軽蔑しません?」


「それなら儂もテリッチも過去を隠さず話しているでないか。ミノルだからだぞ。誰にでも話せる事では無い」


「何でも出来るようにしますけど、嫌な時や行動は注意して下さい」


「嫌な事など無い。何でも好きにしろ。但し裏切りは駄目だぞ」


「はい」


「メダル持ちでなければ死んでますよ。本当に恥や遠慮は止めて下さいね。少なくとも私には」


「儂も同じだ。心を開け」


「はい」


「ミノル、立てるか?」


 立ってみると立てた。少しフラフラする。


「少しフラフラします」


 テリッチさんがポーションをくれたので飲むと少し良くなった。


「30分くらいで完全に効いてきます。歯でも磨いて座っていて下さい」


「何も起きなかったら、ここに10日くらい居れば完全に治るのですが」


「僕、本当に10日くらい居ようかな。食料運んで貰えれば自分で何とかしますから」


「ほら、また遠慮を始めた。悪い癖ですよ。私が一緒に居ますよ」


「儂も居るぞ。暫く3人で暮らせば良い」


「アデルさんは?」


「あいつに10日ここは無理と思うぞ。勝手に出入りされると、ミノルがここに居る価値が無くなる。安静の為に居るのだからな」


「副司令も居なくなったら問題ですしね」


 マネさんとテリッチさんの言う事も正しい。アデルさんは、じっとしてられない人だ。


「コロン隊長とフェン様は念話を入れて来たので、説明しておいた。御屋形様が休養を優先しろとのお言葉だ」


「セリちゃんもミノルさんに宜しくって。出来る事が有れば何でも言って下さいとの事でした」


「アデルだけ連絡無しだ」


「アデルさんは祝賀会で頭がいっぱいなんですよ。朝に居なくても精霊様詣りとでも思っているんじゃないですか」


「そうかもしれないな、オメデタイ奴だ」


 ポーションが効いて来たようだ。フラフラしない。


「テリッチさんフラフラが無くなりました」


「良かった、少し歩いてみて下さい」


 問題無く歩ける、体力は問題無いようだ。


「体力では無く心の問題ですからね。ミノルさんは私達より罪悪感みたいのが強いので削れ易いみたいですね」


 俺もそうだと思う。ここより平和な場所で育って倫理観も違う。


「そろそろ、また寝て下さいね」


 畔で浮くとテリッチさんが俺を抱えて少し長めにキスしてくれると、また頭から雑念が消えてゆき快感が身体に広がって行く。


「胸を吸って」


 胸を吸うと口当たりの良い液体が流れ込み、また意識が無くなった。

 幸福感と心地良さが身体に広がって身体から悪い物が流れ出し、全てから解放されフワフワ浮いているだけの世界に居た。どんどん身体が軽くなり浄化されてゆく。

 ここから出たくないなと思ったら目が覚めた。


 夜空が見え、精霊魔法で領域は明るくなっている。目の前にテリッチさんの胸が見えるので、また吸おうと思ったら頭を上げられた。


「夜の10時くらいですので、起きて食事にしましょうね」


「マネさんは?」


「お弁当を取りに行ってます。すぐ帰って来ますよ」


「テリッチさんのキスにも何か秘密が有るんですか?」


「あれですか。あれもゴブリン村で付いちゃったんです。唾液に軽い快感と思考停止を与える力が有るみたいです」


「あの睡眠は癖になりますね。何も見ないで、ただ幸福感と心地良さですので」


「害は無いですが、今はこれに頼るしか無いですから。余計な事を考え無いのが大切なんですよ」


「攻撃する時にテリッチさんにキスして貰えれば、罪悪感が減りますかね?」


「有り得るかも知れないですね。実例が無いですから、皆さん私を避けるばかりですので」


「馬鹿な人達だ」


 二人で笑っているとマネさんが帰って来た。


「元気になったようだな。飯にしよう」


 野菜スープとパンに格上げになった。


「僕に遠慮しないでエールでも肉でも好きにやって下さい」


「良いのか?」


「僕に合わせていると病人になりますよ」


 マネさんがテリッチさんのローブを借りワープした。


「街開きは成功したのですか?」


「上手く行って大盛況だったようです。セリちゃんから報告が有りました」


「良かった」


 マネさんが樽と箱を持って帰って来た。ローブを脱ぐと箱を開け、ジョッキー2つにエールを注いでテリッチさんに渡し飲み始めた。箱の中はソーセージのようだ、良い臭いがする。

 三人で取り留めの無い話しをしていると、学校に帰ったような気がする。世界が違うから比較は難しいが10歳近く歳が離れているが精神年齢が近いのかもしれない。楽しければイイや。


 マネさんの騎士団時代のドジ話しをしている時、マネさんに念話が入った。


「ホフマブルグがオークに囲まれた!」


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