第5章13話 リヒトブルグ準備
『捨てられた街』の街開きが11月1日となり、街の名前が『リヒトブルグ』となった。
新しい名前の由来は、昔はその名前だったからです。テリッチさんが古い記録に有ると教えてくれ、マインズドルフに住んでいるエルフのお爺さんに聞いたら簡単に答えが出た。
「あの街は昔は『リヒトブルグ』と呼ばれてな、疫病で捨てられたのだよ」
別に謎も無ければ、ドラゴンに滅ぼされた訳でも無かった。
街開きの時点で既に人口が5000人近くなっており、1万人は確実に行きそうだ。街開きは叔父さんと兄達に任せたので、仕事は楽になった。
国中から人が集まって来ている。ドワーフの鍛冶職人や魔人の魔道具師、他にも大工や家具職人。冒険者ギルドや猟師ギルド、薬師ギルドも開かれた。新しい街に必要な人達は揃ったようだ。
警備隊経営のベッドハウスも出来上がって、1階には朝5時から深夜1時までの食堂も付き300デルで食べられエールも飲める。深夜でも結構流行っている。ベッドも毎日満杯状態で簡易建築の追加を急いでいる。
警備隊は魔族でもエルフでもドワーフからも採用してリヒトブルグだけで100人増やした。リヒトブルグの人族は3分の1で残りが亜人と魔人などなので、当然の結果だった。
ホフマブルグで研修してくれた間でも亜人や魔人の犯罪を減らし、良い結果を出している。
ガラス工場は何とか稼働して現在フル生産状態だ。駅馬車も動き出し毎便満杯状態だそうだ。マイヤー商会は忙しいが大満足で、農場の開発に頑張っている。
関係者全員が忙しく働いている。ホフマン家の大事業となってしまった。思い付きで始めた物が大勢の人達を巻き込んでしまっている。不思議なものだ。
皆さんが忙しくなった分、俺はヒマになっている。
俺は誕生日の次の日、アデルさんに土下座して謝って何とか口を利いて貰えるようになった。
マネさんとテリッチさんはノックアウトで脳震盪から覚めた時、誕生日祝いにキッスをしてくれた。凄く良い誕生日だった。ノックアウトは余分だったけど。
あれから二日経つけど、まだコブが痛い。
「泉の沼に薬草採りに行きますけど、一緒にどうです? 怪我に効きますよ」
アデルさんとマネさんは、お母さんから呼ばれ館に呼ばれているようだ。
「ミノル、連れて行って貰え」
アデルさんも勧めてくれるので行く事になった。誘って貰うと行き易い。自分からだとテリッチさんの裸が目当てみたいで言いづらい。目当てなのは本当なのだが嫌われたり軽蔑されたく無い。大切な人達だ。
テリッチさんと池の領域に行くと、相変わらず明るく暖かい。妖精が飛び平和そのものだ。心が落ち着き、羞恥心や打算的な考えも消え去って心の負担が減る。不思議な領域だ。
「私は薬草を集めちゃいますね」
テリッチさんは、サッサと裸になって池の畔で薬草を採り出した。少し短い薬草で前回のと種類が違うようだ。
暫くテリッチさんの働いている姿を眺めていると、より心が落ち着いて来たので、俺も服を脱いで池に入った。
浅い所で仰向けに浮かんでいると、頭のコブが癒やされるようで痛みが無くなった。背中の筋肉から力が抜け楽になってゆく。
「口に含んでクチュクチュすると歯や歯茎に良いですよ」
テリッチさんが側に来て教えてくれた。座って少し粘度の有る水でクチュクチュすると奥歯が1本ピリピリしてから収まった。
やはり効果が有るような気がする。行儀が悪いがクチュクチュ後の水を池で吐いてみると、唾液混じりの水がスッと消え去る。不思議な水だ。
池から上がって木陰で座っていると、テリッチさんが来た。
「少し休憩時間です」
「好きなだけ休んでください。勝手に楽しんでますから」
「飽きませんか?」
「飽きません。テリッチさんも見れるし」
「こんなオバサン身体で役立つならいくらでも」
笑いながら答えるテリッチさんが素敵だ。
「何か楽しみなんです。気持ち悪がったりしないで下さい」
「気持ち悪いなんて、ミノルさんが見たかったら宿でも作業場でも何時でもどうぞ。以前は精霊様や師匠に汚いとか醜いなんて言われてましたから、とても嬉しいです」
「森の精霊様からも聞きました。酷い精霊様だったようですね」
「もう忘れる事にしました。今が楽しいですから」
また作業に戻って行った。
景色やテリッチさんを見てボケーッとしていると、テリッチさんがスッと消えマネさんと戻って来た。
「アデルは奥様の要望で、まだまだ館だ。儂は邪魔か?」
「まさか、マネさんを見ているのも大好きですけど、マネさんが嫌じゃないかと……」
「嫌な訳が無いだろう。冒険者の時から言っておったろうが。何なら部屋にも見に来い」
マネさんがサッサと服を脱いで、池に入って行った。アデルさんはカッコ良いし、マネさんは優秀な人風かな? 見ていて飽きない。
テリッチさんが採集した薬草を集め、テレポートして消えるとすぐに戻って来た。薬草を置いて来たようだ。
「次の場所はぬるま湯の温泉で、苔採りなんです。一緒に如何です?」
マネさんと俺は喜んで行くことになった。
「ここも領域が設定されてますので、誰も来ませんのでゆっくりして下さい。温泉は身体も心も癒やしてくれます。池の強力版ですけど、少しベタつきます」
ここも小さめの池で、中央付近から湯が湧いている。入ると確かにぬるま湯の温泉だ。ちょっとドロっとしているが、あがるとサラッとしたいる。
「肌に良さそうだ、少しピリピリして気持ち良いな」
テリッチさんが苔を集めている間マネさんと色々話をして、すっかり仲良しになってしまった。この池も羞恥心が無くなるらしい。
夕方近くまで三人で話したり沈め合ったりして遊んだ。
部屋にはアデルさんが得意の裸で大の字で、ヨダレと寝汗だらけでイビキをかいて寝ている。
お母さんの相手で相当疲れたのだろう。
タオルでお絞りを作って、アデルさんを拭きながら今日の報告を勝手にする。予行演習だ。
全身綺麗にしてから、キスさせて貰って食堂に行った。




