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第5章11話 薬草集め


 捨てられた街の再生も終わり、やっと普通の生活が戻って来た。

 今日は朝のお詣りの後アデルさんが何か用事が有るらしく何処かに行ったので、一人で朝食を食べに食堂に行った。

 テリッチさんがテラスに座っている。


「あのー、一緒に座って良いですか?」


「何を言ってるんです、私ナンかで良かったら是非一緒に食べませんか」


 テリッチさんがステキな笑顔で席を進めてくれた。


「テリッチさんが朝一緒になる事が少ないので、一人で朝食を食べるのが好きなのかと思って」


「違いますよ。朝にポーションを作ったり薬草を取りに行ったりするので、皆さんとズレてしまう事が多いのです」


「それなら良かった。一人の邪魔したらと思って聞いてみたんです」


「それだけは絶対無いです。250年以上一人だったので、今が楽しくて楽しくて。とても感謝しているのですよ」


 テリッチさんが嬉しそうに話ている。本当に笑顔がステキな人だ。食事を取りながら取り留めの無い話をしていると、とても楽しい。


「残念ですが薬草を採りに行きませんといけないので」


「もし迷惑で無かったら僕も連れて行ってくれませんか?」


「迷惑なんて飛んでも無い、でも退屈ですよ」


 テリッチさんに連れて行って貰える事になった。ワープで飛んだ所は小さな滝が有る川辺に有る樹の下だった。


「ここの薬草は朝のこの時間辺りが採り時なんです。木陰で休んでいてください」


 テリッチさんはローブを脱ぐと、下着無しの裸だった。裸で小型の鎌を持つと滝の落ち口に飛んで行ってしまった。テリッチさんはずぶ濡れになって薬草を選びながら刈っている。

 テリッチさんの裸はとても綺麗だ。裸族とは聞いていたが、俺に見られて気にもしてない。時々戻って来て薬草を木陰に広げ、また滝の落ち口に飛んで行く。

 俺は何故かテリッチさんに悪いとか恥ずかしいとか考えずに、ボーっとテリッチさんが裸で働いているところを見ている。心が落ち着くというか、何か不思議な感じだ。


「僕に見られて嫌じゃないですか?」


「裸ですか? 気にならないです。ミノルさんこそ嫌じゃないです? 水浸しになるので嫌でも少し我慢して下さいね」


「嫌なんて絶対無いです。とても綺麗で素敵です。何だか気が落ち着くので、つい見てしまい嫌われないか心配でした」


「こんなので役に立てるなら、いくらでも」


 テリッチさんの裸で笑う姿が信じられない程美しい。


「大分集まったので、次に行きますね。聖域みたいな場所で地脈と契約した者しか入れ無いので安心ですよ」


 テリッチさんは薬草を束ね、自分のローブをクルクルと巻いて裸のままワープした。

 森の中に在る泉の湧く小ぶりの池の畔だった。何体かの妖精も飛んでいる。


「次は池の底に生えているのですよ、だから裸のまま来てしまいました。ミノルさんゴメンなさいね」


「ゴメンなさいなんて、長く見てられて幸せです」


「嫌ですね、こんなオバサンの裸を見て幸せなんて。私は嬉しいですけど。皆さんに会うまで、人に誉められた事って無いようなものですから」


 テリッチさんは、また鎌を持って池に入って行った。池の岸に近い場所で屈んだり潜ったりしながら薬草を採っている。

 25歳くらいで止まっているのだろうか、胸は大きく無いがバランスのとれた中肉のとても綺麗な身体で、頭髪と眉毛以外の体毛が無いようだ。ボケーっと見てしまう。

 そう言えば俺の周りには巨乳とか大きな胸とかがいない。何故なんだろう。


 テリッチさんは少し集めると帰って来て、薬草を池の畔に漬け置いて、また薬草集めに戻っている。


「ミノルさん、泳いだら如何です? 薬効や地脈の力が身体に凄く良いのですよ」


 普段は恥ずかしがって絶対しないのに、何も考えずに裸になって池に向かっている自分がいた。

 テリッチさんが亡霊のように裸で池に歩いて行く俺を見てニコニコしている。

 池の水は冷たく無かった。少し粘度が有るような気もする。浮力が上がるらしく大の字になっても耳に水が入るまで沈まない。

 テリッチさんの薬草集めが終わるまで、泳いだり浮いたりテリッチさんを眺めたりしていた。


「やっと終わりました。木陰で身体を乾かしませんか?」


 俺とテリッチさんは木陰に入って土手みたいな所に並んで腰掛けた。


「ここに居ると羞恥心が無くなるみたいで、テリッチさんに迷惑を掛けてませんか?」


「迷惑なんて全然無いですよ。働くのが、こんなに楽しいのは初めてです。ここは羞恥心が無くなるのではなく、自分に正直になると昔から言われてますね。だから領域に邪悪な心の持ち主は入れ無いのですよ」


「そうなんですか…テリッチさんが綺麗だなと、こうしていると安心感と幸福感でいっぱいなんです」


 俺は土手に寝転んだ。何でアデルさん以外の人と裸でいて恥ずかしく無いのか、まだ不思議だったが安心感と幸福感に羞恥心が負けている。


「ミノルさんが来てから妖精が増えましたね。いつも2体くらいなのに」


 妖精が10体以上飛んでいた。


「他にも不思議な領域が在るんですよ。また一緒に来ません? この地脈に錬金術師は私だけになりましたから、誰も来ませし」


「来ます! 今日精神的にボロけていたのが良く分かりました」


 テリッチさんが仰向けに寝転んでいる俺にキスしてくれた。キスだけなのに気がスーッと遠くなるような感じがした。


「ミノルさん怒りました? 何か急にキスしたくなったんです。男の人とキスなんて250年以上したこと無かったのに。不思議ですね、ゴメンなさい」


「ゴメンなさいなんて、とても嬉しかったです!」


「それなら良かった」


 テリッチさんがニッコリ笑ってくれた。


 薬草の加工が有るので帰る事になった。俺は直接部屋にワープすると、アデルさんが裸で大の字にヨダレを垂らしてクシャクシャのベッドで寝ていた。

 お湯でタオルのお絞りを作ってヨダレや寝汗を拭いていると、やはり幸福感がして来た。


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