第5章09話 魔王VS魔王
先日ラルドさんが王宮に俺を呼んでおきながら館の再生だけして帰ってしまったのが気になって、念話で聞いてみたら話しが長そうなので王宮に行くことになった。
「ミノル殿に気を使って貰って申し訳無いです。娘の館まで考えて頂いて、面倒な話しもし辛くなりましてな」
「何を言ってるんです。そう言えば館の改装を早くしないと職人不足になりますよ。早めにパトリックさんに言って始めないと。改装費用は兄とサキバさんへのプレゼントで僕が出しますので好きなようにして下さい」
「そこまで甘えるなんて出来ませんです。私が出しますよ」
「じゃ、互いに顔を立てて半分ずつで」
「ミノル殿らしい解決方法ですね……そうしますか」
「じゃ、決定という事で」
「申し訳無いですなぁ」
サキバさんが現れ、ラルドさんから改装の指示を聞いて兄の所に飛んで行った。
「ところで何か問題でも?」
「そうそう、実はまた私の親戚が兵を挙げまして、アイラス教団が金を出したらしいのです」
「仲間を呼んで良いですか? 一緒に聞いた方が早そうなので」
「是非そうして下さい」
街の再生をしていたアデルさん達に来るように頼むと、すぐに来てくれた。
「お手数掛けて申し訳有りません、お座り下さい」
ラルドさんに勧められて、アデルさん達は座った。
「ミノル殿に説明していた所なのですが、私の親戚がまた兵を挙げまして、アイラス教団が金元らしいのです。何故かと言うと、そちらの王に魔術師を提供し、人の魔術師を育成していたのもここなのです」
「育成ですか?」
「簡単ですよ。魔力を増やして、攻撃魔法をレベル60くらいに上げるだけで戦力になりますから」
「確かに簡単に戦力になるな」
マネさんが感心している。
「ですから、放っておくとまたホフマブルグの攻撃などに利用される可能性が高いと思いまして。私としてもまた勝手に魔王を名乗られてロクデニア大陸に侵攻されましても困りますし」
「これは早めに叩くしか無いな」
「そうですね、元から断たなくては駄目ですよ」
アデルさんとテリッチさんが過激路線に走っている。
「以前片付けたのより大きいのですか?」
「大きいですね。館も街も大きいです、養成された人族と魔族で溢れています」
「街ごと片付て良いのですか?」
「構わないです。残りは犯罪者とか悪魔族、吸血鬼なんかですから。怖がって普通の魔族は誰も行きません」
「じゃ、また先制攻撃して終わらせましょうか?」
「残念ながら戦いはもう始まっていまして、5日程前に相手が出兵して来たのでこちらも兵を出しケンブラ平野で戦闘中です」
「戦況は?」
「陣地戦なので1万出兵して現在8千くらい。相手は2万の兵力が1万2千くらい、守備陣なので有利ですが相手の追加兵力が1万くらい向かっているという情報が入ったところです」
「では我々が少し削りに行きましょう。ところで敵の名は?」
「魔王国の魔王軍です」
ラルドさんにケンブラ平野の陣地に連れて行って貰った。平野の入口の渓谷を利用したとても立派な陣地で、相手が攻め倦んでいるのも分かるが長引いてくると辛い感じだ。
「フライト将軍です」
50歳くらいの顎髭がカッコ良いガッシリ型のオジサマだ。
「ミノル司令です、アデル副司令にマネさんとテリッチさんです」
ラルドさんの将軍と挨拶して戦況を聞くと、現在は膠着状態だが援軍が迫っているらしい。
ラルドさんは王都防衛にに戻って貰って、我々は相手を少し削りに行くことにした。
爆裂を使うと敵側の渓谷が崩れ、有利になっても地上から敵の王都に行けなくなるので、透明になって上空から雷神攻撃をすることにする。
フライト将軍と我々は念話チャンネルを開き、攻撃用意をしていると、敵側が先に動いた。
悪魔族を中核とした空軍と、狼の大型に乗った騎乗軍が攻めて来ている。まだ射程外らしく打っては来ない。
我々は透明になって一気に上空に昇り、俺だけ射程内らしく雷神の連射で悪魔の空軍が墜落してゆく。
アデルさんも射程内に入ったらしく雷神を派手に撃ち始めた。悪魔は人の雷神攻撃に弱いらしく、王宮前の時と同じように1発で200体くらい面白いように堕ちてゆく。
『マネさんとテリッチさんは、地上をお願いします』
騎乗兵もバリアーを張っているが弱い上に、乗っている狼型の魔獸がバタバタ倒れるので、雷鳴と稲妻の中で一気に数を減らしている。
空軍が5分の1くらいになった所で、逃げ始めた。
『アデルさん、深追いしないで本陣を叩きましょう』
『了解した』
「ピカッ! ドドドーン」
平野に凄い数の稲妻が降り落ちる。本陣の前線がバリアーを張ったので騎乗兵が撤退出来ず、マネさんとテリッチさんに挟まれ全滅状態となった。
『マネさんとテリッチさんも前線を越えて敵側の後方から攻撃して下さい』
射程外と思っていた敵側は思わぬ攻撃に、完全に統制を失っている。最後方上空から逃げて来る敵を片端から倒してゆくと、フライト将軍が一気に凄い数の騎乗兵と小型のワイバーンのような魔獸に乗った空軍を砦から出して来た。
『ミノル司令殿、バリアーの破壊をお願いします!』
フライト将軍の要請が入った。
『全員で前線中央のバリアーを集中攻撃! ミノル司令は後方残存兵力を頼む』
アデルさんの指示に従い、より広範囲に攻撃出来る俺は後方で逃げ惑っている兵の攻撃し出した。
統制の無くなった軍隊は脆い、みるみる数を減らしてゆく。
アデルさん達がバリアーを壊したようだ。フライト将軍達が一気に雪崩れ込んで来てあっと言う間に勝負がついた。
我々が地上に降り腕輪を外して魔力を回復していると、フライト将軍が来た。
「皆さん、助かりました。これ程簡単に終わらせるとは驚きです、評判以上ですな」
「いえ、奇襲攻撃が上手く行ったのと、将軍が最高のタイミングで出てくれたので成功しただけです」
ラルドさんがサキバさんと一緒に現れた。
「大勝利と聞きましてな、飛んで来てしまいました」
ラルドさんが凄く嬉しそうだった。




