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第5章05話 透明人間


 結局『瘴気の沼』を『大いなる森』に戻すのに、森の鎮樹救出作戦から三日かかり、やっと瘴気が無くなった時には疲れがドッと出た。

 その代わり俺は全てのレベル900、アデルさんが450、マネさんとテリッチさんが200という大盤振る舞いだった。


 朝御飯の時、暗殺騒ぎで行けなかったトメラさんの店に行くと言うと皆さんも見たいとの事なので4人で行く事になった。

 マイヤー商会の前から歩いて、そんなに遠く無い良い場所だ。


「皆さんいらっしゃい! ミノルさん襲われたんですってね。私は仕入れで見れなかったんですよ。近所の人達がミノルさんがカッコ良かったって言うし残念で」


 皆さん見せ物と思っているようだ。アデルさんは苦笑いしている。


「良い場所ですね。お客さん来てます?」


「シュテンブルグの時よりは沢山来ますね。小物も売れますし」


「衣類より魔道具が増えてません?」


「魔力の少ない人や魔法のショボイ人用ですね。皆さんには無縁です」


「ナンカお勧めは無いの?」


 トメラさんが腕を組んで顎をポリポリ掻いている。

 奥に行って箱を持って来た。


「魔族の魔道具師が500年くらい前に作った腕輪なんですけど、世界に5個の限定品! と言っても作った人が死んだんで作れ無くなっただけで……売れたことも無いので新品です!」


 銅のような色の装飾が魔法陣みたいな薄い腕輪だ。


「で何が起きるの?」


「はめると姿が消え警戒からも見えなくなります!」


「凄いな!」


 マネさんが感心している。


「これは次元を変えずに姿を消しますので、時間制限も有りません! 1日中でも姿を消せます。

 次元を変えて消える魔道具は呪いのような変な物で、使い続けると持ち主の命に関わるのですが、音も気配も全て消えてとても便利なんです」


「私、聞いたこと有ります! それ指輪ですよね」


 テリッチさんが知っていた。


「そうなんです。この品は音はビシバシたてますし、影は作りますし、匂いも消せません。不思議な事に動かないでいる時だけ気配が消えます。チラとでも動くと気配がします、服擦れがしますから。裸で息止めていれば絶対安全! 本当は息くらいは出来ますけど。ですから暗殺にも諜報にも使えないんです」


「なる程ね、トメラさん得意の変な仕入れですね」


「得意じゃないです! たまたまミノルさんが来た時に有るだけです!」


「で、いくらなんです?」


「3年前に仕入れた時は自信が有ったんですけど…元値で1本2000万デルで…サイズ自動調整でフィットします」


「2000万デルだと相当実用的な高級品が買えるからな」


 マネさんが冷静に分析している。


「そうなんですよ……私の資金が塩漬けの元なんです」


「いいですよ。全部貰います」


「ご5本全部ですか!」


「はい。開店祝いです」


「ミノルさん大好き! アデルさん御免ね」


 トメラさんは俺に抱きついて、何時もの良い匂いをポッポとさせている。


 店の番を皆さんに頼み陸奥銀行に行き、支払いを済ませてすぐに帰って来た。


「またお待ちしてまーす」


「ミノル、そんな物どうするのだ?」


 アデルさんが心配そうに聞いて来た。


「宿でエールでも飲みながら説明しますよ」


 テラスでお姉さんにエールと串焼きを頼んだ。


「トメラさんの話しを聞いていると役立たずに聞こえますが、これ相当利用価値が有りますよ」


 箱を開けて3人に腕輪をプレゼントした。


「空を飛んで攻撃とかなら、気配がしようが音がしようが関係無いです。誰も影なんて見ないですよ。

 マネさんと王都でやったような作戦なんて、相当楽になりますよ。先日のホフマブルグの攻撃だって待ち伏せなんか簡単です」


「なる程、確かに魔術師が攻撃する時には便利だな。安全に攻撃出来る」


 マネさんが腕輪を見ながら言う。

 アデルさんが腕輪を装置すると確かに消えて警戒にも出ない。またアデルさんが現れた。


「付けると自動で腕に付き動かないから便利だな」


「こんなに高価な物を私なんかにもったいないです。使う時に貸して頂ければ良いですから」


 テリッチさんが遠慮を始めた。


「常に持っていて下さい。襲われて逃げるのにも使えるし、テリッチさんは薬草取りにも使えますよ。場所を知らせないで済みますから」


「済まないな、こんなに高価な物」


 マネさんさんまで値段にこだわっている。


「全員が安全。これが大事なんです」


 俺は胸ポケットに仕舞いすぐに出せるようにして、余った腕輪は別のポケットに入れ箱は捨てて貰った。


「この服はマジックバックみたいなポケットが多くて便利ですね」


 テリッチさんがローブの隠しポケットにしまっている。


 こんな腕輪を使わなくても良い状態に早くなってくれれば良いのだが。


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