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第5章04話 森の精霊様


「美味しい昼御飯も食べたんですから、もう少し頑張りましょうよ」


「儂は頑張っているぞ」


「頑張ってまーす」


「ミノル、ちゃんと働いておる。心配するな」


 全員、口だけだ。美味しい海老とエールでやるを無くしている。効率がガタッと落ちた。


「あっちの方が瘴気が薄いです」


 テリッチさんは薄い場所を探すのが上手だ。

 瘴気が薄いと森の再生が凄くはかどる。森が増えると眼や肌のピリピリが減り、作業時間が伸びるので森部分が増えていく。

 何度か軌道修正しながら進んで行くと、森が見えてきた。


「取り敢えず繋げちゃいましょうよ」


 左側の少し先に森部分が見えている。間の瘴気を浄化し、森を再生して繋げた。


「もしかして私達元に戻ってませんか」


 テリッチさんがボソッと言った。


「右にばかり軌道修正してたな」


 アデルさんが周りを見ながら考えている。


「私、見て来ます!」


 テリッチさんが瘴気を避けながら飛んで行った。我々は瘴気域を浄化しながら待っていると、テリッチさんがワープで戻って来た。


「集落が在りました。出発点に戻ったみたいです」


「じゃ、円形に瘴気を残したんですね。此処が鎮樹域かも知れないですね」


 俺が瘴気を見ながら言った。


「大した広さでは無い! 突破するぞ!」


 マネさんの号令に全員で浄化を始めた。奇妙に瘴気が濃い。進むスピードがガタッと落ちた。

 お構い無しに森を再生しながら先に進んで行く。


「私の正面に一瞬青い物が見えたぞ!」


 アデルさんが大声で言った。我々は互いの距離を縮め、その方向に集中的に浄化を進める。


「私も見えました!」


 テリッチさんが報告した。俺にも見えてきた。魔力の残りとの勝負だ。後少しで鎮樹域に着く。

 アデルさんが風で強引に瘴気を除けた。俺は見えるようになった森の残骸を再生し、鎮樹域に飛び込んだ。

 中心に殆ど枯れた樹が傾いて立っている。他の三人も飛び込んで来て、鎮樹域を浄化し出した。

 俺はワンドを取り出し樹に向かって唱えた。


「再生!」


 メリメリ、バキバキと音を立て樹が再生されて行く。

 根にもう一度唱える。


「再生!」


 根が太くなり樹が真っ直ぐに戻り始めた。

 幹が太くなり枝も太く数を増やし、葉を湛え出す。樹の出す音と変化に圧倒されてしまう。

 気が付いたようにアデルさんが鎮樹域に再生をした。美しい花を咲かせた俺の膝くらいの高さの草花で埋め尽くされた。

 樹は根を動かし、まだ音を立てて再生している。外観はどうやら山の精霊様の樹と同じようだ。


 地響きがし出し、ドドーンという音と共に地震が起きた。それ程大きな地震では無いが小刻みに長い地震だ。

 樹に水の流れる音がしだし、再生も終わった。地脈と繋がったのだろう。


 鎮樹域に光の粒が現れた出した。

 粒はどんどん増え、渦を描き出し中から精霊様が現れた。

 樹の根元に白いローブを着た山の精霊様と同年代くらいで黒髪で頬髭の知性的な男が座っていた。


「お前がミノルか。随分と強引な方法で此処まで来たな。実は危ない所だった。助かったぞ」


「いえ、遅れて大変御迷惑をお掛けしました」


「お前がアデルか。美しいな。精霊の守護者として働きお前の勇気で守護主を支えるが良い。守護者の追認と力を与えよう」


「お前がマネだな。やはり美しい、アデルとは違う美しさだ、心に力が有る。マネはこの樹と精霊の守護人となれ。その力で守護主を支えよ。守護人の追認と力を与えよう」


「テリッチだな。愛らしい女だ、良い力を沢山持っているな。200年良く耐えた、偉かったな。これからも精霊の守護人として働き、守護主をお前の持てる力で支えるのだぞ。守護人を追認し力を与えよう」


「ミノル。守護主で剣で知恵か。大変な役割だ、三人の力を借りて自分を保て、人外になるぞ。お前は優しいから心を壊してしまう。躊躇せずに三人に頼るのだ。

 お前の前任者は最後に人外となり、自分で消滅した。今回は、それを避ける為に三人を与えてあるのだぞ。

 お前の守護主を追認し力を足しておいた」


「有り難う御座います」


「山の精霊のような供物をくれないか? 力が、まだ無いのだ」


「早速持って参ります」


 森の精霊様が頷いた。


「ミノル、食堂に行け。私は周囲の森を再生している」


 俺は宿の食堂にワープし、お姉さんに森の精霊様への供物を作るように頼んだ。

 15分くらいで料理とエールを持ってお姉さんが現れたので、ワープで森の精霊様の所にお姉さんと飛んだ。


「精霊様、この娘がこれからは供物をお持ちします」


「おお、可愛くて良い娘だな。ミノルの周りは良い娘ばかりだ」


 俺が供物台を作り出してセットするとお姉さんが食事とエールを並べ、ポケットからピッチャーを取り出して置いた。


「気が利いておる。偉いぞ」


「では、失礼します」


 お姉さんと宿に帰ると全員戻っていた。


「私、また精霊様に会っちゃた! ミノル司令様アリガトー」


 お姉さんはピョンピョンと厨房に飛んで行った。


「鎮樹域の周りは森にしておいた。風呂に入ってからエールでも飲もう」


 アデルさんの提案で皆さん部屋に帰った。


 歯を磨いて、うがいをすると慌てて身体を洗った。瘴気でピリピリする。

 やっと湯船に入った時には疲れきっていた。


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