第5章03話 瘴気の沼攻略
暗殺未遂事件から5日程経った。
あれ以来王宮側が静かになっている。やはり自分が攻撃されるとは思っていなかったらしい。
奴らが静かにしていると暇とゆとりが出来てくる。個人的日課にしていた瘴気の沼の緑化計画に、アデルさんも参加してくれるようになった。
集落から300メートルくらいは緑化に成功している。
問題点は瘴気の沼がどの位の大きさか分かって無いので、後どの位なのか予想出来ない。
「随分と先まで来れるようになったな。以前は集落から30メートルも行けなかった」
「アデルさんが協力してくれて100メートルは伸びましたよ。精霊様と森の力で瘴気が減った分も有るし相乗効果狙いなんですけどね」
「しかし、瘴気を消す方法は無いのか?」
「精霊魔法の浄化をやってみませんか? 毎日少しずつでも効くなら価値は有るかなと思うんですけどね」
「この先で漂っている瘴気に浄化してもな。沼に浄化しないと意味が無いと思うぞ」
「ヤケになって風吹かしますか? どうせ、あっちは誰も居ないんでしょう?」
「確か古い街の廃墟と荒れ地だな」
ゆっくりとした風を吹かす事にした。灰色みたいなケムリのようなモヤモヤが、ゆっくりと後退しだした。
「他の人達も呼びましょうか?」
「私が呼んで来よう」
アデルさんが消えたと思ったら、マネさんとテリッチさんを連れてすぐに現れた。
4人で風を送ると効率が違う。現れた森の残骸に再生をしていく。
「ナンカ変だ、沼なんて無いんじゃない?」
「そうだな、儂等は相当押して来ているぞ」
「それに森の残骸も違う。僕が始めた時は土だったですモン…進む程瘴気が薄いのか?」
「なら中心が近いかも知れないですね。私は浄化をしてみます」
テリッチさんが浄化を始めると瘴気が薄くなってゆく。
「総員で浄化だ!」
アデルさんが号令をかけた。
4人で浄化をできるだけ広範囲にかけていくと、瘴気がどんどん薄くなってゆくのが分かる。
見えてきた森の残骸は片端から再生して森に戻し、先に進んで行く。
我々は計画を変更して、中心に向かって半島を作っている形になっている。
「魔力が半分になっているぞ」
アデルさんが申告して来た。
「宿に一旦帰って休みましょう」
テラスでエールと鳥の串焼きで作戦会議となった。
「セリちゃん借りれないかな?」
「無理だと思うぞ、館は大騒ぎの最中だ。貴族でごった返しておる」
マネさんがウンザリした表情で言う。
「貴族院の建物も消えて次の議会も有るか無いか分からんので、力の有る貴族に集結しているらしい」
「ミアも館に呼ばれておるようだぞ」
アデルさんが興味無さそうに言って、エールを飲んでいる。
「結局4人でやるしか無いか…人手不足ですけど」
「日数かけて進むしか方法が無いですね」
テリッチさんが鳥を食べながら言う。
「精霊魔法を使えないとダメだし、セリちゃんとお母さんは別世界に生きていますしね」
俺が言うと皆さん、諦めの笑いをしている。
「瘴気の薄い方向に進んで行けば鎮樹域が有るかなと思っているんですけど」
皆さんの賛同を貰って、そうする事とする。
1時間くらいで魔力も満タンになったので、作業の再開となった。
元の場所に戻って浄化をする。それ程瘴気は来ていない。森を再生しながら進んでいるのが良いみたいだ。
「右側の方が薄いような気がするのですが」
テリッチさんの意見に同意して、右側に進んで行く事にした。
進んで行くと確かに、こっちの方が瘴気が薄い。どんどん森を再生して行く。しかし広い森だ、200年前はさぞ豊かだったのだろう。
地脈が地上から近いのか、余り魔力が減らなくなった。作業がはかどる。
「なかなか鎮樹域が見えんな」
マネさんがブツブツ言っている。
「瘴気が濃くなり出したら、方向を変えましょう。でもここら辺は薄いから再生が広く出来て楽ですね」
「楽は良いが飽きて来た」
アデルさんの根性無し。
「お腹が空きました」
「風呂に入りたいぞ。瘴気が肌にピリピリする」
結局、風呂に入ってから昼飯ということになった。
「本当にピリピリしますね」
「早く落とさんと後が大変だ、しっかり洗え」
アデルさんと歯を磨いて、うがいをしてから頭からしっかり洗っていく。
「瘴気って凄いですね」
「何なんだろうな、あれは」
風呂に浸かって、アデルさんにデレデレ寄り添っていると疲れも取れてくる。
適当に切り上げて食堂に行くと、マネさんとテリッチさんは既にエールを飲んでいる。
「終わらせるのに何日くらい掛かるのだ?」
「例え今日中に鎮樹域を見つけても、三日くらいは最低でも必要のような気がします」
マネさんの疑問には、そう答えるしか無かった。
お姉さんが食事とエールを持って来た。
「皆さんには海老の香草ソース焼きでーす。」
全員から歓声が上がった。




