第七十五話「急展開」
「……ね、ライズ」
「どうしたの? さっきもボーっとしてたし……」
「…………ジェイド、今生きてるのか? コレ」
なんとなく嫌な予感がした。
駄目じゃん、主人公が死んだらハーレム構成員たちが悲しんじゃうよ。
……私だって、いちおアイツのこと嫌いなわけじゃないし。
好きだよ? うん。 恋愛的な意味は一ミリたりとも含まれてないし、なんかこんなこと思うのも悔しいけど好き。
だって、私たちみんな――仲間だもんげ!
「――ほんとにどうしたのよ、アリア」
「……や、ちょっとヤな予感しただけ。 気にしないでちょーだいな」
口ではそう言ってみても、わたしの中の急展開センサーがビンビン反応していたのは、流石にちょっと抑えきれない。
正直このまま、イベントとか何にも起こらないでもいいんだけどな。 活躍とか怠いからもう要らない。
魔王を倒した不憫な功績者として、老後まで静かに暮らしていけたらそれで……。
「…………うん。 解らなくもない」
「なにが?」
今まで私の手を引いてサッサと歩いてたライズが、いきなり歩みを止めてそんな事言うもんだから、
余計に心臓の鼓動が尋常じゃないスピードへと変化していく。
「ジェイドのこと――。 ……私も良い予感はしないもの」
「えっ」
やめて、不吉なこと言わないで。
「……それに。 あのね、良く聞いて――アリア」
「……うん」
やけに真剣な顔つきで、若干顔の距離を近づけてくるライズ。
普段のコイツなら絶対しないような仕草だったから、いよいよ焦燥感が常識のレベルを超えて高まってしまう。
すーっと息を吸うと、
「…………長くないのは、私たちも同じ」
咳をするように、彼女は何処か苦しそうに言葉を紡ぎ出した。
「え――」
「――何となく解るの。 だって私、これでもエルフの末裔だもの」
「……そっか」
雰囲気が葬式の途中みたいに、何となく暗く淀んでいた。




