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チョロイン☆デビュー!  作者:
花の都・フォーサイス
66/83

第六十五話「今だけ主役だよ」


「フフフフ……」


「…………」


「さあ……我が恐怖に溺れるが良い」


「…………」



――もしかして、これってアレかな。 私が、この私が、やっと主人公っぽいことが出来るってことかな。


劣等生だけど強い……みたいな。

私の場合は謎のクソみたいなアレルギーが役に立っただけだけど。


むふふふふ。



「……遅いな。 どのみち、破滅に変わリーゼントはないが」


語尾の設定は完全に忘れていた。

ちょくちょく出してくるのが、ヤツの面倒くさい所である――たぶん。


時間が経過するにつれ、リーゼントは若干焦りだし、観客はざわめき、そして後ろでジェイドたちが荒ぶってきた。

今は変なダンスを踊っているようだ。



……あれ? なんか、私が一番の常識人で強いクールな奴――みたいな絵面になってない?




「……くっ、どうして効かない」


「ふ――やれやれ。 これだから蛮族は」


何故かだんだんと変なテンションになってきた私は、無駄に戸惑っている様子のリーゼントに話しかけてみた。

――あいつらの謎テンション、もしかして感染してるのかな。



「何ッ!?」


すごく動揺している。 今ならコイツ、何を言っても信じてくれそうだ。




「……今まで黙っていて済まなかったな。 立場を考えず、貴様には本気を出して戦ってほしかった――ただ其れだけの事さ」


きゃあ、私かっこいい。


「くっ――何者だ」


「私の正体? それは明かしてはならない規則になっている。 ――貴様は自分の力を信じすぎた」


「……!」


「“組織”のご意向らしい。 今は見逃してやろう――」


「そ、そしき……?」



自分でも、何を言っているか良く解らなくなってきた。

言ってる本人が理解出来ていないのだから、聞いている側はもっと理解できていないだろう。


観客がすごくざわついた。 リーゼントも震えた。

私は楽しくてニヤついていた。


……いいなぁ、主人公的な扱いって。




さてと、最後の決め台詞だ。


まず右腕を頭の後ろに回し、左腕は右の太ももに。 そして左足をグルグル回転させて――。

よし、決めポーズはこんな感じで良いか。


若干ダサいのが、逆にミステリアスさを引き立てている。 と思う。

それに、左足を回すスピードで、感情が表現できるしな。


我ながらナイスな案である。




「――さあ、つかの間の幸福か、惨めな降伏。 どちらを選ぶか、それは貴様次第だ」



きゃああっ、カッコよすぎてちびりそう!

降伏と幸福を掛けてね、オサレな感じにしてみたんだけど、

これって口で言っても伝わるんだろうか……。 ちょっと心配になる。




「……こ、降伏だ――」




あら、伝わった。










「アリアーっ!」


「くりすちゃぁあああぁぁぁああぁぁあああぁ~~っん」


笑いながら駆けてくるクリスちゃんに向かって、私も盛大にニヤけながら走っていく。


本当なら走りながら服を脱いだりして、

クリスちゃんのところに着いた時には全裸――ってのも良かった。


でもね、このホテルにはジェイドもライズも居るから……。

父母が居る前でヤレるか? ヤレないでしょ?

つまりはそういう話だ。




「勝ったね! おめでと!!」


「ありがと!! ありがとう!!! ありがとう!!!!」 


そう言って、クリスちゃんがぎゅっと私を抱きしめる。

最高だ。


まさしく、これこそ生きててよかったと感じる瞬間である。

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