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チョロイン☆デビュー!  作者:
花の都・フォーサイス
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第六十三話「折らせろリーゼント」

――踏み出したアリアの後ろ姿を眺めながら、私はキノコで出来た椅子へと座り直した。


相手は屈指の実力を持つ、フォーサイス家の次男……。

魔王相手にも勝ったのだから、一応実力だけでも勝っている筈なのだけど、



「――どうした? ライズ」

「いえ……」


……相手は魔術師。 彼女も――肩書き上は魔術師。

変に気を回さず、そのまま戦ってくれれば大丈夫だけど――。




「……まあ、アリアは馬鹿だから。 大丈夫、か」


もう危険な思いはして欲しくないけど、みんなアリアの馬鹿さ加減を信じてる。

だから大丈夫だって、私も信じることにした。




『試合――スタートです!!』



■-□-■-□-■-□-■-□-■-□-■-□-■-□-■-□-■-□-■-□-■





「……」



えーと、試合開始の鐘は――鳴ったっけ?

それよりさ、私さ、

ライズに『馬鹿』って言われた気がしてならないんだけど。 そっちのほうが気になる。


だってナチュラルに罵倒してくるんだよぉ……。 気になるよぉ気になるよぉ。





「……どうした? かかってこないのか」

「ん――」


やべ、試合中なの忘れてた。

視線を自分の身体に動かす。 籠手はオーケー、防具は無い!



……あれ? これ、接近戦に行ったらすぐボコられるパターンじゃない?

そう思った私は、この天才的な脳みそをフル稼働させ、


「わ、私は魔術師なんでな。 動くのは趣味じゃない」

なんともそれっぽい言い訳を考え出した。



「そうか……。 だが、生憎私も魔術師なのだ」

「へー……そうなの、全然気づかなかった」

「仮にも魔術師を名乗るなら、魔力の気配くらい感じ取れても――」

「あーうるさいうるさい!」


うるさい。

そういうのはね、生まれつきなのよ。 私の場合は転生した時からあったアレルギーなのよ。



だから、どうしようも無いことは馬鹿にしちゃ駄目だって、

小さいころお母さんに教わらなかったの? このリーゼント頭! キャラ薄いくせに! リーゼントしか特徴ないくせに!!



――ん、ひらめいた。

相手も魔術師だったらさ、別に近寄っても大丈夫そうじゃね?

しかもコイツさ、リーゼント折ったら一発で勝てそう。 逆に言ったら、心臓貫こうとリーゼントがある限り生きてそう。



「……じゃあ良いよ、私から行ってやる」

「フッ……」

続きで何か言おうとしてるけど、私はお約束なんて守ってる暇ない。

だって、早くしないと……。


しないと……。 特に何にもないや。



地面を強く蹴って、何度も蹴って、リーゼントを目指して進む。




「久々の狩リーゼントだ――」


サラっと『リーゼント』って入れた。 こういうところでキャラ立ちを狙ってるのか、この薄汚いリーゼントめ。

殴りたい。



「ぜっ☆」


――でも、今は戦闘中だもんな。 殴っても大丈夫だよな。

そう思った私は、足でブレーキを掛けるようにして、リーゼントの前に立った。




「あほくそまぬけろくでなし! リーゼント頭!」

「なっ――」


小学生レベルの愚痴だったと、自分でもちょっと思ったよ。

でももう口に出したことだもの。 消せないでしょ。


だから、せめて少しでも消せるように、有りっ丈の力を込めてリーゼントを殴った。


……アイツの記憶、薄れてればいいな。

もうちょっとカッコいい決め台詞にしたかったし――。



リングの端っこへと吹っ飛んでいくリーゼントを見ながら、私はそう思って、カッコいい技名について思考を巡らせる。



にしても――遠くから見たら、あのリーゼントの大きさよく解るな。

あけましておめでとうございます

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