第五十七話「戦いの場へ」
「う、ぉおおぉ……」
私の足元に広がっているのは、感触がキノコの床。
そして塔の中央には、とっても豪華な飾りつけがされた螺旋階段がすーっと伸びている。
「おぉぉおおぉ……っ」
向かって右にはお土産屋。 左にもお土産。
気分はさながら修学旅行に来た学生のようだ。 初めて都会の空気を吸って、異常に興奮してる田舎者みたいな感覚。
気分が高揚して来て、とりあえず動きたい衝動に見舞われたので、
右側のお土産屋に向かって早歩きを――――と思ったら、いつの間にか一周回って戻ってきていた。
この建物、ドーナツ状になっているらしい。
で、中央にある穴の中に螺旋階段……みたいな、そういう設計かな?
「……何はしゃいでるのよ」
「だって都会だし――」
でも、相変わらずライズは落ち着き払った様子である。 良く寝る子はいい子。
つまり、私にいまいち落ち着きが足りないのは――ズバリ睡眠不足のせいか。
「都会って……前に行ったでしょ? ここよりすごい都会」
「えーっと……」
すごい都会。
都会――。
「……城下町っ!」
「正解、一応覚えてるじゃないの」
まあ二年もお寝んねしてたらね。 凡人じゃ色々と忘れちゃうと思うのね。
そこを覚えていられるのが、私が世界一すごい人っていう証拠っていうか――。
「行くわよ」
あっ待って。 私の自慢を聞いて。
◆
「……」
のぼる。
「…………」
のぼる。
「………………」
のぼる。
「……………………」
ああ、なんでこの階段はこんなに長いんだろう。
体感時間は約三十分――なのに、まったく目的地が見えてこない。
そもそも目的地はどこなんだろう。
このまま私、一生階段を上り続けて人生終わるんじゃないかな――。
あれ? 階段が途切れてる……。
もしかして、ここからフライアウェーイってするんじゃないよね。
「ついたよー」
あっ、普通に着いた。
塔の最上階にあったのは、これまでのメルヘンチックな外観とは一転した、実に重そうなゴツい扉。
いち、にー、さん、し……ぱっと数えたら、五つくらいのロックが掛かっていて、
剛力のムキムキ筋肉男が、三十人くらいそろってもビクともしない。 想像だけどね。
「……おぉ、なんかゴツい」
「魔法鉱石の第250番、そして581番で構成された異次元交差門の中央付近に存在する物質――だと? ……ふっ、この中では相当な重要儀式が行われているようだ」
意訳……。 すごい物質で作ってあるから、中でやってることもすごい。
「――みんな、準備おっけー?」
緊迫した表情で、クリスちゃんが私たちのほうに振り返る。
「いつでも」
「私は大丈夫。 アリアは?」
「待って――」
えーと……えーと……とりあえず指さし確認!
武器オッケー!
やる気オッケー!
クリスちゃん成分もオッケー!
「……たぶん大丈夫! やってやる!」
何をするのかは良くわからないけど。 確かバトルロワイアルだったっけ?
王位継承権を持つ人を半分に減らすぽん!
そんな私を見て、クリスちゃんはコクリと頷くと、
「わかった――。 行くよ?」
――と、さっきの魔法鉱石のなんちゃらかんちゃらで形成された門に手を触れる。
(え……もしかして押すの? 押せるの?)
すると、門に触れた手が突如輝きを放ちだし、
(あっ、やっぱりそうだよね。 押すわけないよね。 重そうだもんね)
すごい轟音を立てながら、門はゆっくり下に沈んでいった。




