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チョロイン☆デビュー!  作者:
海辺の町
48/83

第四十七話「実況担当として……」

「……えっ」

「ふっ、ふざけてる場合じゃないのよ――」


凍り付く空気。

普通にぎょっとした顔をしている、ひねりの無い反応のジェイド。

ちょっと『本気かもしれない』って思いながら、それでも一応否定してみた……みたいな雰囲気漂うライズ。


事実を言った、ただそれだけだと言うのに、

どうして私、こんな思いをしなければならないのだろう……。


全く、現代日本で暮らすってのは、どうにも肩身が狭いぜ――。


……いや、現代日本に魔王なんて居るわけないけどさ。



「――そういえば、聞いたことがある」

「知っているのかクリス」


と、いきなりジェイドとクリスの二人が、どこかで聞いたことのある寸劇を繰り広げ始めた。

 まあいいや。

クリスちゃん可愛いんだし、魔王とやらに私が殺されないうちに聞かせてほしい。



「……綺麗なアリアが、このごつい人に負けた原因。 それは――」

「それは……?」

生唾を飲んで、私が全神経をクリスちゃんの声に集中させていた時。


……いきなり爆音と砂煙が発生する。

「――っ!!」

「えっ」


やめて。 ねえ止めて。

私を置いていかないでください。



「くそっ……話は後だ!」

いや待って待って、今すっごいパニック状態なんですけど。 お願い早く言ってよ原因だけでも解ってればどうにかなるじゃん!


とか思ってたら、

「――避けなさい、アリアっ!!」

ライズの声が横から素早く飛んできて、取り敢えず避けてみると、さっきまで居た場所にでっかいクレーターが現れた。


やばい、ほんとに当たったら死にそう。

――というかライズ、某ポケットなモンスターのトレーナーみたいな台詞吐かないでちょうだいよ。



そして、見えないクレーター製造機の攻撃を避けまくること一時間くらい。 たぶん一時間で合ってるはず。


当たる直前にバリア張ったらOKとか、

バリアも貫通する魔法だとか、

それもガートできるバリアがなんたらかんたらとか、


三人は小学生の鬼ごっこみたいな会話を繰り広げながら、

たまに攻撃を仕掛けて、跳ね返されたのか、すっごいダメージを受けて帰ってきて。


……迫真の戦いごっこにしか見えない。



でも問題は、私がバリアどころか魔法すら使えないこと。

だけどこのままじゃ死ぬし……。


どこに攻撃来るか解らないし、皆も毎回指示できるわけじゃないから、今までずっと止まらずに走り続けてるんだけれど、

そろそろ冗談抜きで死にそうになってきた。



「くっ……やはり完全復活前とはいえ」

ライズがかっこいい顔をして、口に付着した血を乱雑に拭いながら呟く。

正におっぱいの付いた……あれっ、あんまり付いてないけどイケメンである。 私がそっち系の人だったら、確実に惚れてただろうなぁ……。



――でも、実況担当を勝手に自負している私が、このざまで良いんだろうか。

クレーターしか見えてないせいで、三人が避けて、反撃しようとして、吹っ飛ばされているようにしか見えないけれど、

実際は超強そうな人が、ど派手なエフェクトの付いた魔法で、超かっこよくダークな感じで戦っているはず。



「…………」


――確か、魔法を使ってからばたんきゅーするまでは、それなりにタイムラグがあった気がする。

倒れる直前の、妙な気分の悪さは、

思い出すだけでちょっと足が竦むくらいにはとんでもなかった。



……けど、たぶん大丈夫だよね。

例え死んじゃっても、今流行りの死に戻りとかそういうのあるよね。 大丈夫だよね。 ね。


「……よしっ!」

ぜぇぜぇはぁはぁ五月蠅い息を整えようと、私は一旦走るのを止めて立ち上がった。

そして、いつか練習してた気がする感覚を思い出して、


――右手に力を溜めて、そのまま魔力に練成して……。



「解き放つっ!!!」


自分に気合を入れる感じで、私は叫んで両手を宙にかざした。

魔王とやらが居るはずの場所から、私たちの居る場所に攻撃ができないように……。


イメージはでっかくて、カッコよくて、

めっちゃ作画の良いアニメに出てきそうな、超細かく描き込まれた魔法陣の三重バリア。


……ちょっと誇大妄想しとけば、実体化するときに劣化しても何とかなるしね。

だけど。


「――!」


日光にも似た眩しい光が、形取っていったのは、

そのイメージまんまの、燃費の悪そうなかっこいいバリアであった。


挿絵でも描いてやろうか

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