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チョロイン☆デビュー!  作者:
海辺の町
43/83

第四十二話「ちょっとだけ主人公」

「――で、ええと……」


誰からでも良いって言っちゃったんだけど、いったい誰から掛かってくるんだろうか。

ジェイドかな? それともクリスちゃん?

……あ、意外とライズが参戦表明する展開とかもあったりしてな。


『……先、良いか? クリス』

『えー……このお姉ちゃん、何だかつよそーだよ? ボクも気になるよ〜』

よし、強そう発言いただきました。 ありがとクリスちゃん、ありがとう……。

――っと、もしやこれは……。



「……で、誰から?」

『――俺から、だな』

…………。



き、きき……、

き、き、ききき……キタアアァアアァアアアアッ!!



……で、そこからは記憶があやふやになって。 良くあるじゃん、夢ってそういうこと……。


『準備は良いか? 死なない程度にはしといてやる』

「はっはーん、ここではお前の主人公補正も効かないぜ。 それに私のご都合展開だろうから、きっと私が勝つこと間違いな……」


――あれ、居ない。


「……い」

気が付いたら、いきなりジェイドが奇襲を仕掛けてきていた。


『ほざけ! 主人公補正だの、何を下らない事を言っているッ!?』

その瞬間、私の顔面ギリギリに、例の中二くさいデザインの斧が――。


「うわっ!?」

慌てて避けようとしたら、どういうわけか身体が何回も縦に回転した。 ……さすが私の肉体だけあって、精神が身体能力に追い付いていない。


……でも。

「お前、不意打ちたぁ汚い手使いやがって――」

カッコいい主人公たるものが、そんなアホでマヌケでバカな人間で良いのか? 違う。

そう考え始めると、腹の底から怒りがメラメラと燃え上がってきて――。


地面を蹴り付けて、私はジェイドよりも上に舞い上がった。

そして右腕に軽くパワーを集めると、空気を裂いていくようにして、そのままあの大きな斧に突撃していく。


「おりゃああああぁぁああぁ――ッ!!」

『……!』

でも、やっぱりチートってのは、補正うんぬんより前に存在していたらしくて。


『――停止』

ポツリと呟かれたその言葉は、世界の動きを全てストップしてしまった。


――私と、アイツを除いては。

「へっ、そんなの効くかよ! だって私は――」


……確か、ここは私の夢の中。

だったら何をカミングアウトしたって大丈夫。 だから、このまま決めゼリフ的な感じで使ってやろう。

そう考えて、私は大きく息を吸い込んだ。


「正真正銘の日本人、なんだから」

『――――!』

ものすごく動揺した顔のジェイド。 でもチョコマカとゴキブリの如くに素早く動くのは相変わらずで、この右腕パンチは見事に避けられてしまう。


で、次は向こうのターンだった。

『……知るか、そんな事――。 時間停止が効かなくたって、お前を倒すことなど――圧倒的にッ、容易ィッ!』

そんなセリフと共に、素早く斧を振るったジェイド。

その刃先からは、鋭く青く光る衝撃波が、まるで鎌のようにその身を剃らせながら、私の首を確実に狙ってきていた。 ……あれ、殺さないってのは?


「くっ――」

でも、今の私は主人公だ! そう簡単にやられるわけにはいかない。

そう思って身体を地面に下ろし、そこからまた蹴って、あの衝撃波に追い付かれないように走るスピードもアップして――。


……だが、私はまだ甘かった。


奴のその言葉には、とある呪いが掛けられていたのだ。 そして私は、そんな事にも気が付かずに、何も警戒しないままにその言葉を耳に入れてしまって――うっ。


『お前を倒すことなど――圧倒的にッ、容易過ぎているッ!』


圧倒的に、圧倒的に容易すぎている。 すぎて……。


――。


「ブフォッ……」

思わず気持ち悪い笑い声をあげてしまった私。


『何を笑っている! 余裕ぶっていては、まだ俺には敵わないぞッ――!!』

そして、それに逆上する圧倒的容易さん。 ……あ、まずい。



『これが俺の――』

「……やべぇ」

『実力、だあああぁぁぁあああぁッ!!』


そんな叫び声と共に、もう一発放たれた衝撃波。 同時に時間停止も解除されたのか、遠くからカラスっぽい何かの鳴き声も聞こえた。


――と同時に、ジェイド曰く『俺の実力』らしい衝撃波が、私にクリティカルヒットした。


昨日は寝ていて、明日からは祖母の家……。

以降の二、三日くらいは更新無いと思います。 ごめんなさい。

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