第三十六話「ロリがもっとロリロリしたら」
前回までのあらすじ!
えーと……寝坊したライズとジェイドに代わって、私たち二人が働くことになったんだけどね。
どういうわけか、途中で時間が止まってしまったんだ!
前回は魔法の練習やら何やらで時間を潰していたんだけど、なんと私は『魔術師のくせに、魔力にアレルギー反応を起こす』という超・謎体質だったのです……。
あぁ、やる事がないってこんなに暇なのか。
多分これからもずっと、数時間くらいは時止め続くだろうしなぁ……。
ほうら、このクリスちゃんだって。 時間止まってるから、今のうちに何でもし放題……。
早速、私が彼女に手を伸ばそうとすると――。
「……ってわけでアリア! さっそく頑張ろーっ!」
「――あ」
今回だけはやけに早く、時間が動き出したのよ。
たぶん五分も経ってない。 何のために時間が止まったのか、それさえも分かんないくらいには早い。
え、もしかしてあれじゃないよな? 間違えてストップ・ザ・タイムしちゃったとか?
「……どしたのー? ヘンテコなポーズとっちゃってさ」
「あ、ええと、そのぉ…………」
今までにないくらい、頭をフル回転させて言い訳を考える私。
脳みそを回そうと心がけたら、何故か黒目だけがグルグルと回り出して困惑する。
「…………」 やばい。 何にも思いつかない……。
「まあいいや! ボクね、これ終わったら行ってみたいところがあるんだー」
あぁ、よかった。 別にそんなに気にすることじゃなかったみたいだ。
「行ってみたいとこ?」 さっさと気分を切り替えて、私は聞き返す。
「あのね、この宿の裏に池があるんだけどー」
「海やら池やら、水気の多いとこだなぁ…………」 ぽつっと呟く私。
「そこにね、いっぱい……すーっごくいっぱい魚がいるの!」
両手をグルグル回しながら、興奮気味にクリスちゃんがそのすごさを訴える。
「五年くらい前に見たんだけどね、ほんっとーに面白かったんだよっ!」
「ほう……」
その面白さよりも、私には一つ気になることがあった。
御年……たぶん十才で、とってもロリっとしてるのが特長のクリスちゃん。 今でさえそうなんだから、五年前――つまり五才のときって、どのくらい美味しそうだったんだろうか?
「――おぉっ、考えてたら力が湧いてきた!!」
「そう? じゃあ、アリアもいっしょに行こっ♪」
あ、もちろんライズやジェイドもー……とか、指を折りながら、実に楽しそうな表情。
――きっとこの娘、私が『力が湧いてきた』とか言った理由が自分自身だとは知らないんだろうなぁ……。 むへへへ。
「ようし、じゃあ早速!」
長々と無駄話をしてしまったけど……いや、幼女と話すんだったら無駄じゃないかな。
まあともかく、
ソースはないけど、私は仕事が早い女として有名なアリアちゃん。
この程度の労働など、一人で片づけてやるっつーのッ!!
……で、時間はちょっと飛んで。
「――よぉし……っ、そろそろ終わりだな」
猫みたいに背伸びをしながら、私はクリスちゃんに向かって話しかけた。
これで大興奮するクリスちゃんが見れると思うと、どうしてもニヤニヤが抑えられな……。
「クリスっ! アリアっ!!」
……い。
「……ん、ジェイド! 仕事ならもう終わったよ?
ヤード姉ちゃん……じゃなくて、あのお姉さんも『朝ごはんにしよう』ってさ」
――あ、あの人ヤードって名前だったんだ。 そのまんま、ほんとに直球だな。
にしても、クリスちゃん……その宿子ちゃんと知り合いっぽいんだけど、
やっぱり『五年前に来た』って言ってるし、そういう事なんだろうか?
……で。
「おいジェイド、今更何しにきた?」
精一杯の怒りを込めて、寝癖でスーパーサ○ヤ人みたいな頭になっているジェイドを睨み付けてみる私。
でも、アイツの回りには相当チョロい人が多かった様子で、
悪びれる様子もなく……あ、けっこう焦ってる。
「とととととり、取りあえじゅ……落ち着いてきいてくれええ」
「いや、お前が一番落ち着け」 ブーメランぶっ刺さってるから。
何回も深呼吸をして、ちょっとは自分の投げたブーメランも抜けた様子のジェイドは、
一度目を瞑って……。 そして、長文で何かをグタグタ言い出した。
すっごい早口で聞き取りにくい。 でも、十文字くらいに要約するとこんな感じ……。
「やばいぞ、魔王が来る」
「……は?」 「――――?」
聞き取れていない様子のクリスちゃんが、不思議そうに首をかしげた。
「だから、魔王が……まあいい! 詳しい事は部屋で聞かせてやろう」
「え、おい、ちょ――」 私は精一杯、抗議の言葉を投げかけようとした。 ……が、きっと今のジェイドには、何を言ったとしても無駄だろう。
「…………まあいいや」
別に、クリスちゃんの言ってた池や魚は消えるわけじゃない。 きっと後からでも行ける……え、魔王で世界が滅亡するとか、そんな事言わないよな?
とりあえず流行りの(?)魔王勇者展開をぶち込んでみる。




